ハルジット・サージャン国防相は10日、アメリカのアッシュ・カーター国防長官と会談し、イスラム国に対しこれからも協力していくことを確認したと語った。

 ベルギーのブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)の国防大臣会合に出席したサージャン国防相が会談後、記者団に語った。

 アメリカ国防省はカーター国防長官の声明として、カナダがイラクでの地上訓練任務にこれまでの3倍の兵士を派遣することに感謝するとともに、人道的支援を拡大することも称賛した。また、引き続き燃料補給機や偵察機を配備することでもカナダの貢献を強調した。

 自由党政権はこの2日前に、イラクとシリアでのイスラム国への空爆参加をことし2月22日までに終了し、現在派遣している空爆機6機を撤退させると表明したばかりだった。

 イスラム国対策はアメリカ主導で行われ、NATOは公式にイスラム国攻撃に参加していない。ただ参加国に対する支持は表明している。

 

 ステファン・ディオン外相は12日、オタワを訪問中の岸田文雄外相と会談し、テロとの戦い、核拡散、環境問題、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、南シナ海問題、国連平和維持軍任務など、多岐にわたる内容を話し合い、同日には共同記者会見も開いた。

 日本の外務大臣がカナダを訪問するのは国際会議などを除けば約20年ぶり。ことしは4月に岸田外相の地元広島市で先進7カ国(G7)外相会合が、5月には伊勢志摩サミットが開催される。

 

 ジャスティン・トルドー首相が12日、首相就任100日目を迎えた。昨年10月19日の総選挙で大勝し、自由党を再び政権政党へと導いたトルドー首相。11月4日の就任式から100日目を迎え、各メディアがこれまでのトルドー政権を振り返った。

 この日のトルドー首相はトロントで若者向けの雇用プログラム、カナダ・サマー・ジョブ・プログラムに年間1億1300万ドルを3年間支援すると発表。これにより約7万人の学生の雇用が創出される。

 原油価格急落と共にカナダ経済が落ち込むと若者の雇用が激減。特に夏期休暇を利用して仕事を求める学生の雇用が減少し、学費などを稼ぐ学生に影響が出ている。

 自由党、特にトルドー党首にとって若者へのアピールは重要。昨年の選挙でも、若者の意見に耳を傾け支援を表明することで、かなりの票が集まったとされている。

 若者支援の表明で選挙公約の一つを果たしたことになるが、就任から100日が経ち、多くはまだこれからのものが多い。

 すでに公約を果たしたものには、開かれた政府、半数の女性閣僚の任命、イスラム国への空爆からの撤退、中間層への減税と富裕層への増税などがある。

 現在、進行中の政策には、環境問題への取り組みがある。昨年12月にパリで開かれた国連環境会議に出席したり、州政府との連携を約束したりと、カナダ政府として環境問題に積極的に取り組む姿勢を見せているが、具体策はまだ出ていない。

 実行できなかった公約として、最も注目されたのはシリア難民の受け入れ。昨年末までに2万5000人を受け入れると約束したが、実際には今年2月末までに延長された。

 これから議論が活発になる公約としては、選挙改革、マリファナの合法化、年金問題などで最も注目されるのは3月21日に発表予定の予算案。年間100億ドルの赤字予算を3年間続け、インフラ整備などの経済刺激策を講じ、債務対GDP比を減少させながら、4年目で黒字予算に転換するとしていた予算案は、1年目ですでに100億ドルでは不足することが明らかになり、どのような予算案が発表されるのか注目されている。

 こうしてメディアが首相就任100日目を批評する中、トルドー首相はこの日45分間を費やして、国民からのツイッターの質問に応えた。質問には安全保障や、同性愛者権利、税制、若者の失業率など深刻な問題もあったが、中には、スターウォーズ最新作の感想を聞く質問も。セルフィーにも応じるトルドー首相。この質問にも「面白かった。ジャー・ジャーが出てなくてよかった、そのままの意味でも、隠喩的にもね」と応えた。

 

 毎年この時期に行われる、コーヒーチェーン店・ティムホートンズのくじ、ロール・アップ・ザ・リム。もはや国民的行事と言えるこのくじでは、車やTVのほか様々な景品が当たり、飲み終わった紙コップのふちをめくって、当たりかどうかを確かめる人々の姿がいたるところで見られる。

 アルバータ州ビューモントに住むアリー・フレーザーさん(24歳)もそんなひとりだが、自称環境保護活動家の彼女にとって、そのために大量に廃棄されていく紙コップは見るに忍びないという。

 自分専用のマグカップを持ってオーダー待ちの列に並ぶたび、彼女は「自然環境を優先して自分のマグカップを使うべきか、今回は車かTVが当たるかも知れない紙コップを受け取るべきか」悩んでいると取材に答えている。

 また彼女は、当たりくじの誘惑に負けて紙コップを受け取れば受け取ったで、そんな自分の決断がまた多くの人を紙コップ派に向かわせるのだという思いに駆られ、自責の念にさいなまれると話している。

 そんなもやもやした思いを断ち切ろうとフレーザーさんは去年、マイ・マグカップを持参した人もくじに参加できるよう、ティムホートンズに働きかける署名活動を始めた。

 ティムホートンズによると、ことしはくじ用の紙コップを2億7259万個あまり用意したという。フレーザーさんは、そのうちの約1500万個の紙コップはマイ・マグカップ派の人が、くじのためにあえて紙コップを選んでしまったものだと見積もっている。

 自分と同じような思いをしている人は他にもいるはずと信じて始めた署名活動。しかし昨年集まったのは、100人にも満たなかった。それでも署名をティムホートンズに手渡した彼女に対し、会社側はくじの仕組みを変えるとゴミの量が増えると説明したという。

 また、レシートを使えばオンラインでもくじに参加できる仕組みにはなっているが、そこで当たる商品は紙コップくじでのものとは異なるため、公平ではないとフレーザーさんは指摘する。

 しかし、ことしは彼女に追い風が吹いている。ロール・アップ・ザ・リムは始まったばかりだが、オンライン署名は先週の段階ですでに2万件近く集まった。マイ・コーヒーマグの人には紙コップではなく、小さなスクラッチカードやステッカーで、くじに参加してもらう方法もあるのではと、フレーザーさんは語っていた。

 

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーのオークリッジ地域で、女性が暴行を受ける事件が連続して発生したことから、市警察は住民に十分注意するよう呼びかけている。

 最初の事件は1月23日午後11時前、23歳の女性がカナダライン・ランガラ駅から出て48番アベニューとマニトバ通りの辺りに差し掛かったところを、男が背後から掴みかかり地面に押し倒し、女性の顔面を殴りつけた。女性が大声を出して近所の住人に助けを求めると、男は走って逃げたという。

 そして2件目が起こったのは今月4日午後7時ごろのこと。西42番アベニュー沿いのコロンビア通りのアルバータ通りの間にあるコロンビア公園の近くを歩いていた67歳の女性が、木陰に隠れている男を目撃した。男は女性に近づくと、顔と頭を殴りつけた。女性が叫ぶと、男はオークリッジ・モール方面へ逃走した。

 いずれの場合も警察犬を動員した捜査が行われたが、容疑者を見つけることはできなかった。目撃者への聞き込みなどから、犯人は30から40代の白人で中肉中背か痩せ型、頭はごく短く刈り込まれているという。

 また犯行の動機は性的なものではなく強盗だろうと警察ではみており、不審者を見かけた場合は、すぐに警察に連絡するよう呼びかけている。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。