2017年2月2日 第5号

 ブリティッシュ・コロンビア州サレー市で5年前、元ガールフレンドを射殺した犯人に便宜を図っていたとして告訴された容疑者に1月27日、判決が言い渡された。しかしその刑期は18カ月で、娘を失った両親は落胆を隠せないでいた。

 当時19歳だったサイモン・フレーザー大学の学生メープル・バタリアさんは2011年9月28日、元ボーイフレンドのガージンダー・ダリワル受刑者に同大学の駐車場で銃撃を受け死亡した。ダリワル受刑者には、すでに第2級殺人罪で終身刑が言い渡されている。

 このダリワル受刑者に車を貸し、ダリワル受刑者のストーカー行為を幇助(ほうじょ)したのがガルシマー・べディ受刑者。本人自身もバタリアさんにストーカー行為を働き、ダリワル受刑者に彼女の行動を報告していた。べディ受刑者に対し検察は6年の禁固刑を求刑していたが、弁護側はべディ受刑者は、何の怨恨感情を持たない人物の殺人に、積極的に加わっていたわけではないと反論していた。

 判決後、裁判所の前で報道陣のインタビューに答えたバタリアさんの母親は、流れ落ちる涙をぬぐいながら、この国の裁判制度は改革する必要があると訴えていた。

 

 

2017年2月2日 第5号

 ブリティッシュ・コロンビア州ローワーメインランドでは、厳しい冷え込みのために道路の舗装が部分的に剥離し、いわゆるポットホールと呼ばれる『穴』が多発している。

 同州サレー市は、昨年12月からの約1カ月間で約2500カ所もの『穴』の補修に追われたという。ちなみに昨シーズンの同時期に発生した『穴』は、800カ所足らずだった。今後も冷え込みが戻ってくれば『穴』の発生は続くとみている。

 舗装が剥離するのは、舗装面の下にたまった水分が凍ることで膨張、その上のアスファルトを押し上げることが原因。この『穴』を完全に修復するためには、その周辺のアスファルトも切り出し、高温で溶かしたアスファルトを敷きなおす作業が必要となる。そのため寒さがゆるむ春までは、本格的な工事ができないのが現状だ。

 バンクーバー市でも、道路の『穴』については常に状況をモニターして、修復が効果的に行えるよう努力していると話している。またそのためには、市民からの情報提供も役に立っていると付け加えていた。

 

 

2017年2月2日 第5号

 ヌナブト准州の沖合いで、地元先住民の猟師らが聞いた謎の音の正体を突き止めるため、カナダ軍が音響専門家2人を、地元パトロール隊に派遣すると1月19日発表した。

 怪音が聞かれたのは昨年11月のことで、場所は北西航路とハドソン湾の中間に位置するフューリー・アンド・ヘクラ海峡。

 遠浅のこの海峡はふだん、クジラの仲間のイッカク、ホッキョククジラ、またワモンアザラシやアゴヒゲアザラシなどが集まる海域として知られている。しかし地元イグルーリックの猟師らは、この怪音のあと全てが姿を消してしまったと話している。

 それ以来、あれは何か海洋生物の異常な鳴き声であるとか、正体不明の潜水艦から発せられた音、はたまた集団幻聴だったなど、さまざまな憶測が飛び交っていた。

 彼らと共に、最初に怪音が聞こえた場所に向かった地元の準州議員ポール・クアッサさんは、それがあたかも海の底から響き渡ってくるような、大きな音だったと表現している。

 カナダ軍はその時、海中の音を採取するソナーを装備した哨戒機を現場付近に向かわせたが、約1時間半の探索では2頭のクジラと6頭のセイウチ以外、なんら音響的な異常や物体は発見されなかった。

 それ以後は怪音が聞かれることがなかったため、この件の調査は打ち切られていた。しかし地元先住民の不安を解消するために、軍は2人の音響専門家を、1月25日から2月2日にかけて計画されていた、カナディアン・レンジャーのパトロールに同行させることにした。

 カナディアン・レンジャーは、5千人ほどの先住民の補助予備役。広大かつ人口がまばらなカナダの北極圏のパトロールを担当する。

 

 

2017年2月2日 第5号

 トランプ米大統領が1月27日、イスラム圏7カ国出身者の一時入国禁止を命じた大統領令に署名したことにより、国境をはさんで生活しているカップルに試練がふりかかった。

 アルバータ州エドモントンに住むサグハー・ソバハーンさん(22歳)は、4年前に家族と母国イランから難民としてカナダに入国した。ソバハーンさん一家は、イランで19世紀半ばに創始されたバハーイー教を信じているが、イラン国内では少数かつ異端であり、彼女の母親は投獄されたこともあったという。そのため彼らは長年、イラン国外に定住地を求めていた。

 現在はアルバータ州大学で金融と貿易を学んでいるソバハーンさんには、アメリカ・カリフォルニア州に住むボーイフレンド、サハーブさんがいる。二人はかつて難民として暮らしていたトルコの町、デニズリで知り合った。

 そして4年ほど前、さらに別の場所に移らねばならなくなったとき、サハーブさんは家族と共にカリフォルニア州に向かった。彼はそこで宇宙工学を専攻している。

 二人の長期計画は、いずれかが安定した収入を得られるめどが立った段階で、その国で一緒に暮らすというものだった。

 ところが件の大統領令以来、ソバハーンさんはアメリカに入国できなくなった。またサハーブさんも一度アメリカ国外に出てしまったら、再入国できる可能性はほとんどない。つまりお互いに会うすべを失ってしまった。このような混乱は即刻解消されなければならない、アメリカ国民が行動を起こすことを信じていると、ソバハーンさんは取材に訴えていた。

 

 

2017年1月26日 第4号

 ジャスティン・トルドー首相事務所は21日、トルドー首相が前日アメリカ大統領就任式を終えたドナルド・トランプ大統領と電話で会談し、大統領就任を祝福したと発表した。また会談では二国間関係についても、「その重要性で一致した」とし、貿易関連にも言及したと発表した。

 ホワイトハウス報道官ショーン・スパイサー氏も同日の記者会見で、トルドー首相からトランプ大統領に就任の祝辞があったことを明かし、「大統領はカナダのジャスティン・トルドー首相と2国間関係の強化について建設的な会話を持った」と語った。「近いうちに」会談することで合意したとも語ったが、いつ頃会談が実現するかについては言及しなかった。

 23日に行われた記者会見では、スパイサー報道官は「30日くらいの間」に実現するのでは、と正確な日程にはこの日も言及しなかった。ただ北米自由貿易協定(NAFTA)についての話し合いは、カナダ、メキシコ両国首脳がアメリカに来た時に行う予定と語った。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。