2017年3月2日 第9号

 ブリティッシュ・コロンビア州産のカキが原因とされるノロウイルスによる食中毒が、国内に拡散している。BC州をはじめアルバータ州とオンタリオ州からもカナダ公衆衛生庁に食中毒の報告が寄せられ、その数は2月中旬までで221件に上ったと、同庁は話している。

 ノロウイルスは、冬場に流行する食中毒・感染症の主な原因で、感染性胃腸炎を引き起こし、感染力が強いのが特徴。その症状は激しい下痢や嘔吐、腹痛などで、通称winter vomiting bugとも呼ばれている。

 BC州では昨年11月過ぎから件数が増加し始めたが、今年1月半ばからはオンタリオ州やアルバータ州でも症例がみられるようになったと、同庁では話している。その原因がBC州産のカキであることまでは突き止められたが、何がカキを汚染したかの原因特定には至っておらず、同庁が主体となりBC州保健局やカナダ漁業海洋省、カナダ食品検査局とともに調査を進めている。 カナダでこれほどの規模のノロウイルス食中毒が広まることは、稀だという。またいくつかの養殖場は、汚染されたカキが見つかったあと短期間閉鎖されたが、関係者は感染源は一カ所ではないとみている。

 一方生産者側も、カキが生産地から消費者に届く間にはいくつもの過程を経るため、感染源の特定が難しく、もし汚染が拡大・長期化するようならば売り上げにも影響しかねないと懸念している。

 貝類のノロウイルスによる食中毒を予防するには、完全に調理すること、調理済みと未処理の食材が混在しないようにすること、また手洗いを励行すること―特に食中毒などの症状をすでに発症している人との接触があったあと―だと、公衆衛生庁は説明している。またノロ・ウイルスの食中毒は、一般には1〜2日で自然に治まり治療はいらないが、もしカキが原因だと思われた場合は、それでも医療機関にその旨を報告するよう、呼びかけている。

 

 

2017年3月2日 第9号

 カナダ交通安全委員会は2月20日、2015年に起きた乱気流による乗客負傷事故の調査報告書を発表、同時にシートベルト着用がいかに重要であるかを啓蒙する動画も公開した。

 この事故は2015年12月30日、中国・上海を出発、トロントに向け飛行中だったエアカナダ88便(乗客332人、乗員19人)が北米大陸に差しかかった時に起こった。

 航路上で激しい乱気流を予報する連絡を受けた同機は、予想される空域に差しかかる35分ほど前にシートベルト着用のサインを点灯させると共に、乱気流が予想される空域に入ることを英語、フランス語、中国語で何度もアナウンスし、シートベルトの着用を求めていた。

 しかし飛行機が乱気流に突入した時には、まだ多くの乗客がシートベルトをしていない状態だったと、報告書は指摘している。この激しい乱気流で、重傷者1人を含む21人が負傷。同機はアルバータ州カルガリー空港に緊急着陸して、負傷者をカルガリー病院に搬送した。

 当時の状況を乗客の一人は、シートベルトをしていなかった乗客の体や、固定されていなかった様々なものが一瞬にして宙に浮いたと表現。浮いた乗客のひとりは、そのまま頭でプラスチック製の天井を突き破ったあと、座席に落下したという。

 報告書は、乱気流が予想される空域に突入する前に、パイロットはシートベルト着用を求めると共に、乱気流遭遇時の機体へのダメージを避ける飛行速度まで減速する措置を取っていたことで、甚大な被害には至らなかったと結論付けている。その一方で、パイロットに対する乱気流や、その原因となるジェットストリームの教育には、網羅されていない部分があったと指摘している。この事故を受け、エアカナダは運行管理業務(ディスパッチ)に、乱気流回避に必要な情報をパイロットに提供する指針を通達している。

 

 

2017年3月2日 第9号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は2月27日、最低賃金を現在の時給10.85ドルから50セント増の11.35ドルに引き上げると発表した。今年9月中旬に実施される。最低賃金は昨年9月に50セント引き上げられたばかり。

 雇用、ツーリズム、技能訓練省は、引き上げ分50セントのうち20セントは2016年消費者価格指数に基づくもので、それに30セントを上乗せすると説明した。

 同省によると昨年の労働市場2万人のうち最低賃金労働者数は9万3800人(自営業を除く)という。同省は最低賃金引き上げの詳細は後日発表するとしている。

 BC州では今年5月に州議会議員選挙が実施される。

 

 

2017年3月2日 第9号

 今年は日系人強制収容から75年の節目となる。CBC電子版は2月25日、当時の強制収容を7歳で経験したマリー・キタガワさんの体験談と、現在アメリカで起こっている反イスラム教徒政策に、当時の状況を重ね合わせた思いを語っている。

 記事の中でキタガワさんは、現在の米ドナルド・トランプ大統領の反イスラム教とも取れる大統領選中からの発言が、当時のカナダ政府の反日政策と重なると語っている。「差別によってあのような恐ろしい体験をした我々が、今、差別で被害にあっている人々の支援をしなければならない」と語った。

 

 

2017年3月2日 第9号

 ブラジルからの留学生が、カナダに向かう時に空港で預けた荷物が、1カ月以上も行方不明になっている。

 オンタリオ州トロントの中心部にあるOCAD大学の留学生ヘンリーク・アルベスデアシスさんは先月、故郷ブラジルの首都ブラジリアで冬休みを過ごしたあと、エアカナダでトロントに戻ってきた。

 機内預け入れのスーツケースを最後に見たのは、乗り継ぎのシカゴ空港。だが1月19日にトロント・ピアソン空港に到着した時には、スーツケースは出てこなかった。以前にも同じような経験をしたアルベスデアシスさん、エアカナダの荷物係りに住所氏名、電話番号を伝え、紛失届けの伝票をもらい空港を後にした。

 アルベスデアシスさんは、この大きなスーツケースに、彼が持っていたほとんどの洋服や靴のほか、大学の研究用に使用していたノートパソコンを入れていた。

 それから1カ月、電話やネットのチャットでくり返し状況をたずねてきたが、何の進展もみられない。そこで彼はソーシャルメディアのツイッターで、状況を逐次更新し始めた。間もなく大学の学期末を迎えると、彼はまたブラジルに戻る。エアカナダは、スーツケースはタグがとれてしまった状態でシカゴ空港のどこかにあるらしいと、アルベスデアシスさんに説明しているという。

 この件についてエアカナダ側は、現在も捜索中であり、今はまだ紛失に対する補償を話し合う段階ではないと、メディアの取材に電子メールで回答している。

 しかしエアライン利用客の権利に詳しく、フェイスブックのグループ『エアライン利用客の権利(Air Passenger Rights Canada)』の共同創立者でもあるゲボール・ルーカスさんは、捜索中であるかどうかに関わらず、エアカナダはアルベスデアシスさんに補償する義務があると指摘する。

 補償の観点からは、行方不明から21日が経った段階で荷物は紛失したとみなされる。そのため航空会社は、荷物の中身とスーツケースそのものに相当する額を所有者に補償しなければならないと、ルーカスさん。

 しかし、その上限は約2千ドルだという。それに対しアルベスデアシスさんが必要なものを再び買い揃えるのに費やした額は、新しいノートブックパソコンを含め約5千ドルだったという。

 エアカナダは、預け入れ荷物には電子機器のような貴重品や、持病のための薬などは入れないよう呼びかけている。

 

 

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