2017年3月23日 第12号

 連邦保守党党首選で、違反行為をめぐって候補者が言い争いをしている。発端は17日、候補者の一人ケビン・オラリー氏の、ある候補者のスタッフがプリペイドクレジットカードを使って「偽の党員」を増やしている事実をつかんだというツイート。党にもすでに報告し、調査するよう依頼したと語っていた。

 同日、党の広報もオラリー氏からの報告を受け、調査を開始していると発表。「党のルールを違反している場合、党員名簿から除外し、投票権を無効にする」と発表した。

 オラリー氏のツイートでは、どの候補者のスタッフかは公表していなかったが、カナダディアン・プレスが、オラリー氏がマキシム・ベニエ議員の名前をあげていたという情報源の話を引用したため、ベニエ議員が反撃した。

 ベニエ議員は、立候補している14候補者の中でも、サポート党員や選挙資金集めが最もうまくいっている候補者の一人。同議員は、ケビン・オラリー氏は、自分がサポート党員も、資金も、うまく集めているため、自身が不利な体勢にあることから、周りの目をごまかすために、こうした攻撃をしているのだろうと批判。「ケビン・オラリーは負け犬で、自分は勝ち組」と語った。

 翌日、党は1351人分の名前を党員名簿から削除したと発表。これらの党員は、匿名で不正な支払方法で登録していたことが判明したと理由を説明した。党の説明によると、党員となるには実名で、実名の入ったチェック、もしくはクレジットカードで、登録料を支払わなくてはならないという。今回は、これに違反した名前が名簿に見つかったと発表した。

 この党の発表は、オラリー氏の主張が正しかったことを意味する。それでもベニエ議員は、オラリー氏を「負け犬」呼ばわりしたことを謝罪するつもりはないと語った。自分の選挙スタッフがそうした行為をしているはずはないとしている。

 党自体も、どの候補者のスタッフによるものなのかという見解は発表しなかった。違反の可能性のある候補者を特定することはしないとしている。

 これを受け、他の候補者もそれぞれに見解を発表。リサ・レイト議員は、「違反行為をした候補は党から除名し、罰金を科すようにすべき」と厳しい意見を述べた。

 保守党ローナ・アンブローズ暫定党首は、党の投票制度は、違反して簡単に投票を増やせるようにはできていないと強調。投票時には、身分証明書が必要で、郵送による投票でも同様と説明した。

 保守党は2015年10月の総選挙で自由党に大敗。スティーブン・ハーパー党首が辞任し、次期党首を決める党首選が行われている。立候補者の登録はすでに締め切られたが、党員登録は今月28日まで可能。党首選には14人が立候補している。保守党党首選は、カナダ版トランプともいわれるオラリー氏が立候補を表明して以来、話題は尽きない。本人は積極的な移民政策などをあげ、トランプ大統領とは全く違うと主張しているが、CBCのテレビ番組に長年出演し知名度が高いことや、ソーシャルメディアを多用すること、発言が過激なこと、政治経験がないことなどで、共通点が多いとされている。

 党首を決める投票は5月27日に行われる。現在はアンブローズ暫定党首が党を率いている。

 

 

2017年3月23日 第12号

 ブリティッシュ・コロンビア州自由党への献金をめぐって、3つの環境保護団体が、献金を返金するよう自由党に要求していることを21日、明らかにした。

 3団体はBC自 由党が2005年から2016年までにキンダーモーガン社と、その関連企業から受け取った77万1168ドルを返金するよう求めている。

 キンダーモーガン社は、アルバータ州からBC州バーナビー市までのオイルサンドを運ぶパイプライン拡張工事事業トランスマウンテン・パイプライン計画を手掛けている。この計画が昨年11月連邦政府の承認を受け、その後BC州政府も5つの条件がクリアされたとして承認した。

 しかしBC州自由党は今月、献金に関する不正行為の可能性が指摘され、現在、連邦警察(RCMP)が捜査している。3団体は、献金が返金されたのち、BC州政府には、パイプライン計画について、もう一度州民が納得いくような環境調査を実施するよう要求するとしている。

 献金内容は、キンダーモーガン社からの献金は3万3千ドルで、残りはオイルサンド会社、パイプライン建設会社などが含まれている。

 トランスマウンテン・パイプライン建設計画は、関係する先住民族や環境活動家だけではなく、周辺住民の反対も根強く、当事者のバーナビー市をはじめ、バンクーバー市も反対を表明している。

 拡張工事が完成すれば、オBC州政府に献金返金を要求イルサンドの輸送量は3倍となり、バーナビー市から太平洋へと抜ける航路にあたるバンクーバーのバラードインレットを航行するタンカー量は、7倍になると予測されている。そのため環境破壊の危険性が高いと反対している。

 

 

2017年3月23日 第12号

 MLS(メ ジャーリーグサッカー)バンクーバー・ホワイトキャップスFCは18日、バンクーバー市BCプレースでトロントFCと対戦。今季3戦目も勝ち星は遠く、0‐2と沈んだ。

 この日は、前試合で退場処分を受けたGKウーステッドが欠場。若手リッチーを起用し、これまでの悪い流れを断ち切りたいところだった。前半は0‐0と守備陣が踏ん張ったもの、後半にまたしても主審の判断に泣かされた。

 70分、警告を受けたMFシィアが、その判定に、その場で異議を訴え、これで2枚目の警告を受け、即退場。前試合に続いて、1人少ない状況での戦いを強いられた。

 試合は76分にトロントが先制。80分に追加点をあげ、ダメ押し。この日も白星は遠かった。

 ロビンソン監督は2枚目の警告について「現時点では(2枚目の警告を受けたのか)よく分からない。調べる必要がある」と語った。

 次のホームゲームは4月1日、LAギャラクシーと対戦する。 この日の観客動員数は2万438人。

 

 

2017年3月23日 第12号

 ジャスティン・トルドー首相が、ニューヨークで米ドナルド・トランプ大統領の長女イバンカ・トランプ氏とミュージカルを鑑賞したとして話題になっている。

 ミュージカルは、2001年9月11日アメリカで起きた同時多発テロにより、大西洋を渡ってくる飛行機がアメリカへ入国できなくなった事態を受け、38機がカナダ大西洋岸の小さな町、ニューファンドランド・ラブラドール(NL)州ガンダーに着陸した時の、街の人々と足止めされた約7千人の乗客の交流を描いたもの。

 カナダ人夫妻デイビッド・へイン氏とアイリーン・サンコフ氏の制作で、12日からブロードウェイで上演している。

 トルドー首相が訪れたのは15日。会場の約千席のうち、カナダ関係者が約400席を埋め、トルドー夫妻の他には、ジョン・クレチェン元首相や同州選出国会議員ジュディ・フーテ氏、NL州ガンダー市の市長も出席した。

 そこにはトランプ氏やアメリカの国連大使ニッキー・ヘイリー氏も出席。NL州関係者に声を掛けたと伝えられている。

 トルドー首相はミュージカルが始まる前に、観客の前で舞台あいさつ。「カナダとアメリカほどの友情で結ばれた関係は他にはない。この素晴らしい物語は、まさにそれを物語っている」と語った。首相は、舞台が終わった後、トランプ氏と言葉を交わしたことを明かし、「楽しんだようだった」と語った。

 

 

2017年3月23日 第12号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー水族館の海洋汚染研究課では、いわゆるマイクロプラスチックによる海洋汚染の原因解明に挑んでいる。

 マイクロプラスチックとは、直径5ミリメートル以下のプラスチック片のことを指す。同課課長ピーター・ロスさんは、これは化学汚染ではなく物理的汚染であり、今までの海洋汚染とは全く別のものだと、取材に説明している。

 最近BC州沿岸で行われた調査では、1立方メートルの海水中から2万5千個のプラスチックの破片や繊維が検出されたという。これらはプラスチック製品ースーパーのレジ袋、タバコのフィルター、発泡スチロールなどーが徐々に崩壊していった結果だが、ロスさんは意外なものも、その原因になっていると指摘する。

 それは、フリースなどの化学繊維の衣類が洗濯されるときに出る繊維だ。セーター一枚を洗濯した場合、その排水の中には、最大で1万本もの微細繊維が含まれ、そのまま下水道に流れ込むと、ロスさん。

 しかし、一枚一枚のフリースが、最終的にどのくらいの規模で海洋汚染に寄与しているかは、まだ明らかにされていない。ロスさんらは現在、浄水場に流れ込む下水と、処理後にフレーザー川に放出される処理済みの水のサンプルに、それぞれどのような種類のマイクロプラスチック類が、どれくらい存在しているかを調査している。その調査結果によっては、浄水場の処理方法の変更を促すことになるかもしれない。

 プラスチック類による海洋汚染は世界的な問題となっており、ある研究によると、その海に流れ込む量は、毎分ゴミ収集車1台分になっているという。また、この状態が続けば、2050年には地球上の海に住む魚の数量よりも、プラスチックゴミの数の方が多くなるとされている。

 この問題に取り組むため、バンクーバー水族館では最近32万5千ドルを投じて、犯罪捜査などにも用いられる赤外線分析器を導入した。これを用いれば、どのような種類のプラスチックゴミであるかを、より正確に突き止めることができ製造側へのアドバイスも可能になるという。

 バンクーバーに本社がある非営利アウトドア用品メーカー、マウンテン・エクイップ・コープ(MEC)は、自社製品が環境に及ぼす影響を削減する努力を長年続けてきている。その一環として、ロスさんの研究に5万ドルの寄付も行っている。マイクロプラスチックによる汚染は、同社やパタゴニアといったアウトドア用品メーカー大手でも、取り組むべき問題として認識されてきていると、同社は取材に語っている。

 同社の製品試験所で取材に応じた製品責任者ジェフ・クロックさんは、製品の素材を変えたり、製造方法を変えたりして、この問題の上流にいる生産者として、できることに取り組んでいると説明。世界で何十億ドル規模となる服飾業界が、この問題の解決に寄与できることは間違いないが、研究が十分進んでいないため、どう取り組めばいいのか分からないのが現状だと語っている。

 同州バンクーバー島にあるバンクーバー・アイランド大学ナナイモ校の博士サラ・ドューダスさんの研究グループは、BC州沿岸部の各地から採取したカキの内臓を溶かし、どれくらいのマイクロプラスチックが蓄積されるかを調査した。極めて根気のいる、この研究で分かったことは、ほとんどすべてのサンプルにプラスチック繊維が含まれていたことだ。

 こうしたプラスチック汚染が、実際のところ、自然環境や人体にどのような危険性を及ぼすのかは、分かっていない。しかしドューダスさんは、この研究をその端緒にしたいとしている。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。