ブリティッシュ・コロンビア州議会が9日再開し、自由党政権は高騰する不動産問題を最優先事項として取り組むと宣言した。同日、BC州ジュディス・ギチョン副総督が読み上げた自由党政権の政策を示す議会開会の式辞の中で、不動産価格高騰の要因と疑われる不当転売や市が課す不動産売買関連手数料の見直しを進めていくと述べた。

 今回の式辞の中で不当転売が盛り込まれた背景には、6日の全国紙グローバル&メールが、一部の不動産仲介業者と投機家がバンクーバーで不当な転売をしているという内容の記事を掲載。8日にはBC新民主党(NDP)デイビッド・イービー議員が、BC州不動産協議会(RECBC)に不当販売に関する調査を行うよう1月に要請したが、証拠不十分で受理されなかったと記者会見で明らかにしたことがある。記者会見でイービー議員は、この問題に全く無関心なBC州政府を批判。高騰するメトロバンクーバーの不動産で何が起きているのか調査すべきだと語った。さらに、こうした不動産の不当販売が脱税とマネーロンダリングを引き起こしている可能性があることも指摘した。

 同日、RECBCは一転、不当販売に関して調査を開始すると声明を発表。2週間以内に諮問グループを結成し、60日以内に最初の報告書を受け取ると述べた。BC州政府は諮問グループの報告を待ってから必要な措置を取ると語った。

 市の不動産売買関連手数料については、BC州政府は開会の式辞で、住宅購入時に市が課している隠れた手数料などの費用を減らし、費用については透明性を確保するよう市に協力を要請すると語った。

 しかし、これについてはメトロバンクーバーの市長が反論している。バンクーバー市グレゴール・ロバートソン市長は、市が課している手数料がバンクーバーの不動産を高騰させている主要因ではなく、市に責任を押し付けるのはBC州政府の州民の注意を真の要因からそらさせる手段でしかないと批判した。

 クリスティ・クラーク州首相は、市が独自に課すことができる手数料などについて州政府は強制的に停止したりすることはできないと語り、この問題は州政府と市が協力していく必要があると主張した。

 クラーク州首相は先月まで、高騰するバンクーバーの不動産について、州政府が特に手を付けられることはないと語っていた。

 

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