自由党政権は政権交代後初となる予算案を発表、ジャスティン・トルドー首相が予告していた通り大幅な赤字予算となった。しかしビル・モルノー財務相は経済活性化のための予算案を強調した。

 選挙期間中には、3年で約100億ドルの赤字となるが次期総選挙の4年目には黒字転換するとの予測を立てていた。今回発表された予算案では今後4年は赤字予算となることを示唆、赤字額も大幅に増加している。ただ、原油価格などの上昇で経済が好転すれば状況は変わるとしている。

 来年度の赤字額は294億ドル。今年度の前保守党政権から現自由党政権に引き継いだ予算の56億ドルから大幅増加することになる。

 大幅赤字予算の歳出の多くはインフラ整備に費やされ、経済活性化を狙っている。公約していた項目についての予算は、公共交通機関整備に34億ドル、住宅関連に14億ドル、先住民コミュニティへの支援に22億ドル、子供の教育・健康関連に4億ドル、気候変動関連に5億1800万ドルとなっている。

 経済成長予測については、来年度が0・5パーセント、次年度が1・0パーセントと予測。専門家の予測よりもやや控えめな数字となっている。

 赤字額は、2017・18年度が290億ドル、18・19年度が228億ドル、19・20年度が177億ドルとなり、次期総選挙時でも黒字予算転換はないことを示唆している。

 モルノー財相は、「政府は、カナダの明るい未来のために、国民と経済への投資をする機会を得たと思っている」と国会で語った。

 

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 カナダ統計局は18日、1月の小売売上高が2・1パーセント上昇したと発表、0・6パーセントというエコノミストの予想を大幅に上回った。昨年12月に伸び悩んだだけに幸先のいい2016年の始まりに、市場はカナダドルが対米ドルでやや上昇した。

 最も伸びたのは自動車と自動車部品の4・8パーセント。その他には、一般商品も4・8パーセント増、特別建設資材などが3パーセント増、ヘルスケア関連が2・7パーセント増となった。

 自動車を除く小売売上高は1・2パーセントにとどまったが、前月よりも大幅に改善している。1月の予想外の伸びに、ことし第1四半期の経済回復基調が期待されている。

 同日にカナダ統計局はことし2月の消費者物価指数も発表。インフレ率は前年同月比で1・4パーセントと1・5パーセントの予想をやや下回った。1月は2・0パーセントだった。

 インフレ率が低かった要因はガソリン価格の下落で、前年同月比13・1パーセント減。ただ食料品は3・9パーセント上昇、住宅も上昇した。価格変動の激しい項目を除いたコアインフレ率は1・9パーセント。カナダ銀行は今月初めに、インフレ率2パーセントはそう長くは続かないだろうと予測していた。

 

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 連邦政府キャサリン・マッケナ環境・気候変動相は18日、ブリティッシュ・コロンビア州スコーミッシュで計画されている液化天然ガス(LNG)事業ウッドファイバーLNG計画に対し環境評価を承認した。環境相は「科学的根拠に基づく環境評価で判断した」と声明を発表した。

 同計画については昨年10月にBC州政府がすでに環境評価を承認している。完成すれば年間約210万トンのLNGが生産・輸出されることになる。

 ただ連邦政府、州政府とも条件付きでの承認となっている。先住民族との話し合い、生態系への配慮、騒音や大気汚染などへの考慮、さらには海洋生物や水質への影響なども条件に含まれている。

 この事業計画にはスコーミッシュ市長をはじめ、住民や先住民族などの反対も根強い。事業を手掛けるインドネシアのRGEグループは、建設中には年間650人以上の雇用を生み出し、その後も25年にわたって約100人のフルタイムを確保できるとしている。ただし、同社は最終投資決定をまだ行っていない。

 

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 ノースウェスト準州のノーマンウェルズで、25年間カヌーツアー会社を経営しているアル・ペースさん。

 彼がここで会社を立ち上げるきっかけになったのは、1977年、彼がまだオンタリオ州の私立高校レークフィールド・カレッジ・スクールの生徒だった時に、ノースウェスト準州を流れるカッパーマイン川のカヌー探検に参加したことだった。

 初めてのカヌー・トリップで、すっかりそのとりこになってしまったペースさんだったが、このツアーにはイギリス王室からヨーク公アンドリュー王子も参加していた。彼は交換留学生として、レークフィールド・カレッジ・スクールに2学期だけ滞在している最中だった。

 王子は大のカヌー好きで、またカナダの文化を愛していたと、ペースさんは当時を振り返る。この時に友好を深めた二人は、その後5回にわたり、ノースウェスト準州のカヌー・トリップを行ったという。

 そんなペースさんが経営する会社カヌー・ノース・アドベンチャーに、イギリスのマルバーン・カレッジからカヌー探検の問い合わせが来た時、ペースさんはアンドリュー王子にこのことを知らせた。

 そして昨年の夏に同校の学生22人と3週間のカヌー探検を終えたペースさんのもとに、バッキンガム宮殿で行われる探検参加者の同窓会に出席してほしいとの招待状が、アンドリュー王子から届けられた。

 ペースさんとマルバーン・カレッジの学生は先月、バッキンガム宮殿に出向き昨夏のカヌー探検の写真をアンドリュー王子に披露した。王子は学生のプレゼンテーションをとても興味深く見入っていたと、ペースさんはその時の様子を取材に話している。またペースさんと王子が最初にカヌー探検をした1970年代のカヌー装備と、学生たちが持っていた現代のハイテク・ギアを見比べ、自分たちはまるで歴史上の探検家のようだったと語り合っていたという。

 1977年のカヌー探検から40年となる来年、ペースさんはその時のメンバーに声をかけ、同窓会カヌーツアーを行おうと企画している。もちろんアンドリュー王子も含めてだ。普段は公務に忙しい王子にとって、こうした外界と切り離される機会は貴重なものになるはずだと、ペースさんは話している。

 

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 オンタリオ州セント・キャサリンに住むレイモンド・コロチャックさんは2014年3月、メキシコ旅行から帰国する際に、トロント国際空港で手荷物を押収されてしまった。

 その原因となったのは、クノールのチキンスープ『カルド・デ・ポジョ』の素。旅先で見つけたこのスープが気に入ったコロチャックさんは、申告することなく粉末スープを手荷物として持ち帰ろうとしたのだった。

 翌日、カナダ国境サービス庁から電話があり、粉末スープの持ち込みは検疫法(動物の加工品や肥料、また動物の加工品を含んだ製品などは国内への持ち込み禁止)に違反していると告げられた。

 またコロチャックさんには、400ドルの罰金を支払ってすぐに手荷物を引き取るか、異議申し立てを行うかの選択ができることも告げられた。ただし異議申し立てが棄却された場合は、倍の800ドルが科せられる。

 アメリカとの国境近くに住むコロチャックさんは、アメリカへ日用品の買い物にもよく出かけるが、何を買ってこようが国境で問題になったことはなかったと取材に語り、今回のケースは過剰対応であり、その場で警告を与えて粉末スープだけ没収すれば済んだ話だと憤慨している。

 何が持ち込み可能で何が不可能なのか、具体的な指針も明らかでない上に、単なる粉末スープが法律違反になるとは思えなかったコロチャックさん、カナダ国境サービス庁と公安・非常時対応準備省を相手取り異議申し立てを行うこととした。

 彼にとって不幸だったのは、再審理法廷の開廷日の通知が、彼が国外に3カ月滞在している間にセント・キャサリンの自宅に届いたこと。原告不在のままで開かれた法廷では、800ドルの罰金を科す判決が出されてしまった。ただし、この法律違反は刑事罰には当たらないとの判断もなされた。

 カナダ国境サービス庁によると、国内に持ち込む食品は全て申告する必要があり、申告漏れの品が見つかった場合は、該当品の押収と罰金が科せられる。これは国内の動植物に危害を及ぼす菌やウィルス、病気などを水際で防ぐためだと同庁は説明している。コロチャックさんは連邦控訴審へ上訴することにしている。

 

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