2018年9月13日 第37号

 アメリカへの入国を拒否されたカナダ人女性が、その係官を平手打ちしたため、警備官への暴行の罪に科せられた。

 事件が起きたのは2日、オンタリオ州ナイアガラフォールズから、対岸の米ニューヨーク州を結ぶナイアガラフォールズ・インターナショナル・レインボーブリッジ。

 オンタリオ州キッチナーに住むティアナ・ナターシャ・マクファーソン容疑者(40歳)はこの日、タクシーでレインボーブリッジに乗り付けた。しかし、アメリカへ入国しようとするマクファーソン容疑者に対し国境警備官は、彼女が以前にアメリカ入国を試みた際のトラブルを理由に、これを拒否した。

 これに対しマクファーソン容疑者は闘争的な物言いとなり、非協力的な態度となった。さらに自分はアメリカ市民だと主張し始めたが、その主張を裏付ける書類などは提示できなかったという。

 さらにカナダへの退去を命じた警備官に対し、顔を殴って刑事罰に処されたいと言い、その顔を平手打ちしたという。今回の暴行罪が確定した場合には、最大で8年の禁固刑と25万ドルの罰金を命じられる。

 

 

2018年9月13日 第37号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市のバンクーバー国際空港のターミナル内で最近、壁に家庭用コンセントとそっくりの実物大ステッカーが貼られ、携帯電話などの充電場所を探していた利用客の怒りを買っている。

 「コンセントの賊(outlet bandit)」と名付けられた犯人に対し、空港管理会社もツイッターで厳しく非難、調査を開始したとメディアに説明している。また、同種のいたずらで人を騙している動画が、インターネット上にも投稿されていることを指摘している。

 同会社では、この犯人についての情報提供をツイッター上で呼び掛けている。

 

 

2018年9月13日 第37号

 不随意運動や神経症などの症状を伴う難病、ハンチントン病。治療法が見つかっていないこの病気の患者やその家族の支援と、治療法の研究への資金援助を行っている非営利団体、カナダ・ハンチントン協会が9日、毎年恒例のゴーカート・レースをカナダ各地で開催した。

 同協会の資金調達を目的としたこのレースは、オンタリオ州支部が1996年に始めた。今年はプリンスエドワード島、オンタリオ州ウィンザー市のほか、マニトバ州ウィニペグで開催された。

 ウィニペグ市の会場となったのは、同市西部の町ヘディングリーにあるサンダー・ラピッズ・ファンパーク内のゴーカート・コース。1チーム6人で参加するこのレースに、何百人もの人が参加した。

 同協会ウィニペグ支部長のバーン・バレットさんは、この病気を「ALSとパーキンソン病、そしてアルツハイマー型認知症をまとめて患っているようなもの」と形容している。また遺伝子異常が原因の病気であるため、両親がり患した場合、子供にも50パーセントの確率で発症する。そのため、本人のみならず周りの家族、また子供たちにも大きな影響を及ぼす破壊的な病気だと、バレットさんは語っている。

 この日のウィニペグのレースでは2万ドル以上の寄付が集まった。

 

 

2018年9月6日 第36号

 連邦上告裁判所は8月30日、カナダ連邦政府のトランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画承認を無効化する判決を下した。判事3人による全会一致だった。

 裁判所は連邦政府承認無効化の理由を、連邦政府がパイプライン建設に関係する先住民族との対話に欠け、先住民族の人々の懸念を払しょくする取り組みを怠ったこと、カナダエネルギー委員会(NEB)がパイプライン建設を承認するに当たり、環境への影響を考慮することを「法的に義務付けられている」にもかかわらず、今プロジェクトに関係するタンカー航行増加の考慮を不当に外した欠陥があり、これを基に承認されたプロジェクトは認められないと、説明した。

 これによってプロジェクトは一時中断することになる。

 連邦政府は裁判所の判決を受け、判決内容を精査し今後の対応を検討すると同日に発表。ビル・モルノー財相は、「パイプライン完成に向けて努力する」と語った。

 翌日になってジャスティン・トルドー首相が判決について言及。厳しい環境対策と先住民との和解は、自由党政権が掲げる重要な2大政策であり、連邦政府がこれら2つの対策に今後も尽力していくことに変わりはない、判決が出たことでこれからさらに努力していく方向性が見えたと語った。

 9月4日にはブリティッシュ・コロンビア州サレー市を訪問していたトルドー首相は、この日の記者会見でも記者にパイプライン建設承認の無効化について改めて質問されると、「一国に頼っているオイルの輸出先を多様化するためにもパイプライン建設は必要」と、これまでと同じ回答を繰り返した。

 隣にいたBC州ジョン・ホーガン州首相は、「この件については連邦政府と意見が違う部分があるが、BC州にとって最善の方法を模索していく」と笑顔を見せた。トランスマウンテン・パイプライン拡張工事についてBC州新民主党(NDP)政権は反対の立場をとっている。

 ホーガン州首相は8月30日に判決が出た直後の記者会見でも勝利宣言はせず、BC州先住民族やバンクーバー市、バーナビー市の訴えが裁判所に認められたことを喜ぶコメントに抑えた。

 8月30日には訴えを起こしたスコーミッシュなどの先住民族たちが同州バンクーバー市で記者会見を開き、自分たちの訴えが裁判所に認められたと喜びを爆発させた。ツレイル・ワウトゥス族チーフ、モリーン・トーマス氏は、この判決をカナダと先住民族が真の意味で和解する新しい機会にすることが最も望ましいと語った。

 パイプラインのターミナルがある同州バーナビー市デレク・コリガン市長は、これまで建設に反対してきたが今回の判決は初めて妥当なものとなったと語った。同様に反対してきたバンクーバー市グレゴール・ロバートソン市長は、今回の決定は先住民族の人々の権利と、建設に反対してきた我々にとって大きな意味を持つ勝利となったと声明を発表した。

 

 

2018年9月6日 第36号

 アルバータ州政府レイチェル・ノッテリー州首相は8月30日、同日の連邦上告裁判所の判決を受け、アルバータ州がカナダ環境対策計画から撤退することも辞さない強い姿勢を示した。

 アルバータ州はカナダ自由党政権が進める環境対策計画に賛同し、2017年1月から炭素税を導入している。カナダにはオイルサンド事業をはじめとする天然資源産業が多いアルバータ州で炭素税を導入することで、カナダ環境対策計画が成功するとの認識がある。天然資源産業はカナダ経済にとって最も重要な産業の一つ。そのため、アルバータ州の炭素税への参加が、連邦政府が進める環境対策計画成功のカギとして、連邦政府はアルバータ州が炭素税導入を約束することでトランスマウンテン・パイプライン拡張計画を承認したという背景がある。

 しかし、今回の判決で裁判所はカナダエネルギー委員会(NEB)の判断に欠陥があったとして、トランスマウンテン・パイプライン拡張計画の承認を無効化した。NEBはタンカー航行による海洋汚染の影響と、パイプライン建設地域に関係する先住民族への説明責任と懸念への取り組みを怠ったことを判決の理由に挙げた。

 ノッテリー州首相は30日、「アルバータ州民は怒っている。私も怒っている。アルバータは正しいことを全てやってきた。それなのに裏切られた」と生中継会見で語った。州首相はジャスティン・トルドー首相と電話で会談し、すぐに上訴するよう要求したと語り、パイプライン建設に向けた対策を取るように訴えたと語った。

 そしてアルバータ州は現在導入している炭素税について1トン当たり40ドルまで引き上げられた時点で、カナダ政府の環境対策計画から撤退すると強い口調で語った。連邦政府の環境対策はアルバータ抜きでは、ただの紙切れ同然とアルバータ州の重要性を強調した。

 炭素税は2022年に1トン50ドルまで引き上げられるが、40ドルまで引き上げられるのは早くても2年後。ノッテリー州首相はパイプライン建設が確約されるまでは、連邦環境対策に参加するつもりはないと語った。

 連邦政府は今回の判決について精査して対応すると語ったものの、詳細は発表していない。ビル・モルノー財相は、パイプラインは必ず完成すると繰り返した。連邦政府は今年5月にトランスマウンテン・パイプラインを45億ドルで買収すると発表。判決が出される30分前には、パイプラインを所有するキンダーモーガン社の株主集会で、カナダ政府への売却が99パーセントの賛成を得て承認された。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。