ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドの分譲集合住宅(タウンハウス)の理事会が中国語で行われるのは人権侵害だと、同タウンハウスの非中国系住人らが起こした訴えに対し、BC州人権裁判所は聴取を行うことを決定した。

 同市ウェリントン・コートの54世帯が住むタウンハウスの管理組合では、2014年に中国語(マンダリン)を話せない理事が排斥されて以来、会議では英語が用いられなくなっていた。

 今回の訴えの中心人物であるアンドレアス・カーグートさんは、BC州人権裁判所の今回の決定に安堵している。カーグートさんは、カナダ人として公用語が侵害されるようなことがないように注意しなければならないと、次のように話している。

 「中国人住民は、この集合住宅コミュニティを中国文化で塗りつぶし、その文化を持たず中国語を話せない住民をここから駆逐することを目標としている」

 マオさんら中国人住民は『傲慢』以外の何者でもないと、カーグートさんは非難する。

 なお、マオさんは自分で取材に答えることを拒否し、この件についてはプロパティ・マネジャーから話を聞くようメディアに指示している。

 カーグートさんは、英語でコミュニケーションできることは、特に他人と関わるビジネスを行う場合には移民の義務であるべきだと語っている。

 このタウンハウスでは昨年、約30の委任状を取り付けたマオさんをはじめとする中国人メンバーが現在の理事会を構成するようになった。カーグートさんは、手続きにのっとっているとはいえ、彼らの行動は倫理的にはいかがなものかと疑問を投げかけている。さらに、この理事会が下した維持管理費の削減の決定などには不審な点があるとも指摘している。

 次回の組合会議でカーグートさんは、理事会全員の辞任と文書による謝罪を求めることにしている。また人権裁判所への訴えでは、いくらの賠償を求めるかはまだ決めていないが、『中国人に対する警告として十分な』額になるだろうと、取材に答えている。

 さらに、人権裁判所の判決いかんに関わらず、カーグートさんはこの件をBC州議会に持ち込み、BC州の分譲集合住宅に関する法律に、英語が必須であることを盛り込むよう運動を続けていくとしている。

 

 アメリカのコンサルティング会社マーサーが23日発表した2016年「世界生活環境調査都市ランキング」で、バンクーバーがことしも5位となった。

 世界230都市を、安全性を筆頭に経済状況、医療保険制度、社会・文化環境、教育、住宅、犯罪、余暇、交通などの項目で評価。ことしも首位はオーストリアの首都ウィーンで7年連続となった。2位はスイスのチューリヒ、3位はニュージーランドのオークランド、4位はドイルのミュンヘン。カナダの都市では、15位にトロント、17位オタワ、23位モントリオール、32位カルガリーがトップ50に入った。アメリカのトップはサンフランシスコで28位。日本は東京が44位、神戸46位、横浜49位だった。

 カナダの都市の評価は、「カナダでは引き続き生活の質が非常に高く、住民にとっても、駐在者にとっても、生活でも仕事でも、安定した政治環境、肯定的な社会的利益、非常に安全な生活環境を提供している」と評価している。

 6位から10位は、ドイツのデュッセルドルフ、フランクフルト、スイスのジュネーブ、デンマークのコペンハーゲン、オーストラリアのシドニーとなっている。

 

 ブリティッシュ・コロンビア州ポート・コキットラムの自身が経営する養豚場で複数の女性を殺害した罪で、終身刑に服しているロバート・ピクトン受刑者。その犠牲者は49人にのぼるのではないかとの噂もある。この事件のいきさつを本人自ら明らかにした本が、アメリカの出版社によってインターネット上で販売されはじめたが、世間の強い非難にあい、取り下げられた。

 90年代後半、バンクーバーのダウンタウン・イーストサイドで次々と起こった娼婦の失踪事件に端を発したこの事件では、2002年にピクトン受刑者が逮捕された後、警察は殺害現場となったポート・コキットラムの養豚場を徹底的に捜査、33人の女性の遺体の一部、またはDNAを確認している。

 取り調べの過程で同受刑者は6人の殺人を認めたほか、検察はさらに他の20人の殺人について起訴の予定だったが、すでに刑が現行法で科せられる上限に達したため、保留とした経緯がある。

 22日にオンラインストア大手のアマゾンで発売が開始された、ピクトン受刑者の手記『ピクトン、自ら語る(Pickton: In His Own Words)』を出版したのは、自費出版などを手がけて成長しているアメリカ・コロラド州にあるアウトスカーツ・プレス。144ページのこの手記の背表紙には『被害者は6人にとどまらず、最高49人と言われる連続殺人の終身刑囚ロバート・ピクトンが、その現場となったポート・コキットラムの家族経営養豚場で何が起こったのか、自ら明らかにした』と記されていた。

 この本の出版が明らかになるや否や、各方面から非難が沸き起こった。BC州首相クリスティ・クラーク氏は犠牲者の家族の気持ちを思うと「言葉が出ない」とし、犯罪者が自らの犯行をネタにして利益を得ることを阻止できるよう、政府として可能な限り手を尽くすと取材に語っている。他州(アルバータ、サスカチワン、オンタリオ、およびノバスコシアの各州)では、服役囚が本を書くなどして自らの犯罪から利益を得る行為を許可するかどうかの権限を、州政府に与える法体系をすでに整備している。結局、アウトスカーツ社は同日、受刑者に出版の協力をすることは自社の方針にそぐわないとして、アマゾンにこの本をオンラインストアから削除するよう要請したことを明らかにしたとともに、このことで精神的苦痛をこうむった被害者の家族に謝罪した。

 またBC州法務次官マイク・モリス氏は、収監中のピクトン受刑者の原稿が、どのように刑務所外に持ち出されたのかを調査すると話している。

 なお、アマゾンがそのオンラインストアで服役中の犯罪者の著作を販売し非難されたのは今回が初めてではない。昨年11月にはオンタリオ州出身で、無期懲役刑に服役している強姦・殺人犯のポール・ベルナルド受刑者が書いた政治フィクション小説を発売、世間の強い非難を浴びたため2〜3日後にウェブサイトからこの本を削除して、事実上販売を停止している。

 

 ケベック州モントリオールに本社を置く航空宇宙産業大手ボンバルディア社は17日、国内外約7千人を解雇すると発表、同時に、エアカナダ社から大型受注を受けたことも発表した。

 解雇はカナダ国内とヨーロッパがほとんどで、7千人のうち2千人は契約社員。部署別では、3千2百人が鉄道部門で、残りは宇宙開発やエンジニアリング部門が主となっている。航空機部門では増員を予定している。

 ボンバルディアはアメリカのボーイング、ヨーロッパのエアバスに次ぐ、世界第3位の航空機メーカーで、中小型機を専門に製造している。このクラスではブラジルのエンブラエル社がライバルとなる。

 ボンバルディア社は新世代中型機Cシリーズ(CS)を10年以上かけて開発。しかし予定より2年開発が遅れ、予算的に20億ドル超と苦戦し、販売もなかなか進んでいない。しかしこの日、同じくモントリオールに本社を置くカナダ最大手航空会社エアカナダ社がCS300を45機購入したと発表、さらに30機追加受注する可能性もあると語った。

 ボンバルディア社は同日に公表した2015年の会計報告書と2016年の見通しで、2015年は53・4億米ドルの純損失となり、2015年第4四半期は6・7億米ドルの損失となったと報告した。2015年の収入は182億米ドルで、2014年の201億米ドルから減収、2016年はさらに減少し165から175億米ドルになる見通しと報告した。

 同社は昨年後半、連邦政府にCSを軌道に乗せるための緊急支援を要請している。ケベック州は緊急措置として昨年すでに10億ドルの支援を表明した。連邦政府ナヴディープ・ベインズ、イノベーション・科学・経済開発大臣は「この件に関してボンバルディア社と協議を続けている」と声明を発表した。

 

 ブリティッシュ・コロンビア州内陸部の町、ケローナに住むロバート・ゴルツェンさん(44歳)にとって、21は間違いなくラッキーナンバーだ。

 彼は今月21日に21ドルで宝くじを買い、そして2100万ドルを当てた。(正確には2190万ドル)

 ゴルツェンさんは建設機械のインストラクターだが、仕事はこれからも続けるつもりだと取材に答えている。賞金は、新車のディーゼルピックアップトラックとトレーラーを自分用に、ジープをガールフレンド用に購入するほか、借金の返済にも充てるとしている。またこのお金で、娘の将来のために十分な教育を受けさせられるようにしたいと話していた。

 ゴルツェンさんが近所のスーパーマーケットで当たりくじを引いた時、周りにいた人たちが当たりを示したモニター画面とともにゴルツェンさんと記念写真を撮りはじめ、彼はなんとなく有名人になった気分だったとも語っていた。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。