カナダ銀行スティーブン・ポロズ総裁は9日、バンクーバーとトロントで高騰し続ける住宅価格について言及、このまま高騰し続けるという可能性は低いとの見方を示した。

 カナダ銀行が2年に一度発表する金融システム報告書が発表されたことに合わせての会見となったこの日、ポロズ総裁は、これから住宅を購入しようと考えているなら将来的にも現在のような価格上昇が続くということは考慮しない方がいいと語り、価格下落の可能性も大いにあるとの考えを示した。

 一方で原油価格下落による経済的影響を受けているアルバータ州などでは住宅価格が下落し、販売数も落ち込んでいると指摘。その他の都市では緩やかな上昇にとどまり、全国的にアンバランスな状態はふさわしくないとも語った。

 また、世帯当たりの負債率が高い水準にあることが金融システムに悪影響を及ぼすと今回も警鐘を鳴らしている。高い負債率の要因の一つが住宅価格高騰によるものであり、引き続き警戒が必要と語っている。

 ポロズ総裁の記者会見の前日には、ビル・モルノー財務相が両都市の住宅市場について言及。連邦政府もこの両都市の住宅市場についてさらなる調査が必要との認識を示し、価格上昇を食い止めるための方策が必要かどうか見極めると語った。「国民が住宅を購入できるようにしなくてはならない」と語ったが、何らかの方策を早急に実施するかどうかについては言及しなかった。ただ連邦政府が対応策を実施する場合は、調査に基づくものでなければならないと述べ、海外投資家による価格つり上げによるものなのか、人口増加などの自然現象による供給不足なのかなど原因を調べると語った。

 

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 オンタリオ州は8日、独自の環境対策計画を発表。5年間で83億ドルの予算を計上し、環境対策に本格的に乗り出す。今回の計画には来年1月から実施するキャップ&トレード制度への参入や、住宅暖房費、ガソリン価格への事実上の課税導入、さらには電気自動車購入者への返金制度、電気自動車所有のための改築費への支援などを盛り込んでいる。

 その前日の7日には、アルバータ州で炭素税導入に関する法案が州議会で可決された。これにより来年1月1日より暖房費やガソリン価格に炭素税が導入されることになる。アルバータ州は導入から2年間で30億ドルの歳入を見込んでいる。これらはグリーンインフラ費用に充てられる予定のほか、温室効果ガス削減のためのプロジェクトにも回される。

 さらに連邦政府でも炭素税か同様の制度導入に向けた動きが始まっている。ジャスティン・トルドー首相は今月初め、炭素税に似た制度導入に対し前向きな発言をしている。ビル・モルノー財務相も同様の制度導入は温室効果ガス削減対策として経済的にも効果的との意見を述べている。

 連邦政府は2030年までに2005年比で30パーセントの削減目標を掲げている。炭素税導入には反対する州も多く、今夏にも連邦政府と州政府とで話し合いが行われる予定になっている。

 炭素税についてはブリティッシュ・コロンビア州ですでに導入されているが、クリスティ・クラーク州首相になって以降、2012年より価格が凍結されている。クラーク州首相は価格を引き上げる計画をすでに発表しており、連邦政府は早い段階で実施するよう促している。

 

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 オンタリオ州オタワの中心部で8日、道路が道幅いっぱいに陥没する事故が発生した。

 場所は同市リドー通りとサセックス・ドライブの交差点近く。陥没が発生したのは午前10時30分ぐらいで、水道管損傷のほかガス漏れも発生し、すぐ隣のショッピングモールなどには避難命令が出された。また近隣のビル7棟が停電した。

 陥没した道路の下では、軽軌道鉄道のトンネル掘削工事が行われていた。また道路わきに駐車していたバンが、陥没でできた穴に転落したが、幸いけが人は出なかった。

 現場に居合わせた人によると、陥没直後は壊れたガス管から吹き出るガスが甲高い音を出していて、付近はまたたくまにガス臭が充満したという。同日夕方からはトンネルにたまった水の排水作業とともに、隣接するビルの基礎を守るためのコンクリートを流し込む作業が始まった。

 オタワ市は事故原因を調査中だが、事故直後から閉鎖されていた商業施設―シャトー・ロリエー・ホテル、ウェスティン・ホテル、マイルストーン・レストラン、メトロポリタン・レストラン、リドー・センター・ショッピングモール、ベイ・デパート、チャプターズなど―は13日までに75パーセントが全面、もしくは一部営業を開始した。

 

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 ケベック州モントリオールに住むアントワーヌ・デュポン君(15歳)は、筋ジストロフィーを患っており、2〜3年前から車椅子の生活を送っている。それでも飛行機好きのアントワーヌ君は、父親のステファンさんとドローンを操縦するのが大好きだ。

 そんな彼に、そろそろ新しい車椅子が必要だという話が持ち上がった時、友人のハル・ニューマンさんは、航空関係の会社のいくつかにパイロットシートの余りはないかという電子メールを送った。本人は半分冗談のつもりだったので何も期待していなかったが、これが『アントワーヌのコックピット』プロジェクトの発端となった。

 電子メールを送って間もなく、ニューマンさんに「君が、例の車椅子プロジェクトに関わっている人物か」という電話が何本もかかってきた。最終的にエアカナダ、ベル・ヘリコプター、そしてシエラ・ホテル・エアロノーティクスが協力し、アントワーヌ君に新しい車いすを製作するプロジェクトを立ち上げることになった。さらにケベック州バゴビルのカナダ空軍もプロジェクトに参加するという、前代未聞のプロジェクトに発展、ついに本物のパイロットシートを装備した電動車いすが完成した。

 この展開を目の当たりにしたニューマンさん、人の思いやりというものを再認識させられたと取材に語っている。

 多くの人に囲まれ、おまけに取材陣のフラッシュを浴びたアントワーヌ君、最初はこの車いすに乗るのをためらっていた。そこで、この日のために、日本からの長距離フライトを終えたその足で駆けつけたエアカナダのパイロット、フレデリク・ベランガーさんが5点式シートベルトの締め方をデモンストレーションしてみせた。20年以上パイロットシートに座っているベランガーさんだが、この日ほど感動したことはなかったと話している。

 また車いすのデザインを担当したエアベース・サービス社の副社長クラウデ・フォウリナーさんも、開発に何カ月もかけたこの車いすがアントワーヌ君に手渡される瞬間に立ち会うことができて感動したと語っている。

 パイロットシートの座面は、長時間同じ姿勢で操縦を続けるパイロットのために、柔らかくかつ通気性のある羊毛が今でも使われている。最近アントワーヌ君は1日の終わりに背中の痛みを訴えることが多かった。父親は新しい車いすがプレゼントされたことに感動すると同時に、これでアントワーヌ君が快適に過ごせるようになることを喜んでいた。

 さらに、今までは車いすを押すため背後からしかアントワーヌ君に声をかけられなかったが、これからは並んで歩けると、うれしそうに付け加えていた。

 

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 MLS(メジャーリーグサッカー)バンクーバー・ホワイトキャップスFCは8日、BCプレースでオタワ・フューリーFCとACC(アムウェイ・カナディアン・チャンピオンシップ)決勝戦への進出をかけて対戦。崖っぷちの試合で本領を発揮した。

 ACCは来年のCONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)チャンピオンズリーグへの出場権をかけたカナダ代表クラブチームを決定する大会で、毎年5チームで争われる。

 今年のホワイトキャップスは2部リーグのヒューリーと準決勝で対戦。楽勝するかと思われたが、オタワでの試合に2‐0と負け、ホームで3点差以上を取らなければならない厳しい試合となった。

 しかし、この日はフォワードが絶好調。開始早々3分にPKで得点すると前半に追加点、後半にもリベロが決め3‐0。このままリードを守りきり、辛うじて決勝への切符を手にした。

 もう一方の準決勝、トロントFC対モントリオール・インパクトはトロントが制し、決勝はバンクーバー対トロントとなった。試合は22日トロントで、29日バンクーバーで行われる。

 

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