2018年8月23日 第34号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は15日、多発する山火事に対処するため非常事態を宣言した。

 15日時点で、同州での山火事発生件数は566カ所、29件の避難指示が出され3050人に影響が及んでいる。また避難勧告が出されている地域では1万8700人が対象となっている。特に州中央部の都市プリンスジョージの西側に集中している。

 山火事が多発している要因は、高温と乾燥が続いた天候に落雷が多発したためで、人的要因による山火事発生率は約30パーセントと発表されている。

 BC州政府公安省マイク・ファーンウォース氏は非常事態宣言について「州民、公共機関、土地、インフラを守る手段の第一歩であり、消火活動への支援を確実にするため」と会見で語った。

 すでに連邦政府に応援を要請し、連邦政府はカナダ軍兵士200人を消火活動支援に充てることを承認した。

 現地では3372人の消防士らが消火活動に当たっている。消防士は州内、国内はもとよりメキシコ、ニュージーランド、オーストラリアからも駆けつけている。

 夏になると高温と乾燥で必ず山火事が発生するBC州だが、最悪だった昨年も7月から約10週間、山火事に対する非常事態宣言が発令された。今年は昨年より燃え広がっている規模は小さいが、発生件数が増加しているとファーンウォース公安相は説明した。

 

 

2018年8月23日 第34号

 連邦自由党政権ジャスティン・トルドー首相は19日、訪問中のモントリオールで2019年に実施される総選挙に立候補することを公式に発表した。ケベック州モントリオールのパピヌー選挙区での立候補を目指す。

 この日はモントリオールで支援者を前に「積極的な政治」を訴え、カナダが抱える課題に取り組むことを強調した。

 トルドー首相が同選挙区で初当選したのは2008年。2011年に再選。2013年に党首に就任し、2015年には党首として再選するとともに、自由党を大勝に導き首相に就任した。

 この日はモントリオールで開催されたプライドパレードにも参加。ケベック州フィリペ・クイヤード州首相やモントリオール市バレリー・プランテ市長とともに行進した。

 

 

2018年8月23日 第34号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州で発生している山火事の現状を視察するために、BC州ジョン・ホーガン州首相が州中央部の都市プリンスジョージを訪問。関係者と面会した後、同行した連邦政府ハルジット・サージャン国防相と記者会見に臨んだ。

 ホーガン州首相は、今月15日の非常事態宣言が新民主党(NDP)政権にとって、過去12カ月で2回目の宣言という過去に例のない事態となっているが、州政府として必要な支援をすることを約束、その予算もあると語った。

 現在、BC州では560件以上の山火事が発生。州内全域はもとより、国内の他州からも消防士が消火活動のため応援にきている。また、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコと海外からの支援も受け入れている。

 プリンスジョージの西側で起きている850平方キロメートルという大規模な山火事の影響で、その近辺に避難指示が出され、約2千人がプリンスジョージに避難している。

 プリンスジョージ市リン・ホール市長は、昨年の避難者の数と比べるとかなり少ないため、市として避難者の受け入れ態勢はできていると語った。

 連邦政府はカナダ軍から、300人の兵士を消化活動のためにBC州に派遣している。ホーガン州首相は、連邦、州、市、先住民族の各政府が集まって協力することで、国民に安心感を与えると、連邦政府や市、先住民族の協力体制に感謝した。

 ホーガン州首相は、この日の午後にはバンクーバー島ナナイモでジャスティン・トルドー首相と面会。閣僚会議のためナナイモを訪れているトルドー首相は、到着後に最優先事項としてホーガン州首相と面会したことを明かし、「BC州全体を襲っている山火事の影響を受けている住民、消火活動に当たっている消防士、救援活動に当たっているファーストリスポンダー全員が無事であることを願っている」と語った。

 トルドー首相は16日にプリンスジョージ入りし、消防士や避難者に面会した。

 

 

2018年8月23日 第34号

 オンタリオ州トロント市議会は20日、ダグ・フォード州首相率いる進歩保守党(PC)政権が可決したトロント市議を半減する法案に対して法廷で争うことを、賛成25、反対17で可決した。

 動議を提出したトロント市議ジョシュ・マトロウ氏は、「今日、トロント市議会はダグ・フォード州首相のおせっかいな市政介入に対して立ち上がることを決定した」と語った。

 フォード州首相は、オンタリオ州選挙で大勝し政権交代を果たした後、選挙戦で約束したさまざま公約を実現してきた。

 しかし、トロント市議半減は公約として掲げておらず、政権発足後の7月27日に突然フォード州首相が提案し始めた。そのため、トロント市ジョン・トーリ市長をはじめ、市議の多くが突然の半減案に反発。フォード州首相の独裁的な政権運営を批判した。

 それでもPCが過半数を占めるオンタリオ州議会は、今月14日、賛成多数でトロント市議数を現在の47から25議席に削減する案を可決。フォード州首相は、「これで少なくとも2億5千万ドルの費用削減となる」とトロント市民にとっては朗報と説明した。経費削減はPCが最大限に主張する公約でもある。

 しかしオンタリオ州では、トロント市をはじめ州全体の地方選挙が、10月22日に実施される予定になっている。すでに選挙に向けた準備も始まっていて、この時期の市議数半減は次期選挙にも影響すると反発する議員や候補者が多い。

 フォード州首相は、20日にトロント市以外の市では市議数の変更を行うつもりがないことを明らかにした。

 最高裁判所での審理は8月31日に行われる。

 フォード政権は、オンタリオ州地方議会制度の変更について、トロント市議半減のほか、ムスコカ、ピール、ヨーク、ナイアガラの地方議会の議長についても、これまでの選挙制から任命制に変更することを発表している。

 

 

2018年8月23日 第34号

 連邦保守党アンドリュー・シェア党首は、「多様性・多文化主義」は党にとって重要な政策の一つとの認識を16日、改めて示した。

 さらに、党幹部はチームワークをもって同じ目的で党としての政策に取り組み、国民の信頼を勝ち得て、次期選挙でジャスティン・トルドー政権を倒さなければならないとも語った。

 今回のシェア党首の「多様性」への言及は、12日夜に同党マキシーム・ベニエ議員が示した一連のツイートに対して党の方針を改めて示したものだった。そのツイートの内容は「超多文化主義はカナダのためにならない」というもの。

 ベニエ議員は「トルドー首相の行き過ぎた多文化主義とカルト的な多様性主義は、国民を小さなグループに分けることになる」とし、「これ以上の多様性がカナダを強くすることはなく、むしろ国として強くなったカナダを壊すことになる」などのツイートを繰り返した。

 これに対し、党内ではベニエ議員を幹部から外す必要があるのではないかなどの意見が出ていた。自由党や新民主党(NDP)からは「超多文化主義とは一体何を指すのか」などの批判が噴出した。

 それでもなかなかすぐに対応しなかったシェア党首は、15日にようやく声明を発表。ベニエ議員の発言は、アイデンティティを利用した政略でカナダを二分するものであり、党の考えとは関係ないとの考えを示した。

 そして16日に、サスカチワン州レジャイナを訪問中だったシェア党首は記者団に、改めてベニエ議員の考えは党の方針とは異なることを強調した。

 しかし、ベニエ議員は16日にさらに反論。自分の主張は国民のアイデンティティを明確に示すためのものとツイートした。

 ベニエ議員は2016年に実施された保守党党首選の決選投票で、シェア党首に敗れて党首になれなかった経緯がある。

 以降、本を出版し、その内容がふさわしくないと販売停止にしたり、超多様化主義発言をしたり、何かと物議を醸す言動を繰り返している。

 政治評論家は、来年に控える総選挙へのアピールのため露出機会を増やしているのではないか、多文化主義を否定することで一部の移民に否定的なグループにアピールしようと試しているのではないかと分析している。

 保守党は今週、ノバスコシア州ハリファックスで党大会を実施する。

 

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。