イギリス・オランダの石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルは4日、ブリティッシュ・コロンビア州北西部キティマットで進めている液化天然ガス(LNG)開発事業について、最終的な投資決定を今年末まで延長すると発表した。当初は今春にも決定を発表する予定だった。

 同日に発表した2015年通期決算で、利益が前年比87%減の19億4000万ドルと13年以上ぶりの低水準だったと報告。原油価格の急落が要因で、これからも必要があれば経費削減をさらに進めていくと発表した。

 同社はすでに事業計画の延期や撤退を表明。カナダ国内では、昨年10月、アルバータ州カーモン・クリークのオイルサンド事業から撤退することを発表した。

 シェルカナダ広報は、「LNGカナダ合弁事業パートナーは、市場の状況を踏まえ、最終投資決定を2016年末まで延長することが理にかなっているということで合意した」と発表した。LNGカナダは、シェルが50パーセントを出資、その他、中国石油天然気、韓国ガス公社、三菱商事が共同出資している。

 同じくキティマットでLNG開発事業を進めているマレーシアの国営企業ペトロナス社主導の計画は、昨年6月に一応の最終投資決定をした。しかし、設備建設の環境査定が現在も進行中で、自由党政権の環境審査基準変更により、さらに遅れる可能性がある。一方、LNGカナダはすでに環境基準については許可が下りている。

 今回のシェルの発表についてBC州クリスティ・クラーク州首相は、原油価格急落により事業縮小が行われる中、LNGカナダが依然BC州のLNG事業に関心を持ち今年中に回答を出すというのは前向きな姿勢だと思うと語った。

 

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