ノバスコシア州ハリファックスの中心街、人が行き交う歩道で、制服を着た警察官が路上生活者と並んで座って話し込んでいる画像がインターネット上で話題になっている。

 たまたまそばを通りかかったブルーノ・ボーリンさんが「すばらしい光景だ」と写真を撮りツイッターに投稿したところ、またたくまにインターネット上に広がった。

 写真の中の警察官は、地域住民との交流を通じて犯罪の未然防止に努める、コミュニティ巡査のショーン・カリーさん。自分がインターネット上の話題の人になっていたとは、妻がそれを見つけて彼に知らせるまで気がつかなかったという。

 この時カリーさんはその路上生活者と、最近の暮らしぶりについて話していたとメディアの取材に答えている。「自分は彼のことを9年間見てきた」とカリーさん。コミュニティ巡査として、地元の人々と知り合い、彼らの抱える問題に向き合い助けることが、自分の仕事だと説明する。

 この路上生活者は、ほぼ毎日その場所でバイオリンを弾きながら、生活の糧を得ている。「彼はちょうど演奏前のウォームアップでヨガをしていたところだったので、彼と目線を合わせるためには歩道に座り込んで話す方がいいと思った」と、当時の状況を語っている。

 また写真を投稿したボーリンさんは、最近はよくないニュースばかり目にするが、こうした心打たれる光景にも出くわせるとコメント、こうした対応が日常会話をもう一歩意味のあるものに展開していくと付け加えている。

 ハリファックスでは最近、路上生活者の強引な態度が市中心部から一般人を遠ざけていると問題視する意見も出されている。これに対しカリーさんは、人々の安全は大事だが、路上生活者も人間であり、感情の浮き沈みもあれば人に当り散らしたくなるようなこともあるだろうが、それが彼らの日常の態度だとは思えないと答えている。

 いずれにせよ、今回の写真が人気になった背景には、警察官との人間レベルでの会話が求められているのだろうと取材に語っている。制服を着た自分たちは常に、権威に裏付けられた警察官とみられているが、実際にはコーヒーショップや屋外でもどこでも、腹を割った会話を作り出すよう努力していると話していた。

 

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 ブリティッシュ・コロンビア州大学で天文学を専攻していた学生ミッシェル・クニモトさん(22歳)は、5月30日に卒業式を迎えた。

 彼女は在学中に、太陽系外の惑星を4個発見するという特筆すべき研究成果を残した。

 映画にもなったTV番組「スター・トレック」を見て以来、系外惑星に興味があったというクニモトさん。番組全体を通してのテーマとなっていた好奇心と探究心が、「人類は孤独であるのか」という長年の問いの答えを見つけるのに必要だったと、メディアの取材に語っている。

 彼女は何カ月もかけて、ケプラー宇宙望遠鏡が記録した、恒星の明るさに関する400ものデータを精査してきた。恒星の明るさが突然落ちることがあれば、それは恒星の前を惑星が横切ることで、恒星の光を一部遮っていた可能性がある。この研究のことを、クニモトさんは「騒々しいパーティー会場の中から、ひそひそ話を聞き分けるようなもの」と表現している。

 また、データ解析中にそのような明るさの変化が見つかっても、彼女は結論を急がず検証を重ねてきた。「検証にはとても慎重だった」とクニモトさん。しかし検証を重ねれば重ねるほど、これが惑星の恒星面通過によって引き起こされたものであるとの確信が強まっていったという。

 最終的に、4つの惑星候補が全ての解析と検証をパスした。その中でクニモトさんが最も注目しているのは、『ケプラー・オブジェクト・オブ・インタレスト408・05』と命名された惑星。彼女はこれを『暖かい海王星』と呼んでいる。その理由は、この惑星のサイズがちょうど海王星ほどであり、かつ恒星からの光で温められる距離にあるため。このことは、生命発生のための重要なカギとなる。またこの惑星は、地球から約3200光年のところにあるという。

 クニモトさんが発見したこれら4個の系外惑星は、第三者による確認が終了するまでは『惑星候補』扱いとなる。しかし彼女の指導教授は、ほぼ間違いなく承認されるとみている。

 天文学教授ジェイミー・マシューさんは、この研究は時間がかかるものだと、クニモトさんの地道な努力を評価。さらに15万件におよぶデータがあるうち、たった400件の中から4個の系外惑星を突き止めた彼女の研究成果を賞賛していた。

 また5月28日にはUBCのバンクーバーキャンパスに招かれていた、スター・トレックにカーク船長役で出演していたウィリアム・シャートナーが、ステージ上から彼女の功績を多くの参加者の前で披露した。このことはクニモトさんには事前には知らされておらず、本人は「とてもびっくりして光栄に思うと同時に、顔が火照るのがわかった」そうだ。

 

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 ジャスティン・トルドー首相は、5月26日から日本で開催されるG7(7カ国首脳会議)に出席するため23日(日本時間)に日本に到着した。6カ国の首脳の中では1番乗り。G7開催地の伊勢志摩入りする前に、安倍晋三首相との会談や自動車産業経営陣との話し合いなどを行った。

 安倍首相との会談では、トルドー首相は経済関係強化を強調、二国間自由貿易協定(EPA)、TPP、安全保障協力、教育、北極圏問題などが話し合われた。また、自動車産業界ではスバル、トヨタ、ホンダの関係者と面会するとされ、現在カナダにある日本の自動車メーカーにさらなる投資を促すほか、カナダに工場を保持するよう要請した。日本側は、東シナ海や南シナ海での中国の脅威が増していることについて、この地域での安全保障問題を前面に持ち出した。

 トルドー首相は24日(日本時間)にはソフィ夫人と共に明治神宮を参拝。絵馬を奉納した。また同日、天皇皇后両陛下とも謁見した。

 トルドー首相が安倍首相と会談するのは、昨年11月フィリピンのマニラで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力閣僚会議)、ことし3月にワシントンDCのホワイトハウスで行われた核セキュリティサミットに続き3回目。訪日は首相としては今回が初めて。

 

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 ジャスティン・トルドー首相が5月26、27日に日本の伊勢志摩で開催されるG7(7カ国首脳会議)で、イギリスのデイビッド・キャメロン首相と共に、テロリストへの身代金支払いを拒否するよう提案することが22日分かった。CBCが伝えた。

 カナダはテロリストの身代金要求に対して一切応じないとの対応を取っている。昨年フィリピンでテロリスト集団アブ・サヤフに拘束されたカナダ人への身代金要求も拒否。ことし4月、人質は同集団によって殺害されたことが分かった。トルドー首相は、「テロリストに対しては、直接的だろうと、間接的だろうと、絶対に身代金を支払うことはしない」と、その後の会見で語った。身代金がテロリストの資金源になるというのが理由。身代金を支払うことで、世界中で活躍するカナダ人の生命の危険を増すことになるとも語った。

 しかし、イスラム国が横行して以降、ヨーロッパの国々では、人質解放のために身代金を裏から関係者を利用し支払うこともあるという。

 今回でのG7ではそうしたことがないようイギリスと共にこの問題を提案するとしている。

 

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 ジャスティン・トルドー首相は19日、ロイターのインタビューに答え、イギリスがEU(欧州連合)に残ることが望ましいと語った。同首相がイギリスの国民投票について言及するのは、これが初めて。

 イギリスは常に大きな影響力を持っている。EUの一員であることで、それが一層増幅されると、インタビューの中でトルドー首相は語っている。

 カナダはイギリスとの関係が強い。現在でもイギリス連邦の一員でもあり、最も距離の近い同盟国の一つとの認識がある。

 これまでドイツのメルケル首相やアメリカのオバマ大統領も、公式にイギリスのEU残留がイギリスや欧州だけでなく、世界にとって最善の状態であるとの認識を公に語っていた。

 今回のインタビューでのトルドー首相の発言が、カナダ国内で大きな影響があるということはない。ただカナダはようやくEUとの自由貿易が合意に達し、イギリスがEUにとどまることがカナダにとって望ましいことは間違いない。

 イギリスでの住民投票は、ことし6月23日に実施される。

 

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読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。