2017年2月23日 第8号

 ジャスティン・トルドー首相は16日(現地時間)、フランス・ストラスブールの欧州議会で演説。自由貿易の重要性を強調した。

 同議会では前日、議員58パーセントの賛成でカナダ欧州連合自由貿易協定(CETA)が批准。8年間の交渉を経てようやく実現する。

 「この協定を実現することがどれほど重要なことかを控えめにいうことは、とてもできない」とトルドー首相。「国際社会が直面している困難に取り組むために欧州は非常に重要な役割を果たしている。世界が強い欧州を必要としている」と語った。「我々はこの協定を成功させる必要がある。成功すれば今後の世界貿易にとって、この協定が青写真となる。もし成功できなければ、おそらくこの協定は世界の自由貿易協定の最後の一つとなるだろう」と、協定を実現させることの意義を語った。

 世界では保護貿易主義が台頭している。アメリカのドナルド・トランプ大統領は就任後すぐに、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの脱退や、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを掲げた。13日のトルドー・トランプ会談後の記者会見では、カナダとのNAFTAについては「多少の変更」という表現にとどまったものの、カナダにとって安泰というわけではない。

 今回のEUとの協定合意はカナダにとって輸出アメリカ依存から脱却するための1歩であり、今後、日本、中国、インドとの自由貿易を目指す準備ともなる。EUにとっては初めての主要7カ国との自由貿易実現であり、イギリスの欧州離脱やアメリカとの自由貿易協定交渉凍結への光であり、今後、日本、ベトナム、メキシコとの交渉への弾みにしたい考えだ。

 トルドー首相は、カナダとEUは民主主義の信念を共有し、透明性、法の原則、人権、多様性の受け入れが重要であると信じる関係であり、「現代のような時代には、国際経済を引っ張ることを選択する必要があると我々は信じている」と保護主義を暗に否定した。

 

 

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