カナダ統計局は5日、1月の失業者数が5700人増加、失業率も0・1パーセント上昇の7・2パーセントに悪化したと発表した。失業率が7・2パーセントになるのは2013年12月以来約2年ぶり。

 特に雇用が悪化したのは、アルバータ州、マニトバ州、ニューファンドランド&ラブラドール州。天然資源産業を主要産業としている州での失業が目立った。アルバータ州は1万人減と最も多く、失業率も7・4パーセントと1996年2月以来の高い水準。アルバータ州が全国失業率を上回るのは1988年12月以来となる。

 一方で好調だったのはオンタリオ州。2万人の雇用増で、全国的減少分を相殺した。

 この発表を受けて、カナダドルは一時1ドル71・90米セントまで下落。終値は72・54米セントまで戻した。

 原油価格の下落で国内の天然資源産業への悪影響が続くが、その他の輸出関連は貿易赤字が減少するなど、カナダドル安の恩恵を受けている。

 

 対米ドルでカナダドル安が続く中、カナダの冬の国技ホッケーにも影響が出る可能性が出てきた。

 現在ナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)でチーム増加が計画されているが、その招致に名乗りを上げ、最終候補地として残っているケベックシティが苦境に立たされている。名乗りをあげたのはモントリオールに本社のあるテレコミュニケーション&メディア会社のケべコア。ファンの支持も高く、本拠地となるアリーナも確保し、昨年7月に手をあげた時点では順風満帆だったが、それから急激なカナダドル安が進み、現在1カナダドル70米セント前後となると、チーム招致のためにリーグに支払う5億米ドルの費用が6億8500万カナダドルにも膨れ上がる。

 ケベックシティには以前、ケベック・ノルディクスというチームが存在した。しかし、1995年カナダドル安などの影響で経営困難となりデンバーに本拠地を移し、現在のコロラド・アバランチとなった。

 熱狂的なホッケーファンの多いケベックシティにとってNHL復活は悲願。ようやく訪れたチャンスにまたしてもカナダドル安が立ちはだかる形となった。

 カナダドル安はカナダを本拠地とするスポーツチーム全体にも大きな影響を及ぼす。選手への支払いは米ドル建て、チケットやグッズ販売での収入はカナダドルと、両通貨の価値が開けば開くほどカナダにとっては厳しい状況となる。

 それでなくとも、今季のNHLはカナダ7チーム全てがプレーオフに進めないのではないかというほど精彩を欠く。プレーオフ出場がなければ、チームの収入も増えず、周辺地域も潤わず、という悪循環。カナダのスポーツ界にとっても厳しい時代に突入した。

 

 オンタリオ州ウォータールーに本社のあるスマートフォンメーカー、ブラックベリー社は5日、オンタリオ州本社とフロリダ州で200人の人員削減をすると発表した。

 同社は現在、企業方針の方向転換中で、人員削減など大規模な改革を行っている。今回の対応もその一環と発表している。昨年9月にも約200人を解雇した。その時には、同社スマートフォン用オペレーションシステム(OS)BB10に関係する職員を解雇したことが分かっている。BB10は2013年1月に発表され、最近の同社機種に搭載されている。評価は悪くなかったが、アップル社のアイフォンやグーグル社のアンドロイドの勢いに食い込むほどの効果はなかった。

 ブラックベリーは改名前のリサーチ・イン・モーション(RIM)社時代に、スマートフォンを開発した先駆者で、一時は世界のスマホ市場を席巻していた。セキュリティに定評があり、政府関係者が愛用していることでも知られている。しかし、アイフォンやアンドロイド系スマホの登場で一般消費者の間では、その勢いは急速に下降、現在はほとんどシェアを奪われている。

 その救世主的OSとして開発されたBB10だったが思うように伸びず、昨年11月には同社としては初めてOSにアンドロイドを使用した機種を発表した。今年中にも、もう1機種アンドロイド系が発売される予定で、その結果次第でその後の同社の方向性が決定するとされている。

 

 ジャスティン・トルドー首相は8日、イラクとシリアでの空爆参加からカナダ軍が撤退することを表明した。今後はイラクでの兵士訓練などで貢献する。

 記者会見で「全てをこなすことはできない。その地域を手助けする最良かつ正しい方法で貢献したいと思っている」と説明した。

 カナダはアメリカ主導で実施されているイラクとシリアでのイスラム国への空爆に、2014年秋、前保守党政権時代に参加を国会で決定し、同年11月から参加。現在参加している国々の中では最も早くからアメリカに協力している。当時は、国内で起こった過激派に触発された男による国会襲撃事件などもあり、イスラム国撲滅を目的とした空爆参加は国民の一定の理解を得ていた。

 しかし、昨年10月の総選挙で、空爆から撤退を公約した自由党が勝利。アメリカをはじめとするイスラム国撲滅を目指す国々からは撤退を懸念する声も上がっていたが、今回、公約通り空爆撤退を表明した。今後、国会で審議、決定される。 これに対し、アメリカのホワイトハウス報道官は、「今後もイスラム国撲滅という我々の目的を達成するためにカナダが違う形で貢献できることもあると確信している、そのための話し合いも続けていく」と記者会見で語った。

 トルドー首相はこの日アメリカのオバマ大統領とも電話会談し、理解を得たという。来月にはワシントンで会談が予定されている。

 野党保守党ローナ・アンブローズ暫定党首は「首相の決定は、世界のテロの恐怖との戦いに対し、立ち向かうという役割から逃げるというカナダとして恥ずべき行為」と批判。新民主党(NDP)は、地上での訓練任務にこれまでより3倍の兵士が派遣されることに対し危惧を感じると派兵増員に懸念を示した。昨年イラクでの訓練に当たっていたカナダ兵がイラク兵の誤射で1人死亡、4人が負傷している。

 空爆に参加している6機は今月22日までに撤退し、燃料補給機1機と偵察機2機は引き続き任務を遂行する。さらに、イラク兵訓練のために現在イラク北部でカナダ軍兵士69人が任務にあたっているが、これを200人に増加する。派兵期間は2年間。それまでにその後の対応を検討する。その他にも、周辺諸国への援助も含め、3年間で約16億ドルを支援する。

 

 MLS(メジャーリーグサッカー)バンクーバー・ホワイトキャップスFCは、キャンプ中のアリゾナ州ツーソンで6日、ニューイングランド・レボリューションと対戦。この日先発したFW工藤壮人選手が1点目を上げ、ホワイトキャップス初ゴールを決めた。

 ホワイトキャップスは開幕の3月6日までにプレシーズン6試合が予定され、この日はその2試合目。この試合は3ー2でホワイトキャップスが勝利した。レボリューションには元ホワイトキャップスの小林大悟選手が在籍しているが、この日は出場機会がなかった。

 ホワイトキャップスは9日にはヒューストン・ダイナモと対戦。2ー0で勝利し、3連勝でキャンプ地でのプレシーズン試合を終えた。アリゾナのキャンプは終了するが、残り3試合はすべてアウエーとなる。

 

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