2020年3月12日 第11号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市にあるオッペンハイマー公園で3日に暴行事件が起きていたことが分かった。バンクーバー市警が4日に発表した。

 警察によると、事件は公園内に張ってあるテントの中の一つで起きたという。被害者は32歳男性で軽傷だったが、斧の柄のようなもので顔を殴られていたと報告している。警察が暴行事件に使用されたと思われる斧を発見したところ、同じテントからさらに斧2本、ナイフ6本、ボルトカッター1つが発見されたという。前週には、やはり公園内のテントからライフルや拳銃などの武器が大量に押収され、さらにプロパンタンクもみつかっている。さらに4日未明には、この付近をパトロールしている警察官が、テントの一つが燃えているのを発見。消防署に連絡をして事なきを得ている。火事によるケガ人はなかったという。警察によると、燃えたテントは物置のような役割をしていて、人は居住していなかったようだと語っている。

 警察は以前から、公園内での安全性に問題があるとしてテントの強制撤去の必要性を強調しているが、公園を管轄するバンクーバー市公園庁が、テントの強制撤去には消極的な姿勢を示している。

 公園内には昨年からホームレスがテントを張って生活している。多い時には200以上ものテントがあったと報告されている。現在、数は減少しているがテントがなくなったわけではない。以前には道路を挟んで向かいにあるバンクーバー仏教会が盗難の被害にあい、盗難品の多くが公園内で見つかったという事件が起きている。

 安全面からも周囲の住人から懸念する声が上がっている。バンクーバー市警は、バンクーバー市、バンクーバー消防署、バンクーバー市公園庁と協力しながら、公園周囲の警備を続けていくと語っている。

 

2020年3月12日 第11号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府キャロル・ジェームズ財相が5日、自身がパーキンソン病と診断されたと語った。記者会見を開いたジェームズ財相は、2021年に実施されるBC州議会議員選挙へ出馬しないと発表、その席で病気のことを明らかにした。

 発表によると、昨年夏ごろから体験したことのない体の異常を感じていたという。そのため医師に相談し今年1月に検査を受けていたと語った。症状は手の震えや体のバランスを時々失うといったもので、軽いという。そのため投薬はまだ必要なく始めていないと明かした。

 ジェームズ財相は「パーキンソン病とは死を宣告される病気ではなく、一生付き合っていく病気」と語り、公表した理由について自分が直面していることについてオープンにしたかったこと、公表することで同じ病気を持つ人のためになるのではないかと思ったと説明した。現在BC州には1万から1万3千人のパーキンソン病患者がいるとされている。ジェームズ財相は2006年には子宮体がんを手術と放射線治療で克服している。

 ジェームズ財相は2003年、新民主党(NDP)が野党時代に党首に就任。2005年にビクトリアービーコンヒル選挙区から立候補し当選した。2010年12月まで党首を務めた。2013年のBC州選挙ではエイドリアン・ディクス党首で選挙前の圧倒的な支持率にもかかわらず、自由党に勝てずジョン・ホーガン党首が誕生。ジェームズ財相は副党首に選ばれた。2017年の選挙ではNDPが議席数で自由党を下回ったが、ジェームズ財相の尽力でグリーン党との協力政権を実現し、2001年以来の政権奪取に成功。財務大臣と副州首相に就任した。今年2月には財相として3回目の黒字予算案を提出。ジェームズ財相は来年選挙までの任期を全うすると、この日発表した。

 ジェームズ財相はBC州政界で最も尊敬されている政治家の1人。今回、自身の病状を発表した後、与野党問わず多くの政治家がコメントした。ジョン・ホーガン州首相は、「パーキンソン病はタフな病だが、ジェームズ財相はそれ以上にタフな人」と語り、その強靭な精神力で次のチャレンジに向かってくれると思うと語った。ジャスティン・トルドー首相もツイッターでコメントし、これまで30年間ビクトリアでBC州民のために、彼女の勇気と強さを持って尽力したことを労い、これからは自身のために、その力を発揮してほしいと語っている。

 

2020年3月12日 第11号

 ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーでのガソリン価格が、週末に約10セント値下がりしている。9日には株式と原油が大暴落し、原油価格は1991年湾岸戦争以来の安値を付けた。要因は、石油輸出国機構(OPEC)の減産政策に参加しないとしたロシアと、それに対抗するサウジアラビアの価格競争と、世界中に感染が拡大している新型コロナウイルスの影響による石油需要の減少と分析されている。

 石油産業が重要な経済の一角を占めるカナダにとって、原油価格下落はカナダ経済全体に影響する重大事項で、カナダドルも先週から一気に1カナダドル73USセント台まで落ち込んでいる。

 専門家によると、ガソリン価格は数日にはさらに10セントほど値下がりするとみられるが、カナダドルが下がっているためガソリンも含めた輸入品の値上がりが懸念されるとしている。

 

2020年3月12日 第11号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州保健省は10日の記者会見で、州内の新型コロナウイルス(COVIDー19)感染者が39人になったと発表した。この日は新たに7人の感染が発表された。最初に感染が確認された4人はすでに完治していることも報告した。

 BC州では9日にカナダで初の新型コロナウイルスによる死亡が確認された。死亡したのは80代男性。7日に発表された同州ノースバンクーバー市にある長期療養施設リンバレー・ケアセンターで感染した入居者2人のうちの1人だった。BC州衛生管理局長ボニー・ヘンリー博士は「家族にお悔やみを申し上げます」と語り、この男性には持病があったことを明らかにした。持病を抱えた高齢者が感染した場合が最もリスクが高いとして、この施設全体への人の出入りを制限することを7日に発表している。ケアセンターで最初に感染が確認されたのは、5日発表されたこの施設で働く50代女性で、この女性の感染源はまだ分かっていない。この女性の感染が確認されて以降、施設では死亡した男性を含めて入居者で感染したのは2人のみで、10日の記者会見でも入居者の新たな感染は確認されなかったと発表した。しかし施設の職員が最初の女性も含めて4人の感染が確認されている。

 これまでに発表された感染者はこの施設で働く50代女性を除いて、全て感染源が判明していたが、10日の会見ではさらに2人が感染経路が不明のコミュニティーケースと発表した。コミュニティーケースとは、海外渡航歴がなく、海外渡航した人との接触がないとみられる、感染した経路が不明なケースを指す。感染経路が判明していれば、本人や家族、経路の中で接触した人を特定して隔離政策を取れるが、判明していなければそれが難しいため、本人からの聞き取りをして経路を特定する努力を続けているとヘンリー博士は語った。

 ヘンリー博士は毎回の会見で、感染の拡大を防ぐために個人ができることを徹底してほしいと語り、最も有効な感染防止方法は手洗いと改めて強調。手洗いの徹底、咳やクシャミをする時は腕で口を塞ぐこと、風邪の症状があるときは仕事や学校を休むこと、そして、感染は皮膚からではなく目、鼻、口からウイルスが入ることで起こるため、手で顔を触らないこととアドバイスした。また、非常事態であることから、普段のあいさつでも握手やハグを控えたり、さまざまな物の表面を清潔に保ちあまり触らないこと、除菌用ローションを持ち歩くことも効果的とアドバイスした。体調がすぐれないときは人混みを避ける、特に高齢者は注意してほしいと語った。イベントや集会など大勢が集まる機会については、それぞれの主催者の判断に任せるとし、常識を持ってウイルスを撒き散らさない方法を検討してほしいと語った。

 10日現在でカナダの状況は、BC州39、オンタリオ州35、ケベック州5、アルバータ州14の93人となっている。

 

2020年3月5日 第10号

 カナダ全国で同時多発的に発生しているブリティッシュ・コロンビア(BC)州の先住民族を支援するデモが、政党、州首相の支持率にも影響していることが分かった。

 イプソスカナダが3月3日に発表した世論調査結果によると、ジャスティン・トルドー党首率いる自由党を支持すると答えたのは40パーセントで、先週の調査から3パーセント、昨年の総選挙時から5パーセント下落した。自由党支持が高いのはカナダ東部で、オンタリオ州43パーセント、ケベック州42パーセント。一方西部はBC州36パーセント、アルバータ州32パーセント。

 先住民族と彼らを支援する人々のデモについては、全国でデモを好ましくないと否定的に捉えたのは62パーセント、肯定的に捉えたのは24パーセント、分からないは14パーセントだった。地域別ではサスカチワン、マニトバが69パーセントと最も否定的で、次いでアルバータ、BC67パーセント。ケベックは62パーセント、列車が止まるなどしてデモの影響を最も受けたオンタリオは58パーセントと最も低かった。

 また世論調査会社アンガスリードが2月27日に実施した調査では、先住民族とデモ隊への対応について、トルドー首相の対応は適切だったと回答したのは21パーセントにとどまり、不適切は70パーセントだった。自由党支持者でも適切は50パーセントにとどまり、不適切が41パーセントだった。

 BC州ジョン・ホーガン首相については、65パーセントの州民が不適切と答え、適切は18パーセントだった。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。