ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市にある、デイブ・パシンさんが幼少時代を過ごした自宅が売却されたのは、昨年の8月のことだった。

 しかし彼の元に最近、この家での侵入盗の知らせが届いた。225万ドルで買い手がついた、同市ガバメント・ロードに面するこの物件は、パシンさん一家が引っ越して以来、空き家となっている。

 「電線や銅など金属類、転売できそうなものが盗まれている」と、パシンさん。盗難を目撃した近所の人が、他に知らせる先を知らないからと、彼に電話をかけてきた。

 それによると、何者かが家の脇の鉄製ゲートを盗もうとしていたが、その場に居合わせた警察官は特に取り締まることもせず、犯人がゲートを持ち去るのを看過していたという。

 しかしパシンさんにも何もできない。登記上では、現在の所有者は中国・成都市に住むリャンチー・チャとなっている。

 その後、何件かの苦情を受け取った市は、不審者がこの家の裏庭にあるプールに侵入することを防ぐため、ゲートを塞ぐ処置をした。この家は公園とコミュニティセンターに隣接している。

 パシンさんに電話連絡した隣人は、こうした海外オーナーの空き家は、コミュニティ内での侵入盗の増加を招くなど悪影響を及ぼすと、危惧している。

 市は水道を止めるとともに、検査官を派遣することとした。市が何らかの対策を施すことになった場合には、その費用が固定資産税に上乗せされる。

 一方、この物件の売買に携わった不動産エージェントは、中国の所有者に連絡を取り、現状を説明している。エージェントによると、所有者は物件の管理については、まったく何も行っていなかったという。そして今回はじめて、このエージェントに管理会社の選択を委任するとともに、そのままになっているプールの水も抜くとしている。

 オーナーは5月には現地を訪れる予定だが、パシンさんは「家を購入するには、それなりの責任を果たすべきだ」と語っている。

 

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 当時18カ月だった息子に必要な治療を施さず死亡させたとして、アルバータ州グレンウッドの夫婦に4月26日、有罪判決が下された。

 有罪が言い渡されたのは、デビッド・スティーブン被告(32歳)とコレット・スティーブン被告(35歳)。スティーブン夫婦は2012年3月、容態が思わしくない息子のエゼキエルちゃんを2週間以上にわたり、自然療法だけで回復させようとした。しかしエゼキエルちゃんは髄膜炎を発症しており、これが原因で死亡した。

 その11カ月後に訴追された夫婦は、裁判の過程でエゼキエルちゃんは単にかぜか咽頭炎にかかっていたものと思い込み、トウガラシやニンニク、タマネギのほかホースラディッシュ、リンゴ酢、水で薄めたメープルシロップなどの自然療法で治療を試みていたと証言している。

 また、友人の看護師からエゼキエルちゃんは髄膜炎の疑いがあると指摘されても病院には連れて行かず、かわりに同州レスブリッジにある自然医療のクリニックまで呼吸器系疾患に効果があると言われている薬草エキナセア混合薬を車で購入しに行っただけだった。その時、エゼキエルちゃんの体は硬直してベビーシートに座ることができず、床に敷いたマットレスに寝かせて連れて行かざるを得なかったという陳述も法廷で述べられた。

 検察は、夫婦が子供のことを愛していたことを認めながらも、国が定める医療基準に従っていなかったと主張。これに対し弁護側は、夫婦はエゼキエルちゃんの病状を的確に把握していなかっただけで、夫婦としての子供に対する責任は果たしていたと反論した。

 この件を評議してきた女性8人、男性4人からなる陪審員は、夫婦は幼児の生命維持に必要な手段を提供しなかったとして、有罪を答申した。なお量刑については、6月に裁判所が決定する予定。

 しかしこの判決に納得しないスティーブン被告は、自身のフェイスブックに「陪審員の皆様へ」と題した抗議文を掲載した。いわく、陪審員は検察の偏見と作為に満ちた陳述に惑わされたことに気がついてほしかった。また今回の答申は、今後は政府の定める親の義務に従わない者は誰であれ、刑事罰に処すことができる前例を作ってしまったと批判している。また彼はメディアの取材に対し、このような前例を許さないためにも、控訴を考えていると話している。

 

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 オンタリオ州トロントの高校教師が、インターネット上で国内産トマトを使用したケチャップを支援するだけではなく、もっと行動するよう呼びかけている。

 最近、ネット上で食品メーカー・フレンチズのケチャップがいかに地元産業に貢献しているかを知り、共感した高校教師のロバート・バジルさん。彼はそのロゴをもとに「ケチャップ・パトリオット」というTシャツまで製作、その販売で同州各地を巡り、同社のケチャップを積極的に支援している。

 同社は、2年前まで同州レミントンで操業していたケチャップ大手ハインツの工場を引き継ぐ形で、地元の雇用とトマト産業の危機を救ったのみならず、同社のケチャップの原料にこの工場のカナダ産トマト・ペーストを使用することを決定した。この経緯を発信したフェイスブックから、インターネット上ではカナダ製品の購買を盛り上げる話題が広がっていた。

 バジルさんいわく、ケチャップは物語の出発点でしかないという。それは単にハインツのケチャップを買うかフレンチズを買うかという問題ではなく、どこで作られたかを意識して物を買うという、一人ひとりの行動が、周りのカナダ人にも影響を与えていくという認識が大事なのだと指摘している。

 バジルさんの妻は、レミントンのあるエセックス地区の出身。バジルさんは結婚して妻の実家を訪れるようになってから、安定した農業や製造業が地方都市や農村にとっていかに重要なのかを知ったと語っている。

 そんなバジルさんは、オンタリオ州内で製造された「ケチャップ・パトリオット」のTシャツを着て、イースターの週末にはレミントンのファーマーズマーケットでTシャツを売っていた。しかし「ここでTシャツを売っているのではなく、自らの消費行動がいかに地元産業に影響を与えているか、そのことをより多くの人に伝えるために、ここにいるのだ」とバジルさん。

 また取材の最後に彼は、インターネット上で盛り上がるのは簡単だが、みんなが表に出て具体的な行動に出ることが大事だとも付け加えている。

 

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 ジェーン・フィルポット保健相は20日、世界の薬物問題に関する国連(UN)の特別会合で、自由党政権は2017年春にマリファナを合法化する新法を導入することを表明した。

 ジャスティン・トルドー首相は、昨年の選挙戦からすでに、政権を取った場合はマリファナの合法化を行うと公約として掲げていた。

 フィルポット保健相は、「(合法化することで)子供たちの手に届かないようにするとともに、犯罪組織の利益とならないようにすることが必要」と述べ、「法執行機関とも協力し、適正な刑事法となるよう整備していく」と語った。

 マリファナ合法化を発表した4月20日は、マリファナ愛好家たちが集う「ウィード・デー」。全国各地で愛好家たちが集まってマリファナを楽しむ姿が見られた。

 フィルポット保健相は、この日をわざと選んで表明したわけではないが、政府としては象徴的に利用し、今後の議論に活かすことができると思ったと語った。国連では19日から21日まで会合が開催された。カナダのやり方が国連加盟国すべてに受け入れられるとは思っていないが、若者をマリファナから保護することには有効的との考えを示した。

 野党の反応は両極端に分かれた。保守党は政権を取っていた頃からマリファナの合法化には反対の立場で、今回も自由党政権の法整備を見極めるとしながらも基本的には反対の立場を取っている。一方、新民主党(NDP)はトム・マルケア党首が、来年では遅すぎるのではないか、公約違反なのではないか、一刻も早い合法化が必要と積極的な推進の立場を主張した。

 

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 オンタリオ州裁判所裁判長は21日、マイク・ダフィ上院議員に対する31件の罪について、全てで無罪を言い渡した。

 チャールズ・べイランコート裁判長は、保守党前政権の首相事務所のやり方を「信じられないほど衝撃的だ」と非難し、ダフィ議員は駒として使われただけとの認識を示した。

 ダフィ議員は、2013年に明らかになった一連の上院議員不正受給問題で刑事事件として扱われた4議員のうちの一人。合わせて31件の詐欺罪、背任罪、収賄罪に問われていた。

 4議員の経費不正受給問題の中でも、ダフィ議員の場合は背後に首相事務所が絡んでいたことから非常に複雑で、連邦選挙前でもあったことから国民が高い関心を寄せていた。

 経緯は、ダフィ議員が住宅手当、交通費などで約9万ドルの不正受給があったことが2013年春に明らかになった。その直後、ダフィ議員は自身が銀行から借金をして不正分を返済したと発表。この時点でも、本人は不正をしたとは思っていないと主張していた。

 しかし、この返済した9万ドルは、当時スティーブン・ハーパー首相事務所の首席補佐官だったナイジェル・ライト氏が個人的に支援していたことが発覚。首相事務所も、ハーパー首相(当時)もこれについては一切関係ないと強調した。ところが、のちにダフィ議員が上院で明らかにしたところによると、この件ではライト氏以外にもハーパー首相も承知していたという。ダフィ議員は常に裁判で詳細を明らかにしたいと語っていた。

 この日、2年以上にわたって行われてきたダフィ議員への裁判で全面無罪となったことで、他の3議員についても罪に問われない可能性が出てきた。

 裁判長は、ダフィ議員については判決文の初めから、首相事務所によるシナリオの犠牲者という立場を示唆しており、ダフィ議員がライト氏から受け取った約9万ドルはダフィ議員には何の利益もなく、この行為による利益を得たのは首相事務所側と述べた。

 ダフィ議員の代理人を務めたドナルド・ベイン氏は、「全面無罪」を強調し、検察側の説明が必要との見解を示した。判決後の記者会見で同氏は、「ダフィ議員は約2年半から3年にわたって、カナダの歴史上公人として最も衆目に晒された人物だと思う」とその苦痛を述べた。さらにその後のラジオインタビューでは、弁護側(ダフィ議員側)がハーパー前首相が証人喚問された場合も想定していたことを明かしたが、結局は実現しなかった。

 これでダフィ議員は通常の上院議員としての職務に戻ることになる。不正とみなされ刑事事件となって以降、一時的に支給停止となっていた上院議員としての給与も請求できるのではないかとみられている。

 昨年の総選挙で自由党が勝利したため、保守党政権時代に起こった上院議員不正受給事件についてはハーパー前首相の関与など、やや関心が薄れたような感は否めないが、今後は検察側の説明や他の3議員の裁判に注目が集まる。

 

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