ノバスコシア州ハリファックスの中心街、人が行き交う歩道で、制服を着た警察官が路上生活者と並んで座って話し込んでいる画像がインターネット上で話題になっている。

 たまたまそばを通りかかったブルーノ・ボーリンさんが「すばらしい光景だ」と写真を撮りツイッターに投稿したところ、またたくまにインターネット上に広がった。

 写真の中の警察官は、地域住民との交流を通じて犯罪の未然防止に努める、コミュニティ巡査のショーン・カリーさん。自分がインターネット上の話題の人になっていたとは、妻がそれを見つけて彼に知らせるまで気がつかなかったという。

 この時カリーさんはその路上生活者と、最近の暮らしぶりについて話していたとメディアの取材に答えている。「自分は彼のことを9年間見てきた」とカリーさん。コミュニティ巡査として、地元の人々と知り合い、彼らの抱える問題に向き合い助けることが、自分の仕事だと説明する。

 この路上生活者は、ほぼ毎日その場所でバイオリンを弾きながら、生活の糧を得ている。「彼はちょうど演奏前のウォームアップでヨガをしていたところだったので、彼と目線を合わせるためには歩道に座り込んで話す方がいいと思った」と、当時の状況を語っている。

 また写真を投稿したボーリンさんは、最近はよくないニュースばかり目にするが、こうした心打たれる光景にも出くわせるとコメント、こうした対応が日常会話をもう一歩意味のあるものに展開していくと付け加えている。

 ハリファックスでは最近、路上生活者の強引な態度が市中心部から一般人を遠ざけていると問題視する意見も出されている。これに対しカリーさんは、人々の安全は大事だが、路上生活者も人間であり、感情の浮き沈みもあれば人に当り散らしたくなるようなこともあるだろうが、それが彼らの日常の態度だとは思えないと答えている。

 いずれにせよ、今回の写真が人気になった背景には、警察官との人間レベルでの会話が求められているのだろうと取材に語っている。制服を着た自分たちは常に、権威に裏付けられた警察官とみられているが、実際にはコーヒーショップや屋外でもどこでも、腹を割った会話を作り出すよう努力していると話していた。

 

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