ビル・モルノー財相は22日、今後の予算案で予測をはるかに超える負債額になるとの認識を示した。この日、同財相は来月の予算案発表を前に、今後3年間を予測した数字を発表。100億ドルと選挙期間中に約束していた負債額は、見通しが甘かったことを認めた。

 負債額の見積もりは、2015 - 16年度が23億ドル、11月の30億ドルよりやや減少した。しかし、2016 - 17年度は184億ドル11月の時点では39億ドルと予測、2017 - 18年度は155億ドルで24億ドルから大きく膨れ上がっている。

 モルノー財相は、こういう状況だと隠したり、経費を削減したりする政府もあるだろうが、我々はこの景気後退期を経済成長への計画がこれまで以上に重要な意味を持つものと捉えていると語り、「現時点で増税などは考えていない」と語った。

 原油価格の急落がカナダ経済に大きな打撃を与え、天然資源産業を中心とする州では急激な経済悪化状態に陥っている。政府は今後の見通しについて、実質国内総生産(GDP)成長率は、2015-16年度が11月時点での見通し1・3パーセントから1・2パーセントに下方修正、2016 - 17年度は2・0パーセントから1・4パーセントへ、2017 - 18年度は2・2パーセントと前回予測と変わらないとした。

 失業率は、2015 - 16年度が6・9パーセントと11月の6・8パーセント予測からやや悪化、2016 - 17年度は7・1パーセントと6・8パーセントから大幅悪化、2017-18年度は6・9パーセントで6・6パーセントからやはり悪化の予測を立てている。

 インフレ率は、2015 - 16年度が1・1パーセントで1・2パーセント予測から下方修正、2016-17年度は2・0パーセントから1・6パーセントへ、2017 - 18年度は2・1パーセントから2・0パーセントに下方修正した。

 原油価格(年平均)は、2015-16年度が49米ドルで11月予測と変わらず、2016-17年度は54米ドルから40米ドルへ、2017 - 18年度は64米ドルから52米ドルにいずれも予測価格を下げている。現在、原油価格は30米ドル前後となっている。

 これらの数字からジャスティン・トルドー首相は選挙時の公約としていた自由党政権最初の予算案での負債100億ドル以下は守れないと認め、4年間で均衡予算を実現するという公約もすでに取り下げている。

 野党保守党ローナ・アンブローズ暫定党首は、無謀で無責任な政策としか言いようがないと批判。納税者の税金を財務相と首相が無駄遣いしていると国会で語った。モルノー財相は、カナダ経済が後退した要因は前保守党政権の行き当たりばったりな政策が原因と攻めた。

 自由党政権最初の予算案は3月22日に発表される。

 

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は16日、2016 - 17年度予算案について、2億6400万ドルの黒字予算となるとの予測を発表した。これで4年連続の黒字予算となる。さらに、2017 - 18年度は2億8700万ドル、2018 - 19年度は3億7300万ドルの黒字予算と予測。今年度2015 - 16年も3億7700万ドルの黒字となると2億6500万ドルから上方修正した。

 マイク・デ・ヨン財務相が発表した来年度予算案の注目点は、住宅問題対策、健康保険制度(MSP)の変更、液化天然ガス(LNG)事業。

 住宅問題では、高騰し続けるメトロバンクーバーの不動産に対し、何らかの対策を予算案で示すと、今月クリスティ・クラーク州首相が語っていた。この日、デ・ヨン財務相が示したのは、初めての住宅購入者や新築物件に対して特別優遇策を導入するというもの。さらに今後は不動産購入者の国籍登録を義務付け、公開できるようにするとも語った。BC州では1998年に国籍登録義務付けを中止している。この年は香港がイギリスから中国に返還された翌年に当たる。

 MSPについては母子家庭により負担が少なくなる。そしてさらなるMSP改革も示唆しているが、その詳細は今年ではなく、来年の選挙前に示すのではとみられている。

 前回選挙で大勝した時にはBC州経済の中心となると大きな期待を寄せていたLNGについては、「重要視はしているが、今回の予算案ではLNGからの歳入は全く考慮していない」とデ・ヨン財相は語った。2020年までには3つのLNGターミナルが完成すると州政府は約束しているが、LNG事業大手のマレーシア国営企業ペトロナスや英蘭企業ロイヤル・ダッチ・シェルが率いる合弁企業の事業が延期されており、約束通りに完成するかは微妙な状況。来年度の予算案でもLNG事業からの歳入は含まれていない。ただ、LNG事業からの歳入を見越して設立された緊急時に備えた準備金用LNG基金には、今年度予算から1億ドルを計上し始めると語った。

 

 カナダ統計局は19日、1月のインフレ率を発表、2014年11月以来の高い水準となる2パーセントと報告した。予想の1・7パーセントを上回った。

 インフレ率を押し上げたのは、食料品とガソリン価格。これまで下がり続けてきたガソリン価格が1月は2・1パーセント上昇し、2014年10月以来の上昇となった。食料品は4パーセントの上昇。特に生鮮野菜は18・2パーセント、果物は12・9パーセントも上昇。カナダドル安が大きく影響しているとみられている。その他の項目でもほとんどで価格が上昇。唯一、衣料・履物の項目で0・3パーセント下がった。

 カナダ銀行が注目している、価格変動の大きい項目を除いたコアインフレ率も2パーセント。予想の1・9パーセントを上回った。カナダ銀行は3月の金利発表で、現行のまま据え置くとみられている。

 

 

 上院マイク・ダフィ議員に対する62日間、10カ月にも及ぶ裁判が23日に終了した。この日はオタワ裁判所で最終弁論が行われ、ダフィ議員の弁護人は無罪を主張した。

 ダフィ議員は、上院議員として、住宅手当、交通費、その他の手当てなどを不当に受給、さらに、不当受給分を返金するために当時首相事務所首席補佐官だったナイジェル・ライト氏から約9万ドルを受け取り、詐欺、収賄、背任罪で31の罪に問われている。

 しかし、ダフィ議員は全てで無罪を主張、弁護人は不当受給については、上院の規則が曖昧であること、9万ドル受給では当時の首相事務所が関与していたことなど、犯罪と断定する証拠が乏しいと訴えた。

 この一連の上院議員経費不正受給事件は2013年に明らかになり、当時のスティーブン・ハーパー首相も関与しているのではとの疑惑から注目された。ダフィ議員の他にも、3上院議員が罪に問われている。

 ダフィ議員への判決は4月21日に言い渡される。

 

 バンクーバー市は23日、ことし6月から自転車シェアリング制度を開始すると発表した。同制度の導入は約7年前に提案されたが、ようやく実現する。

 管理運営するのはサイクルホップ・カナダ。5年契約で、市が500万ドルを支援する。まずは自転車1000台を100カ所に配置。ことし中にさらに500台、50カ所増やす予定になっている。導入されるのはスマートバイクで、スマートフォンやカード、支払いスタンドと連動する。ヘルメットの貸し出しもあり、こちらは無料。

 範囲はダウンタウンを中心に、西はアビュータス通り、東はメイン通り、南は16通りとなる。

 サイクルホップはカナダではオタワで同様のサービスを提供しているほか、アメリカでもロサンゼルスやフェニックス、アトランタで提供している。

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。