2017年3月30日 第13号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市の公園で、最近奇妙な牛乳容器が見つかっているという情報が、メディアに寄せられた。

 匿名を希望している女性はこの1カ月のあいだに、同市ガーデンシティ公園でドアノブの部品が結ばれたプラスチック製牛乳容器(1ガロン)をいくつも発見している。

 犬の散歩に、この公園を日頃から利用しているという、この女性が地元新聞社に提供した写真を見ると、ドアノブやその部品が複数個、丁寧にひもに通されて容器の取っ手部分に結びつけられている。ひもの長さは数10センチ程度とみられる。

 女性は、この2週間で池に浮いている7個のほか、木の枝に引っかかっていた、いくつかの牛乳容器を回収したほか、池にはまだいくつか浮いているという。

 これだけでも奇妙な現象だが、この女性をさらに驚かすことが起こった。環境のためにと彼女は、回収した容器をリサイクルしやすいよう、ひもをほどいてドアノブなどを取り除き、プラスチック容器は押しつぶしておいた。ところが後日、再び公園を訪れてみると、彼女が潰したその容器にまたドアノブが吊り下げられ、池に浮いていたという。

 この容器にメモを残し、何のためにこんなことをしているのかを問いただしたい衝動を何とか押しとどめた彼女。すべてを明るみに出すより、ミステリアスにしておくほうがいいかと思ったと取材に答えている。

 市街地にありながら、せっかく豊かな自然相を保っている公園にこのような物体が散乱しているのは、正直悲しく迷惑な話だと語る彼女。たぶんいたずらか何かで、インターネット上のどこかには「今日は、この女性、何個の牛乳容器を回収するだろうか」などという動画を、密かに楽しんでいるグループがいるのではないかと、自嘲ぎみに話していた。

 

 

2017年3月30日 第13号

 オンタリオ州オタワのレストランで26日、窒息死しそうになっていた少女に、たまたま居合わせた非番の警察官が処置を施し、その命を救った。

 8歳になるエマ・ロスちゃんは、兄のバースデーディナーを家族とともにレストランで楽しんでいた。しかしベーコンをほおばりすぎたロスちゃん、それを飲み込めず息を詰まらせてしまった。あわてた母親がロスちゃんの背中を叩いて何とかしようとしたが、そもそもこれは誤った処置であり、ロスちゃんの状況は変わらなかった。

 まわりの客もただ様子を見守るだけで、パニックに陥りそうになった母親だが、その時1人の女性がロスちゃんの後ろに回り、母親にのどを詰まらせたのかと確認した。その後女性はロスちゃんの腹部に回した腕で、横隔膜を下から上に圧迫するハイムリック法を施した。そして3回目には無事、ベーコンを吐き出させることができた。

 この女性、実は非番の警察官で、ロスちゃんが無事なことを確認すると、自分のテーブルに戻り何事もなかったかのように食事を続けたという。

 彼女のフルネームを聞き忘れたロスちゃんの母親は、できれば、ふたたび本人に面会して、娘を救ってくれたお礼をあらためて言いたいとメディアに語っている。さらに、この件に触発され、心肺蘇生術のコースを受講し、今後このような場面に遭遇した時に役立てたいと付け加えていた。

 

 

2017年3月30日 第13号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市中心街で26日、差別反対を訴えていたデモ隊を右翼グループが威嚇、両者の衝突を避けるために警察が介入した。

 デモは3月21日の国際人種差別撤廃デーにあわせて行われ、黒人の命が大事(Black Lives Matter)、世俗主義および民主主義南アジアネットワーク(South Asian Network For Secularism and Democracy)、またバンクーバー・プライド・ソサエティなど、数々の差別反対団体が参加して行われていた。

 デモ主催者側によると、デモ隊が最終目的地(同市ヘイスティングス通りとキャンビー通りの交差点)の前、ビクトリー・スクエアに到着した時に、緊迫する状況となった。

 連邦議会議員のジェニー・クワンさんがスピーチしようとしたところに、右翼グループが紫色の発煙弾を投げ込み、デモ隊を威嚇し始めた。このグループは、白人至上主義(オルタナ右翼)のグループ、オーディンの兵士(Solder of Ordin)。人数は10人ほどだったという。

 オーディンの兵士は、2015年にフィンランドで結成された移民に反対するグループで、この日デモ隊を威嚇していたメンバーたちは、そのロゴが入ったフード付きジャケットを着ていた。

 警備に当たっていた警察は、この時点では静観していたものの、デモ隊が威嚇に対し叫びながら応酬しようとしたところで、両者の間に割り込み、事態の沈静化に動いた。

 デモ主催者は、この地における移民反対や差別主義の台頭に気をつけ、組織立ってこれに対抗する必要があると、取材に語っていた。またこれは新しい動きではなく、いったんは下火になっていたものが、トランプ大統領の出現によって勢いを盛り返してきたのだと指摘している。

 

 

2017年3月23日 第12号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府が、税金を使用して党のイメージ向上を図る広告を配信したとして20日、バンクーバーの弁護士が州政府を提訴したことが分かった。

 提訴した2人の弁護士は、政府広告は州民の利益のために制作・配信されるものであり、党のイメージアップを図るために税金を使用するのは背任に値すると主張している。

 弁護士の一人ポール・ドロシェンコ氏は、州政府は、税金を徴収し、徴収した税金を州民の利益のために使用する法的義務があると語り、BC自由党のために使用するのは法律に違反すると説明した。

 自由党政権は、2016年度予算に1500万ドルの広告費を計上している。今年5月9日に実施される州議会議員選挙を前に、住宅初購入者への補助や薬物問題への取り組み、さらに今年の予算案で発表した健康保険料(MSP)還元のための登録を促す広告を、州政府の広告として配信している。

 

 

2017年3月23日 第12号

 アルバータ州進歩保守党(PC)党首を決める投開票が18日に行われ、ジェイソン・ケニー氏が圧倒で当選した。

 元閣僚という知名度を生かし、党首選に参戦したケニー氏。1回目の投票で得票率75・5パーセントを獲得し、他の2候補を圧倒的大差で引き離し、当選した。

 アルバータ州PCは、2015年5月の選挙で大敗。40年間保持した政権の座を新民主党(NDP)に明け渡し、野党第一党にすらなれなかった。その責任を取り、2014年9月から党首を務めた元連邦保守党政権環境大臣ジム・プレンティス州首相が党首辞任を表明。2016年7月から始まった党首選に、それまで連邦保守党政権時代に雇用・社会開発大臣を務めたこともあるケニー氏が国会議員を辞職して、立候補を表明した。

 アルバータ州は現在、レイチェル・ノッテリー州首相のNDPが政権を担っている。野党第一党は、PC同様保守系のワイルド・ローズ党で、今後2党がどのような関係を築くか、注目されている。

 党首選で勝利したケニー氏は、勝利宣言でワイルド・ローズとの統合を目指すことを表明。保守系がひとつになって2019年の選挙に臨むことが最良と語った。

 しかし、すでに野党第一党であるワイルド・ローズは、PCほど積極的ではない。プレンティス州首相時代に当時のワイルド・ローズ党首がPCに党替えをして、もめたという経緯がある。

 党の統合は両党の党員による投票で決定する。ケニー氏は今春にもワイルド・ローズ党首と話し合いを持ち、夏までには党員による投票を行いたいとテレビインタビューで語っている。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。