バンクーバー市は20日、キンダーモーガン社が計画しているトランスマウンテン・パイプライン拡張工事を承認したカナダエネルギー局(CEB)に対し、提訴したことを明らかにした。

 市によると、17日連邦上告裁判所に承認取り消しを求める申請を提出したという。グレゴール・ロバートソン・バンクーバー市長は、NEBによる環境調査は「不備と偏見」により決定されたもので、オイル漏れや温室効果ガス排出増加への科学的な証拠に欠けている決定と、20日の声明で主張した。

 トランスマウンテン拡張工事とは、アルバータ州のオイルサンドをメトロバンクーバーの港まで運ぶパイプラインを現在の3倍に拡張する、総事業費68億ドルの事業計画。完成すれば現在一日30万バレルの輸送量が89万バレルまで増加し、オイルサンドを運ぶためのバラードインレットを航行するタンカーの数は7倍に増加すると試算されている。

 反対派は、タンカー航行数が増加することによる海上でのオイル漏れの危険性の拡大に加え、輸送量が増すことでオイルサンド生産量が増加し、それに伴う温室効果ガス排出量が激増することに対しても警鐘を鳴らしている。

 NEBは先月157件の条件付きながら同拡張工事計画を承認した。これに対しバンクーバー市以外にも、すでに環境活動団体とスコーミッシュ先住民族が同様の提訴を行っている。

 自由党政権は、アルバータ州からブリティッシュ・コロンビア州北西部までのノーザン・ゲートウェイ・パイプライン建設計画はすでに承認しない意向を示している。ただ、天然資源産業を主要産業とするカナダにとってオイルサンドの海外輸出は重要な経済対策の一つで、自由党政権も他のルートを模索することを公言している。その一つがキンダーモーガン計画。最終的にはことし12月に連邦政府が決定を発表する予定になっている。

 

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