2018年9月13日 第37号

 不随意運動や神経症などの症状を伴う難病、ハンチントン病。治療法が見つかっていないこの病気の患者やその家族の支援と、治療法の研究への資金援助を行っている非営利団体、カナダ・ハンチントン協会が9日、毎年恒例のゴーカート・レースをカナダ各地で開催した。

 同協会の資金調達を目的としたこのレースは、オンタリオ州支部が1996年に始めた。今年はプリンスエドワード島、オンタリオ州ウィンザー市のほか、マニトバ州ウィニペグで開催された。

 ウィニペグ市の会場となったのは、同市西部の町ヘディングリーにあるサンダー・ラピッズ・ファンパーク内のゴーカート・コース。1チーム6人で参加するこのレースに、何百人もの人が参加した。

 同協会ウィニペグ支部長のバーン・バレットさんは、この病気を「ALSとパーキンソン病、そしてアルツハイマー型認知症をまとめて患っているようなもの」と形容している。また遺伝子異常が原因の病気であるため、両親がり患した場合、子供にも50パーセントの確率で発症する。そのため、本人のみならず周りの家族、また子供たちにも大きな影響を及ぼす破壊的な病気だと、バレットさんは語っている。

 この日のウィニペグのレースでは2万ドル以上の寄付が集まった。

 

 

2018年9月6日 第36号

 連邦上告裁判所は8月30日、カナダ連邦政府のトランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画承認を無効化する判決を下した。判事3人による全会一致だった。

 裁判所は連邦政府承認無効化の理由を、連邦政府がパイプライン建設に関係する先住民族との対話に欠け、先住民族の人々の懸念を払しょくする取り組みを怠ったこと、カナダエネルギー委員会(NEB)がパイプライン建設を承認するに当たり、環境への影響を考慮することを「法的に義務付けられている」にもかかわらず、今プロジェクトに関係するタンカー航行増加の考慮を不当に外した欠陥があり、これを基に承認されたプロジェクトは認められないと、説明した。

 これによってプロジェクトは一時中断することになる。

 連邦政府は裁判所の判決を受け、判決内容を精査し今後の対応を検討すると同日に発表。ビル・モルノー財相は、「パイプライン完成に向けて努力する」と語った。

 翌日になってジャスティン・トルドー首相が判決について言及。厳しい環境対策と先住民との和解は、自由党政権が掲げる重要な2大政策であり、連邦政府がこれら2つの対策に今後も尽力していくことに変わりはない、判決が出たことでこれからさらに努力していく方向性が見えたと語った。

 9月4日にはブリティッシュ・コロンビア州サレー市を訪問していたトルドー首相は、この日の記者会見でも記者にパイプライン建設承認の無効化について改めて質問されると、「一国に頼っているオイルの輸出先を多様化するためにもパイプライン建設は必要」と、これまでと同じ回答を繰り返した。

 隣にいたBC州ジョン・ホーガン州首相は、「この件については連邦政府と意見が違う部分があるが、BC州にとって最善の方法を模索していく」と笑顔を見せた。トランスマウンテン・パイプライン拡張工事についてBC州新民主党(NDP)政権は反対の立場をとっている。

 ホーガン州首相は8月30日に判決が出た直後の記者会見でも勝利宣言はせず、BC州先住民族やバンクーバー市、バーナビー市の訴えが裁判所に認められたことを喜ぶコメントに抑えた。

 8月30日には訴えを起こしたスコーミッシュなどの先住民族たちが同州バンクーバー市で記者会見を開き、自分たちの訴えが裁判所に認められたと喜びを爆発させた。ツレイル・ワウトゥス族チーフ、モリーン・トーマス氏は、この判決をカナダと先住民族が真の意味で和解する新しい機会にすることが最も望ましいと語った。

 パイプラインのターミナルがある同州バーナビー市デレク・コリガン市長は、これまで建設に反対してきたが今回の判決は初めて妥当なものとなったと語った。同様に反対してきたバンクーバー市グレゴール・ロバートソン市長は、今回の決定は先住民族の人々の権利と、建設に反対してきた我々にとって大きな意味を持つ勝利となったと声明を発表した。

 

 

2018年9月6日 第36号

 アルバータ州政府レイチェル・ノッテリー州首相は8月30日、同日の連邦上告裁判所の判決を受け、アルバータ州がカナダ環境対策計画から撤退することも辞さない強い姿勢を示した。

 アルバータ州はカナダ自由党政権が進める環境対策計画に賛同し、2017年1月から炭素税を導入している。カナダにはオイルサンド事業をはじめとする天然資源産業が多いアルバータ州で炭素税を導入することで、カナダ環境対策計画が成功するとの認識がある。天然資源産業はカナダ経済にとって最も重要な産業の一つ。そのため、アルバータ州の炭素税への参加が、連邦政府が進める環境対策計画成功のカギとして、連邦政府はアルバータ州が炭素税導入を約束することでトランスマウンテン・パイプライン拡張計画を承認したという背景がある。

 しかし、今回の判決で裁判所はカナダエネルギー委員会(NEB)の判断に欠陥があったとして、トランスマウンテン・パイプライン拡張計画の承認を無効化した。NEBはタンカー航行による海洋汚染の影響と、パイプライン建設地域に関係する先住民族への説明責任と懸念への取り組みを怠ったことを判決の理由に挙げた。

 ノッテリー州首相は30日、「アルバータ州民は怒っている。私も怒っている。アルバータは正しいことを全てやってきた。それなのに裏切られた」と生中継会見で語った。州首相はジャスティン・トルドー首相と電話で会談し、すぐに上訴するよう要求したと語り、パイプライン建設に向けた対策を取るように訴えたと語った。

 そしてアルバータ州は現在導入している炭素税について1トン当たり40ドルまで引き上げられた時点で、カナダ政府の環境対策計画から撤退すると強い口調で語った。連邦政府の環境対策はアルバータ抜きでは、ただの紙切れ同然とアルバータ州の重要性を強調した。

 炭素税は2022年に1トン50ドルまで引き上げられるが、40ドルまで引き上げられるのは早くても2年後。ノッテリー州首相はパイプライン建設が確約されるまでは、連邦環境対策に参加するつもりはないと語った。

 連邦政府は今回の判決について精査して対応すると語ったものの、詳細は発表していない。ビル・モルノー財相は、パイプラインは必ず完成すると繰り返した。連邦政府は今年5月にトランスマウンテン・パイプラインを45億ドルで買収すると発表。判決が出される30分前には、パイプラインを所有するキンダーモーガン社の株主集会で、カナダ政府への売却が99パーセントの賛成を得て承認された。

 

 

2018年9月6日 第36号

 連邦政府がブリティッシュ・コロンビア(BC)州メトロバンクーバーの公共交通機関に13億7千万ドルを支援すると改めて強調した。

 9月4日に同州サレー市で記者会見したジャスティン・トルドー首相は、サレー市で計画されているサレーLRTとバンクーバー市のブロードウェイ地下鉄の建設を連邦政府が支援することを公式に承認した。

 同席したBC州政府ジョン・ホーガン州首相は、公共交通機関の充実は、住宅問題の解決と環境への配慮という点で重要な位置を占めると語り、「(メトロバンクーバーで)これまで欠けていたのは公共交通機関の改善と充実という部分で、これで次世代に残せる改善ができる」と語った。

 今回の連邦政府支援はすでに発表されていたもので、特に新しく追加された支援ではない。この点についてトルドー首相は、「今年行われるBC州統一選挙を前に、連邦、州、市が協力して次の10年間への支援を確定したことを約束したもの」と、メトロバンクーバー市民の生活向上に大きな意味のある支援だと強調した。

 トルドー首相が率いる自由党はトランスマウンテン・パイプライン拡張計画承認以降、メトロバンクーバーでの支持率を落としている。この日は8月30日に連邦上告裁判所がパイプライン拡張計画承認無効化の判決を下して初めてのメトロバンクーバー入り。来年の連邦総選挙に向けての準備ともみられている。

 

 

2018年9月6日 第36号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州サレー市を訪問していたジャスティン・トルドー首相は9月4日、現在アメリカと交渉中の北米自由貿易協定(NAFTA)について、カナダにとって不利な合意内容になるならNAFTAを締結しない方が望ましいとの見解を改めて強調した。

 NAFTA交渉は、8月28日にクリスティア・フリーランド外相がワシントンDC入りしてアメリカとの交渉を続けている。8月30日が合意期限とされていたが、話し合いは合意に至らず、9月5日から交渉を再開している。

 報道によれば、カナダの酪農業への保護措置制度が焦点となっているともいわれ、この点についてどこで折り合いをつけるかに注目が集まっているが、トルドー首相は保護政策で譲歩するつもりはないとこの日改めて強調した。

 

 

 

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