2020年2月27日 第9号

 つい先日2020年の幕が開けたと思いきや、もう2月も下旬に、いと早し。今年の十二支は「ねずみ」なので特に早く感じるのかも。子年にちなんで、この「ねずみ」について少し調べてみた。

 まず、この漢字「鼠」だが、今まで手で書いたことなどほとんどなく、実際に書いてみると、画数も多くなかなかややこしい。そしてこの漢字、ナント象形文字、すなわち山や川と同じ絵文字とのこと。うーん、なるほど、確かに「ねずみ」に見えなくもないが、でももう少し簡単な漢字だったら、もっと鼠ちゃんに愛着が持てたかも。

 また、「ねずみ」の語源にはいろいろあるようで、一説には、人間が寝ている間に食べ物を盗むので、「寝盗み(ねぬすみ)」から「ねずみ」になった。えー、なるほど。実は英語の「mouse」にも食べ物をあさり回るという動詞も辞書に載っている。「ねずみ」と「mouse」の語源、日本語も英語も同じような考え方をしていたようで、いとおかし。

 さらに驚いたのは、この「ねずみ」を正月三が日だけ、かなり昔から「嫁が君」と呼んでいたとのこと。嫌われ者の「ねずみ」だが、お正月の三が日ぐらいは一緒に楽しもうと、親しい呼び方を考えた。ねずみは「夜目がきく」と云われており、この「夜目」と「嫁」をかけて、「夜目がきく」を「嫁が君」としゃれて呼ぶ。うーん、なるほど。とても粋な古きしゃれの文化、でも残念ながら、日本語教師として今まで耳にしたことがなく、恥ずかしき限りなり。

 そして、もっと驚いたことが、この「嫁が君」は俳句の新年の季語にもなっているとのこと。江戸の元禄年間、俳句の芸術性を高めた松尾芭蕉も「嫁が君」を用いて句を作っている。

 餅花や かざしにさせる 嫁が君

 また、明治の正岡子規もこの「嫁が君」を題材にして、数句詠んでいる。例として

 行燈の 油なめけり 嫁が君

 猫もかわず 一人暮らしよ 嫁が君

 うーん、誠に驚いてしまった。確かにこれらの句、「嫁が君」が「ねずみ」だと知らなければ、意味もよく分からず、季語も無いお粗末な俳句と思ってしまう。俳句に詳しい方はお分かりなのであろうが、ほとんどの方はご存知ないと思う。それはこの「嫁が君」は昭和に入ってからほとんど使われず、忘れられてしまった。でも関西地方ではこの「嫁が君」、方言として残っているところもあるようで、さらに昨今俳句ブームの再来で広まってきているとのこと。

 いい機会なので、小生も少し俳句を学ぼうかと。ここで一句

 嫁が君 ワインを輪飲 円居せん

 仲間とワインを輪になって飲む、「嫁が君」も一緒に円くなって円居(まどい)する。楽しからずや。

 

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