ブリティッシュ・コロンビア州サレー市で、4年前に元ガールフレンドを射殺した罪に問われていた青年に、終身刑が言い渡された。

 ガージンダー・ダリワル被告は、2011年9月未明、同市のサイモンフレーザー大学の駐車場で勉強を終え帰宅する途中のメープル・バタリアさん(当時19歳)に向け拳銃を5発撃ち、そのうちの3発が命中。さらにナイフで切りつけられたバタリアさんの頭部には、11カ所もの傷が残っていたという。

 犯行の動機は、ダリワル被告がバタリアさんにふられたことによる嫉妬。別れた後もダリワル被告はバタリアさんを追い続け、殺害する前の1カ月間に1700通以上のテキストメッセージのほか、150回を超える電話をかけていた。それに対しバタリアさんはほんの2、3回しか返答していなかった。

 7日朝、ニューウェストミンスター市のBC州最高裁判所で開かれた裁判では、バタリアさんの家族や友人らによる陳述が行われ、傍聴席からはバタリアさんの死によって悲しみに暮れる関係者を思うすすり泣きの声が聞こえた。

 出廷したダリワル被告は終始無表情だった。同被告は第一級殺人罪で起訴されていたが、先週第二級殺人罪を主張していたものの、出された判決は無期懲役の実刑判決で、21年間は仮釈放も認められない。

 判決後法廷から出てきたバタリアさんの姉は、正義が行われたことを見てようやく、妹も安らかに眠ることができると、取材陣を前に言葉少なく語っていた。

 

 

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドの、日系移民の長い歴史を持つ漁港スティーブストンで、その歴史小話を携帯端末などに表示させるサービスが開始された。

 紹介されるのは、最近『日系ストーリー』として公開された3分の短篇ドキュメンタリー10本。

 このドキュメンタリーは、BC州バンクーバーの映画やマルチメディアの製作を行うオービット・フィルム社が2年の歳月をかけて完成させたもの。

 これらのドキュメンタリーは、その歴史が実際に起こったスティーブストンで、携帯電話などの端末を使用して見ることができる。リッチモンド市のアプリ『RichmondBC』をインストールするか、道路わきに立てられた赤と黒の『日系ストーリー』の表示板に印刷されているQRコードをスキャンすることで、映像が視聴できる。

 ドキュメンタリーは、100年以上前に始まったスティーブストンの日系人移民の歴史の黎明期から、戦中、戦後までの主だった人物、出来事を題材としている。

 マクレナンさんはさらに、これらのサイトを巡るガイドマップも作成、誰でも好きな時に日系人の歴史探訪ツアーができるように便宜を図っている。またそのためにも、自分のモバイル端末の現在位置機能をオンにしておくとともに、『日系ストーリー』に近づいたときに端末が確実に反応するよう、アプリ(アップルのiTunes link、アンドロイドのPlay Link)をインストールしておくよう、アドバイスしている。

 ツアーはモンクトン通りを基点に、スティーブストンの中心部を巡ってブリタニア造船所跡へと向かっている。主な見どころには、ガルフ・オブ・ジョージア缶詰工場、独特の木造建築が美しいスティーブストン仏教会、またスティーブストン・マーシャル・アート・センターなどが含まれている。

 ドキュメンタリーは全部で30分の上映時間となるため、それらを途中で見ながらのツアーは普通に歩くスピードで約2時間かかる。

 マクレナンさんによれば、スティーブストンの歴史の中で日系人の活躍は欠かすことのできないものだったことが、これらのドキュメンタリーを見ることでわかると話している。例えば1920年代、この漁港で商業用漁業のライセンスを所有していた2/3の漁師が、日系人だった。その一方で、差別的待遇を改善するため、本間留吉や林林太郎らが幾度となく法廷で戦ってきたこと、また初の日系カナダ人教師となり、日系人児童が公立小学校に通えるように尽力した清水兵藤ヒデも紹介している。

 ドキュメンタリーではそのほか、最初は労働力として扱われなかった日系人女性が、缶詰工場や洗濯、イチゴ農場での仕事をいかに獲得するよう努力したかにもスポットライトをあてている。

 また日本軍の真珠湾攻撃に端を発した、戦中・戦後の日系人強制収容の歴史にも触れている。スティーブストンの歴史遺産として保存されている市電は、この時約2200人の日系人を一時収容先のPNEに輸送するために使用されていたことも、ドキュメンタリーは伝えている。

 この『日系ストーリー』が最初に一般公開されたのは、スティーブストン仏教会で2月16日のことだった。在バンクーバー総領事館総領事岡田誠司氏夫妻をはじめ、リッチモンド市市長マルコム・ブローディ氏など、当地における日系人の歴史を重要視している多くの来賓のみならず、会場となった仏教会本堂を埋め尽くした地元の観客が、その関心の高さを示していた。

 なお、この『日系ストーリー』はスティーブストン博物館のほか、専用ウェブサイトでも見ることができる(『Nikkei』『Stories』で検索)。

 

 ブリティッシュ・コロンビア州ローワーメインランドの公共交通機関を運営するトランスリンクは、導入が進んでいる電子乗車券システム、コンパスカード対応の改札ゲートを、4月8日よりフル稼働させると発表した。

 この日以降、シーバス駅とスカイトレイン駅の改札ゲートが全て閉じられ、コンパスカードやコンパスチケットといった電子乗車券以外では駅構内に入ることができなくなる。

 トランスリンクは、67万5000人以上の利用者がすでにコンパスカードに切り替えており、今まで段階的に行なってきたゲートの一部稼働による乗客の反応から、利用客は4月の改札ゲートフル稼働に十分対応できると判断したとコメントしている。

 改札ゲートフル稼働の作業は4月4日より開始され、同8日に完了する予定。

 なお、バスの利用については引き続き紙製回数券が使用できるが、シーバスやスカイトレインに乗り換えるためには、コンパスカードかコンパスチケットを購入する必要が生じる。

 また障害者の支援団体から指摘されていた、コンパスカードを改札ゲートの読み取り窓にかざせない利用客についてトランスリンクは、改札ゲートやエレベーター付近に係員を配置して必要なサポートを行えるようにすると答えている。

 支援団体のBC州障害者協会もコメントを発表、トランスリンクと連携を取り公共交通機関がより多くの人にアクセス可能となるよう協力していくとしている。

 各駅の改札ゲートは当初、2010年に導入される予定だったが、何度かの遅れから2011年より設置が進められてきた。

 

 自由党政権は2月25日、市民権法改正法案を国会に提出、公約通りC-24法の一部を改正する。

 内容では、二重国籍者へのカナダ国籍はく奪の撤回、市民権申請までの国内滞在期間の短縮、公用語取得義務年齢幅の縮小が主に注目された。

 現在施行されているC-24は、前保守党政権時代の2015年5月から実施。「カナダ国籍は特別なもの」という概念のもと、取得条件はより厳しく、はく奪権利は政府が握るという内容に変更された。それが今回は緩和され、保守党政権が変更する前に近くなる。

 特に高い関心を集めたのが、二重国籍者がテロ、スパイ、反逆行為を行った場合、政府がカナダ国籍をはく奪できるという項目の撤回。要点は二重国籍者のみが、この法案の対象になっていること。この日、記者会見を行ったジョン・マッカラム移民・難民・市民権相は、ジャスティン・トルドー首相が選挙戦時に使った「カナダ人は、カナダ人であり、カナダ人だ」という言葉を繰り返し、「カナダ国籍保有者に階級を付けることはできない。みんな同じカナダ人だ」と語った。

 トルドー首相は、選挙戦時に公約として、このC-24の改正を公約として掲げていた。国会が再開し、ようやく公約の実現に一歩近づく。

 国籍はく奪要項が特に注目されているのは、すでにこの法律に則り、国籍をはく奪されたテロリストが存在しているため。ダウンタウントロント爆破計画で2010年に無期懲役となった、いわゆるテロリスト集団トロント18のザカリア・アマラ受刑者。ヨルダン籍も有する二重国籍者で昨年9月にカナダ国籍をはく奪された。今回の法改正案が通過すれば、アマラ受刑者にカナダ国籍が返還される。

 テロリストに国籍が返還されることはどうなのかとの問いにマッカラム移民相は、二重国籍者も含め、全てのカナダ国民はテロ行為を行えば、その行為に対しカナダの法制度の下で裁かれると説明。二重国籍者だけが国籍をはく奪されるという法律は、カナダ国民に階級を作ることになると語った。

 これに対し野党保守党ミッシェル・レンペル議員は「非常に近視眼的」と語り、これで得をするのはアマラ受刑者のみでテロリストに誤った印象を与えると批判した。ただ、同じ犯罪でも二重国籍者のみを対象とした法律を制定した保守党の批判にあまり説得力はなかった。

 その他の改正点では、これまで市民権を取得するための条件としてカナダ在住期間を永住権を獲得して6年中4年としていたのを、5年中3年と改正。さらに留学生として滞在していた期間も1年を上限に3年に含むことができるとする。保守党の改正前は、4年中3年だった。マッカラム移民相は留学期間も滞在期間に含むことに対し、「留学生としてカナダに滞在し、英語もしくはフランス語も流暢で、カナダについてもすでに知識があり、カナダの教育制度を利用している人材ほどカナダ国民に相応しいことはないのではないか」と語り、有能な移民者を、イギリスやアメリカ、オーストラリアと競争しなければならない現在の状況で留学生をはじくことほど馬鹿げたことはないと説明した。

 さらに市民権取得の条件である公用語、英語もしくはフランス語の運用能力を示す必要がある年齢を、14歳から64歳から、18歳から54歳に縮小する。働き盛りの人材は公用語能力が必須だが、高齢者は対象外とした。マッカラム移民相は、高齢者の言語能力を問わないことについて、多くの一世は英語やフランス語がそれほど流暢ではないかもしれないが、その子供や孫はバイリンガルとなり、カナダに貢献してくれていると語った。

 

 カナダ政府移民・難民・市民権省は、カナダに到着したシリア難民が2月27日に2万5千人に達したと発表した。同日にモントリオール国際空港に到着した中に2万5千人目が含まれていたという。今後は、到着した2万5千人の難民の国内での生活支援に焦点が移っていく。

 2月29日に記者会見したジョン・マッカラム移民・難民・市民権相は、「これでまずは第1段階が終了」と語り、11月からこれまで2万5千人のシリア難民受け入れに尽力した国内外の関係者を労った。今後は第2段階に入る。「難民の生活環境への支援、就職、言語習得支援などを行なっていく」と語った。

 マッカラム移民相によると、これまでに難民受け入れにかかった費用は約7億ドルで、予算の範囲内を強調。今後の言語習得などの支援にさらなる費用が掛かることも報告した。

 自由党は、政府支援による2万5千人のシリア難民を2015年末までに受け入れると選挙戦で公約。しかし政権発足後の11月、受け入れ期間を今年2月末までと伸ばし、政府・民間支援合わせて2万5千人と修正した。今後は約1万人のさらなる政府支援難民を受け入れ、政府支援難民2万5千人の目標を今年末までに達成する予定。さらに民間支援による難民も今後も受け入れる。

 マッカラム移民相は、10日以内に国会で2016年末までの難民受け入れ数などの詳細を発表する予定と語った。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。