ジャスティン・トルドー首相は16日、高騰し続けるバンクーバーの不動産事情について対策が必要との考えを示した。

 バンクーバーを訪問中だったトルドー首相は同日の記者会見で、バンクーバーの状況を「重大な危機」と表現、「国民がもっと住宅を購入しやすいように何らかの対策が必要なことは連邦政府も承知している」と語り、バンクーバーとトロントについて懸念を示した。

 また翌日現地ラジオ局に出演した時には、バンクーバーの不動産事情について「明らかに海外資本が不動産高騰の要因となっている」と語り、アジアからの資本が流れ込んでいるためとの認識を示した。

 ただ連邦政府としては突出している2都市の不動産対策のために他の都市に悪影響を及ぼすような政策は避けなければならないとし、「バランスの取れた対策が重要となる」と、不動産対策の実施については慎重な姿勢を示した。そのために17日にはメトロバンクーバーの政財界の専門家の意見を聞く会議を開き、意見交換した。

 バンクーバーの不動産については17日、サイモンフレーザー大学アンディ・ヤン氏が価格調査結果を発表。同市内の一軒家の約90パーセントが100万ドルを超えると報告した。10年前には19パーセントだったが、2014年には59パーセント、2016年には91パーセントを占め、ここ2年で急速に高騰していることも強調した。

 今月14日にはグレゴール・ロバートソン・バンクーバー市長が、所有者がいながら住居者がいない住宅について課税する対策を改めて示唆している。そうすることで所有者が賃貸することを促すのが狙い。現在バンクーバーでは賃貸住宅が不足しており、同市の調査によると約1万戸が非住居者住宅として放置されているため、賃貸住宅への転用を期待できるとしている。

 ただ、非住居者住宅への課税については州政府との協力が必要で、市が単独では実施できない。ブリティッシュ・コロンビア州政府は同課税制度については反対の姿勢を以前から示しており、今回も同市に区画整備による住宅建設増加などの市ができることをやることが必要との見解を示している。バンクーバー市長は課税をする場合の最も効果的な方法を現在検討中で、市としてできることが確定すれば夏の議会休会前に市議会にかけるとしている。

 

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 ジャスティン・トルドー首相は16日、バーナビー市で記者会見を開き、ブリティッシュ・コロンビア州政府と同州公共交通機関への投資協定を承認したと発表した。投資額は合わせて9億ドル。連邦政府が4億6000万ドル、BC州政府が3億800万ドル、市町が残りを負担する。

 トルドー首相は、公共交通機関整備への投資は国民の生活を向上させるもので、ビジネスにも好影響を与えると語り、連邦政府として公約したことを実現するために州政府や市と協力していくと語った。

 今回のBC州政府との承認は、連邦政府が掲げた1200億ドルの「カナダ投資」プランの一環で、この先10年間で全国のインフラ整備プロジェクトを支援していくというもの。州政府との正式合意は、BC州が初めてとなる。

 今回の合意により、BC州の公共交通機関は、メトロバンクーバーではスカイトレインの列車数を合わせて50台増加するほか、ウエストコースト・エクスプレスも5台増加、シーバスも現在の15分に1便から10分に1便に増加することになる。また新スカイトレインサービス2件、バンクーバーのブロードウェイサブウェイとサレーのLRT建設については1億5700万ドルが投資され、事業計画と予備建設に充てられる。ただ実際の建設費用はこの中に含まれていない。

 記者会見に同席したBC州クリスティ・クラーク州首相は「地域にとって非常にいい投資となる」と語った。グレゴール・ロバートソン・バンクーバー市長も連邦政府の支援を歓迎、これまで常に資金不足に陥っていたために手掛けられなかったプロジェクトに一定の目途が立つと語った。

 

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 バンクーバー市は20日、キンダーモーガン社が計画しているトランスマウンテン・パイプライン拡張工事を承認したカナダエネルギー局(CEB)に対し、提訴したことを明らかにした。

 市によると、17日連邦上告裁判所に承認取り消しを求める申請を提出したという。グレゴール・ロバートソン・バンクーバー市長は、NEBによる環境調査は「不備と偏見」により決定されたもので、オイル漏れや温室効果ガス排出増加への科学的な証拠に欠けている決定と、20日の声明で主張した。

 トランスマウンテン拡張工事とは、アルバータ州のオイルサンドをメトロバンクーバーの港まで運ぶパイプラインを現在の3倍に拡張する、総事業費68億ドルの事業計画。完成すれば現在一日30万バレルの輸送量が89万バレルまで増加し、オイルサンドを運ぶためのバラードインレットを航行するタンカーの数は7倍に増加すると試算されている。

 反対派は、タンカー航行数が増加することによる海上でのオイル漏れの危険性の拡大に加え、輸送量が増すことでオイルサンド生産量が増加し、それに伴う温室効果ガス排出量が激増することに対しても警鐘を鳴らしている。

 NEBは先月157件の条件付きながら同拡張工事計画を承認した。これに対しバンクーバー市以外にも、すでに環境活動団体とスコーミッシュ先住民族が同様の提訴を行っている。

 自由党政権は、アルバータ州からブリティッシュ・コロンビア州北西部までのノーザン・ゲートウェイ・パイプライン建設計画はすでに承認しない意向を示している。ただ、天然資源産業を主要産業とするカナダにとってオイルサンドの海外輸出は重要な経済対策の一つで、自由党政権も他のルートを模索することを公言している。その一つがキンダーモーガン計画。最終的にはことし12月に連邦政府が決定を発表する予定になっている。

 

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 カナダ統計局は17日、5月のインフレ率が1・5パーセントと発表、4月の1・7パーセントを下回った。エコノミストの予想は1・6パーセントだった。

 インフレ率下落の要因はガソリン価格の影響が大きく、5月は前年同月比で7・1パーセント下落。ガソリン価格を除くと、インフレ率は1・9パーセントとなるとも報告している。

 また、これまで上昇し続けていた食料品も5月は1・8パーセントの上昇にとどまった。これは2014年3月以来の小幅な上昇率。4月は3・2パーセントだった。その他の項目でも概ね小幅な上昇率にとどまっている。

 価格変動の激しい項目を除いたコアインフレ率は2・1パーセントで、前月の2・2パーセントからやや下がった。カナダ銀行は目標インフレ率を2パーセントと設定、コアインフレ率は1から3パーセントの範囲内が理想としている。

 今回の発表による為替の大きな変動はなかった。

 カナダ銀行は7月13日に金利報告を発表するが、エコノミストはインフレ率が落ち着いていることや、アルバータ州で発生した山火事が、オイルサンド産業の操業に影響を与えていることによるカナダ経済全体への影響を考慮して、金利の変更は行わないだろうと予測している。

 カナダ銀行は昨年2回金利を引き下げ、現在は0・5パーセントを維持している。

 

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 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドで、今度は中国語のみの求人看板が目抜き通りに立てられた。

 看板は食品卸会社の倉庫マネージャー募集の広告だったが、電話番号と電子メールのアドレス以外全て中国語。この問題に取り組んでいる地元の活動家、ケリー・ストラチャックさんの指摘で市が広告主に問い合わせたところ、対応した不動産管理会社のジェシー・チャンさんは、中国語以外で広告を出す考えは全くなかったと答えている。

 しかし中国語が読めない人には求人広告であることすら分からず、求人状況を把握することが妨げられるという市の説明には納得。しかしその上で、求人主である三路食品ホールセール・センターとジェシーさんは当初、この仕事に最適の人物を探すには、中国語だけで十分だと信じていたとも語っている。またリッチモンド市商工会議所は、この企業に看板の英訳サービスを申し出たところ、断わられたとメディアに話している。

 今回は求人に関わることであり、中国語のみのレストランの看板よりも問題は深刻だとストラチャックさん。リッチモンド市は昨年、中国語のみの看板問題についてのコンサルテーションを重ねてきたが、市が監督する看板の中では、そのような例はわずかだとして条例による規制は見送っている。

 しかしストラチャックさんは、市の管轄以外、例えばバスなど公共交通機関やその待合所の広告、またマンション建築現場の入居者募集の宣伝などでは、この問題は拡散しており、市民からの苦情を受けてからの後手の対応では何も解決しないと指摘している。

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。