2017年3月9日 第10号

 バンクーバー・ホワイトキャップスFCは3月2日、BCプレースで行われたCONCACAFチャンピオンズリーグ準々決勝対ニューヨーク・レッドブルズ第2戦で、2ー0と勝利し、準決勝進出を決めた。決勝トーナメント初進出のホワイトキャップスの快進撃が続く。

 試合開始5分に16歳デイビーズが先制ゴール。早々とまずは1点を先取した。試合はそのまま後半に。追加点がほしいホワイトキャップスは、66分から出場のモンテロがホワイトキャップス初ゴールを決め2点目。守っては無失点で準決勝進出を決めた。

 ホーム&アウェー方式の第1戦はニューヨークで2月22日に行われ、1ー1の引き分けだった。

 準決勝第1戦は3月14日、メキシコでUANLタイガースと対戦する。第2戦は4月5日BCプレース。チケットはすでに発売されている。

 

今季キャップスに移籍したFWシィア(左)。3月2日BCプレース:Photo by Preston Yip

 

 

2017年3月9日 第10号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー国際空港で、利用客がはしかに感染した恐れがあるとして、バンクーバー・コースタル保健局など医療当局が注意を呼びかけている。

 2月24日に台湾・台北市から到着したエア・チャイナ132便と、同日にエドモントンに向け出発したウェストジェット186便を利用した乗客に、感染の恐れがあるという。

 また同日午後6時10分ごろから深夜零時20分ごろまでの間、同空港の入国審査・税関エリアと国内線ターミナルにいた利用客にも可能性がある。

 この条件に該当し、感染の恐れがあると感じた人は、18日までは健康状態に注意をするよう、保健局ではアドバイスしている。

 はしかにかかると、最初はせき、くしゃみ、鼻水といったカゼのような症状が出るとともに、口の中に白い斑点が現れる。さらに高熱が出るとともに全身に赤い発疹が広がる。

 このような症状が出た場合、医療機関に事前に予約をいれ、他の患者への感染対策が整えられてから診察を受けるようにする。またバンクーバー・コースタル保健局(604-675-3900)へも報告も忘れないようにしてほしいと語っている。

 BC州のほとんどの人は、はしか、おたふくかぜ、および風疹の混合予防接種(MMR)を子供の時に受けているので、感染の心配はないという。しかし海外旅行へ出かける人は、必要なワクチンを接種済みかどうか確認しておいたほうがよいと、同保健局はアドバイスしている。またバンクーバーとリッチモンドには、同保健局が運営するトラベルクリニックがある(予約は604-736-9244)。

 

 

2017年3月9日 第10号

 2014年10月末、ノースウェスト準州イエローナイフ近郊で行方不明になり、1年後に白骨死体で発見された熊本県宇土市出身の医師、吉窪昌美さん(当時45歳)。

 警察は最初大掛かりな捜索活動を開始したが、その後吉窪さんが日本を出国する前に自殺をほのめかしていたとの情報が伝わった。また本人はイエローナイフ郊外の森へ、足跡を残さないようにして消息を絶った形跡が見られ、開始から1週間後に警察は本人は死亡したとものと判断、捜索は打ち切られた。

 しかし、警察のこの発表が納得のいくものではなかったため、地元有志が独自に吉窪さんの行方を追っていた。吉窪さんが最後に防犯カメラに映ったのは、2014年10月22日の午前9時15分ごろ。宿泊していたホテルから、ピンク色のコートを着てバックパックを背負い、ショルダーバックを肩からさげている映像だった。その後ホテルから離れるように高速4号線沿いを歩いているのが目撃されたのが最後だった。

 2015年8月に、森を歩いていたハイカーが偶然見つけた人骨が、DNA鑑定の結果吉窪さんのものであることが確認され、一応この件の幕は下りたように見えた。

 しかし、トロントを拠点に活動する映画監督ジェフ・モリソンさんは、明らかにされてこなかった情報を拾い集め、実際には何が起こったのかを伝えるドキュメンタリーを作ろうと決心した。

 外部の人間が現地に赴き、地元の人に事件のことをいろいろインタビューして回るのは、最初は緊張したとモリソンさん。しかし多くの人に会ううちに、イエローナイフの人々が吉窪さんのことをとても気にかけていたことを目の当たりにした。

 さらに、モリソンさんは日本へも出向き、吉窪さんの家族や以前の患者にもインタビューしている。そこで出会った全ての人が、吉窪さんに対して好意的な印象を持っており、また患者のことを深く考える勤勉な医師だったと表現していた。

 モリソンさんはドキュメンタリー製作にあたり、その人物にこれほど感情移入したことはなかったと取材に話している。製作を手伝ったパートナーは、モリソンさんがこの作品で吉窪さんを守ろうとしているのがわかると、彼に伝えたという。

 モリソンさんは現在、日本にいる吉窪さんの家族のためにドキュメンタリーの日本語化に取り組んでいる。

 このドキュメンタリーは、カナダ公共放送(CBC)で2日、全国放送された。またオンライン上でも見ることができる(『CBC』、『Missing』、『Tourlist』で検索)

 

 

2017年3月9日 第10号

 ヌナブト準州の中央部、北極圏内の村クガールクにある唯一の学校が、火事により焼失した。人口1000人足らずの同村は、ハドソン湾よりさらに北、北西航路につながるブーシア湾の南端に位置し、同準州の州都イカルイトからは北西に1100キロメートルほどの位置にある。

 不審火が原因とみられる火事は、2月28日深夜に発生。消火活動はマイナス60度という想像を絶する寒さのためはかどらず、鎮火したのは1日の朝になってからだった。

 けが人が出なかったのが不幸中の幸いと村の関係者は話しているが、村に適切な消火設備があれば消火できたかもしれないと、悔やんでもいる。

 また火事は隣接する村役場やディーゼル発電機、およびその燃料タンクにも延焼する危険性もあった。村全体が暖房を電力に頼っているため、もし発電施設が機能停止に陥れば、村は非常事態になっていた。

 多くのヌナブト準州のコミュニティの例にもれず、クガールクでも若年層人口の割合が極めて高い。村の人口の約30パーセントにあたる310人の子供たちが、幼稚園から12年生として学校に通っている。また、学校は45人のスタッフを抱えている。

 村では授業を続けるための場所確保に奔走している。コミュニティホール、教会、北極圏カレッジ、村役場などがその候補に上がっている。また学校の体育館も焼け落ちたことが、村民に大きなショックを与えているという。

 こうした遠隔地のコミュニティにある学校が焼失したのは、同村が初めてではない。同準州バフィン島の南西部に位置する、人口1300人あまりの村ケープドーセットでも2015年に、学校が放火により焼失している。5人の青年が訴追され、一人に有罪が確定している。新校舎はまだ竣工していない。

 

 

2017年3月9日 第10号

 現在、アルバータ州カルガリーに住むアブダルファタシュ・サボニさんが、シリアから難民としてカナダに到着したのは、1年1カ月前のことだった。

 サボニさんは自宅の台所を利用して、天然素材の石鹸作りに余念がない。かつて彼はヨルダンやシリアで、2つの石鹸工場を経営していた。

 天然素材と手作りであるため、工程は4〜5日かかるという。また、その表面にはサボニさんのかつての工場のエンブレムが押印されている。ちょうどアイスホッケーのパックほどの大きさの石鹸は、4つを1パックとして包装、リボンをかけて10ドルで販売する。サボニさんの長男も包装を手伝っているという。

 彼らがカナダに来た時、この国の人々は自分たちを温かく迎え入れてくれたとサボニさん。そのお礼に何かをしたいと思ってきた彼は、かつての自分の仕事で、みんなに喜んでもらおうと考えた。

 取材中、記者が石鹸の原料は何かと尋ねたとき、主原料がオリーブオイルであることは認めたものの、それ以外は企業秘密だと、サボニさんは笑顔で答えていた。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。