毎年この時期に行われる、コーヒーチェーン店・ティムホートンズのくじ、ロール・アップ・ザ・リム。もはや国民的行事と言えるこのくじでは、車やTVのほか様々な景品が当たり、飲み終わった紙コップのふちをめくって、当たりかどうかを確かめる人々の姿がいたるところで見られる。
アルバータ州ビューモントに住むアリー・フレーザーさん(24歳)もそんなひとりだが、自称環境保護活動家の彼女にとって、そのために大量に廃棄されていく紙コップは見るに忍びないという。
自分専用のマグカップを持ってオーダー待ちの列に並ぶたび、彼女は「自然環境を優先して自分のマグカップを使うべきか、今回は車かTVが当たるかも知れない紙コップを受け取るべきか」悩んでいると取材に答えている。
また彼女は、当たりくじの誘惑に負けて紙コップを受け取れば受け取ったで、そんな自分の決断がまた多くの人を紙コップ派に向かわせるのだという思いに駆られ、自責の念にさいなまれると話している。
そんなもやもやした思いを断ち切ろうとフレーザーさんは去年、マイ・マグカップを持参した人もくじに参加できるよう、ティムホートンズに働きかける署名活動を始めた。
ティムホートンズによると、ことしはくじ用の紙コップを2億7259万個あまり用意したという。フレーザーさんは、そのうちの約1500万個の紙コップはマイ・マグカップ派の人が、くじのためにあえて紙コップを選んでしまったものだと見積もっている。
自分と同じような思いをしている人は他にもいるはずと信じて始めた署名活動。しかし昨年集まったのは、100人にも満たなかった。それでも署名をティムホートンズに手渡した彼女に対し、会社側はくじの仕組みを変えるとゴミの量が増えると説明したという。
また、レシートを使えばオンラインでもくじに参加できる仕組みにはなっているが、そこで当たる商品は紙コップくじでのものとは異なるため、公平ではないとフレーザーさんは指摘する。
しかし、ことしは彼女に追い風が吹いている。ロール・アップ・ザ・リムは始まったばかりだが、オンライン署名は先週の段階ですでに2万件近く集まった。マイ・コーヒーマグの人には紙コップではなく、小さなスクラッチカードやステッカーで、くじに参加してもらう方法もあるのではと、フレーザーさんは語っていた。