2017年2月2日 第5号

 クリスティ・クラーク・ブリティッシュ・コロンビア州首相は1月29日、同州バンクーバー市で行われた中国の春節を祝うパレードに参加する直前に記者団に向け、メトロバンクーバーの不動産売買に課せられている海外購入者税の対象から労働ビザ保有者を外すと発表した。

 クラーク州首相は、労働ビザ保有者はBC州で生活し納税も行っていると理由を説明した。

 海外購入者税は、昨年8月2日に同州政府がメトロバンクーバーの不動産を購入する者が、市民権・永住権を有しない場合は15パーセント課税するとして実施された。

 不動産については昨年初めに、海外からの購入者が不当転売によりメトロバンクーバーの不動産価格を吊り上げている実態が全国紙グローブ&メールで掲載された。それまでも海外投資家による売買がバンクーバーの不動産を異常に高騰させている原因ではないかと指摘されていた。

 それまでは不動産には介入しないと強気だったクラーク州首相も、同紙での掲載をきっかけに政策変更を余儀なくされた。

 導入後は同地域の売買件数は前年比で劇的に減少したものの、価格は現時点で下落傾向にはなっていないと不動産協会が報告している。

 今回の免除措置について専門家は、不動産価格に大きな影響を与える変更ではないとの見方を語った。ただ米ドナルド・トランプ大統領による7カ国出身者の入国一時禁止措置を受け、優秀な人材をBC州に誘致する時に有利になると考えたのではと説明した。労働ビザ保有者への課税免除措置は、課税が実施された時に行われても不思議はなかったと、今になって政策変更したことの方が遅すぎるとの見方を示した。

 

 

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