8日は母の日だったが、森林火災のためアルバータ州北部のフォートマクマレーから逃れ、エドモントンの避難所で生活している人たちに、花をプレゼントした女性がいる。

 エドモントンのエキスポセンターに設けられた避難所には、避難命令が出されて以来1万5000人近い人が訪れたが、先週末の段階では600人ほどがここで生活していた。

 そんな人たちがいる中で、自分だけが母の日を楽しんでいるわけにはいかないと思ったのが、同州南部のコールデールに住むリサ・ブラウンさん。彼女はこの日のために、15キロメートルほど西にある地域の中核都市レスブリッジに行き、花の寄付を求めて友人や花屋を車で訪ね600本ほどの花を集めた。

 夫と娘、そして母親も引きつれ、花で満杯になった車で6時間かけてエドモントンの避難所に着いたブラウンさん、早速ベビーカーを押して歩いていた避難所生活の女性に花をプレゼントした。相手の女性は笑顔を浮かべ、そして立ち去ったあと、ブラウンさんの夫が彼女の額にキスをすると、ブラウンさんは涙をこらえることができなかった。夫と子供が自分を祝ってくれるよりも、こうして自分が誰かの役に立てることのほうがうれしいと、ブラウンさんは話していた。

 現地を取材していたメディアによると、少なくとも別の2つのグループが、ブラウンさんと同じように花を配っていたという。また避難所内部では母の日ブランチが振る舞われていた。自分たちも森林火災の状況を憂いている母親らが、避難所生活で不安がる子供らを元気付けるためにも、この日は有意義な一日だった。

 

 

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