ジャスティン・トルドー首相は6日、トロントで記者会見し、連邦政府は今回のフォートマクマレーの山火事でできる限りの支援をアルバータ州にすることを約束した。

 この山火事で約9万人が避難、連邦政府はアルバータ州政府の要請に応え、避難所での必要な物資などを送るほか、カナダ赤十字に5月3日から31日までに寄付された寄付金と同額の支援金を金額の上限なしに提供することも約束した。この時点で約3千万ドルが集まっている。

 トルドー首相はアルバータ州レイチェル・ノッテリー州首相とも連絡を取り合い、必要な支援をしていくとも語った。

 前日の国会では野党第一党保守党ローナ・アンブローズ暫定党首とトルドー首相が抱き合う姿も見られた。アンブローズ暫定党首はアルバータ選出。トルドー首相が山火事の対応を最優先としていることに感謝の言葉を述べた。

 オンタリオ州政府は約100人の消防士をアルバータ州の現場に派遣すると発表した。

 

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 アルバータ州フォートマクマレー近くで発生した山火事が広がるにつれ、近郊のオイルサンド会社に大きな影響を与えている。

 専門家によれば6日の時点ですでに1日当たりの減産量が約100万バレルにも達しており、今後この数字は増える傾向にあるという。フォートマクマレー近郊はオイルサンド生産地で知られており、多くの石油会社が生産を行っている。

 これまでのところ、大手石油会社サンコア社が同地区の生産を全面停止し従業員を避難させた。他の企業も全面停止、もしくは減産など同様の措置を取っている。

 そのため、天然資源産業が主要産業のカナダ経済に大きな影響が出るのではないかとの見方が強い。5月の国内総生産(GDP)に影響することはもちろん、5月中に生産が再開されても、すぐには回復できず6月にも影響が出るとみられている。専門家は第2四半期の成長率について、これまでの予測より1から1・5パーセント下方修正している。

 

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 8日は母の日だったが、森林火災のためアルバータ州北部のフォートマクマレーから逃れ、エドモントンの避難所で生活している人たちに、花をプレゼントした女性がいる。

 エドモントンのエキスポセンターに設けられた避難所には、避難命令が出されて以来1万5000人近い人が訪れたが、先週末の段階では600人ほどがここで生活していた。

 そんな人たちがいる中で、自分だけが母の日を楽しんでいるわけにはいかないと思ったのが、同州南部のコールデールに住むリサ・ブラウンさん。彼女はこの日のために、15キロメートルほど西にある地域の中核都市レスブリッジに行き、花の寄付を求めて友人や花屋を車で訪ね600本ほどの花を集めた。

 夫と娘、そして母親も引きつれ、花で満杯になった車で6時間かけてエドモントンの避難所に着いたブラウンさん、早速ベビーカーを押して歩いていた避難所生活の女性に花をプレゼントした。相手の女性は笑顔を浮かべ、そして立ち去ったあと、ブラウンさんの夫が彼女の額にキスをすると、ブラウンさんは涙をこらえることができなかった。夫と子供が自分を祝ってくれるよりも、こうして自分が誰かの役に立てることのほうがうれしいと、ブラウンさんは話していた。

 現地を取材していたメディアによると、少なくとも別の2つのグループが、ブラウンさんと同じように花を配っていたという。また避難所内部では母の日ブランチが振る舞われていた。自分たちも森林火災の状況を憂いている母親らが、避難所生活で不安がる子供らを元気付けるためにも、この日は有意義な一日だった。

 

 

 ジャスティン・トルドー首相は6日、トロントの公共交通機関TTCに連邦政府として最高で8億4000万ドルを支援するとトロントで発表した。

 TTCは地下鉄やバス、トランジットシステムの改善などに充てるとしている。トルドー首相は「信頼できる公共交通機関は便利というだけでなく、今や必須なもの」と語り、トロントにとって公共交通機関の改善をするには、最良の第一歩になるだろうと語った。

 連邦政府は今年3月に発表した予算案で全国の公共交通機関を支援するためのトランジットマネー34億ドルを計上。今回もそこから捻出される。

 トロントは今年中に支援金を受け取れること、連邦政府が承認されたプロジェクトの50パーセントを負担すること、支援金はトロントがその使い道を自由に決められることなどが特徴的と政府は強調している。

 同様の支援は、ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーのトランスリンク社へもすでに発表されている。

 

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 カナダ統計局は6日、4月の失業者数が2100人だったと発表した。失業率は7・1パーセントと前月と変わらなかった。3月は4万人増と大きく雇用状況が改善したが、4月は一転減少に転じた。

 失業者数は、産業別では製造業が最も多く1万6500人、次いで天然資源産業7800人、農業7000人、建設業5700人。製造業は昨年の12月以降、失業者数5万2000人と厳しい状況が続いている。専門家は、カナダドル安やアメリカ経済の回復による輸出業の好転が期待される中、製造業での失業者数増加は期待外れとの見方をしている。ただ、4日に発表された貿易収支報告で輸出額が減少し貿易赤字幅が拡大、その中で自動車・自動車部品の輸出が11項目中で最も減少していたことでも製造業の厳しい状況が現れている。

 一方で、小売業・卸売業で2万6800人増、宿泊・フードサービス業で2万1900人増と好調な伸びを見せている。

 地域別では、アルバータ州で失業者数2万800人と最も多く、天然資源産業と製造業の不調が同州の雇用状況を悪化させている。同州での天然資源産業の失業者数は2014年4月を頂点に5万人と原油価格の急落以降、厳しい状況が続いている。加えて、最近同州フォートマクマレーで起こった大火事も、オイルサンド生産地を直撃しているため、今後大きな影響が出ると予想されている。

 一方でブリティッシュ・コロンビア州は、好調な経済状況を表すように1万3000人増とアルバータ州の失業者数を相殺。また、ニューファンドランド&ラブラドール州で6100人増だった。その他の州の増減は微少だった。

 カナダ統計局の発表を受け、カナダドルは77・41米セントに下落。4月18日以来の安値をつけた。

 

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