2017年2月2日 第5号

 ジャスティン・トルドー首相は1月28日、米ドナルド・トランプ大統領が同日発令したイスラム圏中東・アフリカ7カ国出身者の入国一時禁止を命じる大統領令を受けて、カナダの立場をツイッターで表明した。

 「現在、迫害、テロ、戦闘から逃れている人々へ、カナダはあなたたちの信仰に関係なくあなたたちを歓迎します。多様性はカナダの強みです」とツイート。カナダが移民政策においてアメリカとは一線を画していることを強調した。

 しかし、ヨーロッパ各国の首脳がこの大統領令を非難したのに対し、トルドー首相は大統領令自体についてはこれまで一言も言及していない。

 

 

2017年2月2日 第5号

 カナダ政府は1月28日、前日に米ドナルド・トランプ大統領が中東・アフリカ7カ国出身者の入国を一時禁止する大統領令を発令したことを受け、カナダ在住の同国出身者に対するアメリカの対応を発表した。

 大統領令では二重国籍者も対象としていたが、首相事務所はカナダの市民権を有する同国出身の二重国籍者は、カナダのパスポートを所持していれば問題ないと発表した。

 対象国は、イラン、イラク、スーダン、ソマリア、シリア、イエメン、リビア。

 さらに翌日夜にはジャスティン・トルドー首相が、カナダのパスポートを所持する対象国出身の二重国籍者は通常通り国境を超えることができるとホワイトハウスが確認したとツイートした。

 30日には、アームド・ハッセン移民相が記者会見を行い、対象国出身でカナダの永住権保有者も有効な永住権カードと対象国パスポートを所持していれば、国境を超えることができるとホワイトハウスが確認したと発表した。これで二重国籍カナダ市民権保有者、永住権保有者ともに問題がないことが明らかにされた。

 この大統領令をめぐっては、アメリカの空港で混乱が起こっていたが、カナダの空港ではこれまでに特に混乱はないという。ハッセン移民相は、大統領令によってカナダの空港で足止めを余儀なくされた人には一時的滞在許可を提供するとも語った。

 カナダの空港近くでは、アメリカへの入国が拒否された人たちのために、無料で自宅を開放する動きがネットで広がっていた。

 

 

2017年2月2日 第5号

 クリスティ・クラーク・ブリティッシュ・コロンビア州首相は1月29日、同州バンクーバー市で行われた中国の春節を祝うパレードに参加する直前に記者団に向け、メトロバンクーバーの不動産売買に課せられている海外購入者税の対象から労働ビザ保有者を外すと発表した。

 クラーク州首相は、労働ビザ保有者はBC州で生活し納税も行っていると理由を説明した。

 海外購入者税は、昨年8月2日に同州政府がメトロバンクーバーの不動産を購入する者が、市民権・永住権を有しない場合は15パーセント課税するとして実施された。

 不動産については昨年初めに、海外からの購入者が不当転売によりメトロバンクーバーの不動産価格を吊り上げている実態が全国紙グローブ&メールで掲載された。それまでも海外投資家による売買がバンクーバーの不動産を異常に高騰させている原因ではないかと指摘されていた。

 それまでは不動産には介入しないと強気だったクラーク州首相も、同紙での掲載をきっかけに政策変更を余儀なくされた。

 導入後は同地域の売買件数は前年比で劇的に減少したものの、価格は現時点で下落傾向にはなっていないと不動産協会が報告している。

 今回の免除措置について専門家は、不動産価格に大きな影響を与える変更ではないとの見方を語った。ただ米ドナルド・トランプ大統領による7カ国出身者の入国一時禁止措置を受け、優秀な人材をBC州に誘致する時に有利になると考えたのではと説明した。労働ビザ保有者への課税免除措置は、課税が実施された時に行われても不思議はなかったと、今になって政策変更したことの方が遅すぎるとの見方を示した。

 

 

2017年2月2日 第5号

 クレジットカードや銀行カードに記録されている情報を不正に読み取るスキミング。そのための小型化して発見されにくくなった読み取りツールが、使用され始めている。

 以前の『スキマー』と呼ばれた読み取りツールは、現金預入機のカード挿入口に追加でつけた、挿入口のような格好をしており、注意して見れば誰でも気がつくものだった。

 それに対し『シマー(shimmer)』と呼ばれる新手のツールは、およそカードの三分の一程度のプラスチックシートで、厚さはほとんどないに等しい。これを、あたかも現金預入機やカード支払機を普通に利用しているようなふりをしながら、『シマー』を内部にセットしておけば、あとはこのツールが挿入されたカード情報のみならず、入力された暗証番号までも記録する仕組みだ。

 犯罪者は後日、このツールに蓄えられた情報をダウンロードする特殊なカードを、やはり普通に操作しているふりをして挿入、その情報を持ち帰る。

 最近、この『シマー』が仕掛けられた店舗を捜査したブリティッシュ・コロンビア州コキットラム市連邦警察(RCMP)は、外部からは確認できないツールのため、たとえばカードを挿入したあとに引っ掛かりを感じたなど少しでも異変を感じたら、すぐさま警察に届けるよう呼びかけている。

 警察は、事業者には端末のチェックを怠らないこと、利用者にはこうした詐欺手口があることを周知しておくことを求めている。また、最近の多くのカードに備わっている、挿入ではなく読み取り機にかざす(タップする)機能を利用すると、限られた情報しか機械に送られず、それだけではカード偽造ができないと、同警察の経済犯罪課は取材に説明している。

 

 

2017年2月2日 第5号

 自由党が、政党献金パーティーの透明性を高める法案を提出する用意があることが1月27日分かった。全国紙グローブ&メールが掲載した。

 昨年10月、中国系ビジネスマン主催によるプライベートな献金ホームパーティーに、ジャスティン・トルドー首相が参加していたことを同紙が掲載。プライベートで行われたこと、1人1500ドルと献金が高額だったこと、富裕層が特権的に首相や閣僚へ個人的にアクセスできることなどが、問題視された。これ以降、国会では度々この件について首相が追及され、首相の支持率低下の要因ともなっている。

 同紙は、自由党は国会再開にあたり、この件を早く終結させたいのだろうと自由党の提案の理由を推測している。

 提案の中身はかなり透明性の高いものになる予定とされ、首相、閣僚や連邦政党全ての党首に適応されるとしている。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。