2019年9月26日 第39号

 秋たけなわ、夜長を楽しもうと、いろいろ集う会など盛りだくさんである。そんな宴会などでのお開きの決まり文句として「宴たけなわではございますが」こんな表現がよく使われている。しかしほとんど話し言葉として使っており、書いたことなどめったにない。それゆえ、「たけなわ」の漢字などあるの、という人が大半であり、半分本気で「竹縄」では、という人もいて思わず笑ってしまった。

 この「たけなわ」の漢字、調べてみると「酣」と「闌」と二つある。でもこんな漢字を知っている人はごく稀であり、日本語教師になる前は全く知らなかった。教師としていろいろ調べてみると、「酣」のほうが馴染みやすく、何となくこちらを教えたい。

 この「たけなわ」の漢字は「酒が甘い」と書きますよと説明すべく、「酒」の漢字も少し調べてみた。この「酒」の部首は水と関係あるので、当然「さんずい」だと思い込んでいた。でも違うと分かってびっくり。ナント部首は「酉」とのこと。「とりへん」や「ひよみのとり」などと呼ばれており、この「酉」は酒を入れる壺の象形文字として出来たとのこと。なるほど。

 さらに、「酉」は十二支の「とり」の漢字でもある。十二支は時間や方角そして季節も表わしており、この「酉」は秋を示し、酒造りは秋から始まる。このように「酉」は「さけ」と大いに関係があり、「酒」の部首は「酉」でなければならない。確かに「酉」が付く漢字「晩酌」「酎ハイ」や「酔う」など、お酒にまつわるものが多い。また「酋長」の「酋」にも「酉」が入っている。これも「さけ」と関係あり、「酋長」とは酒を司る役職だったのこと。大いに納得である。

 この「酣(たけなわ)」の意味は大いに盛りあがって最高潮のことで、「宴もたけなわ」といえば「宴会も真っ盛り」の意味として使っている。しかし改めて調べてみると、辞書にはもう一つ「少し盛りを過ぎた状態」という意味も出ている。そしてこの漢字の成り立ちから考えると、どうもそちらのほうが本来の意味だったような感じがする。

 なにしろ「酣」は「酒が甘い」であり、お酒が強い人は盛りを過ぎるとだんだん甘くなっておいしくなくなるようで、ピークを少し過ぎてしまった、そんな感じがふさわしい気もする。

 今では「宴たけなわでございますが」と「が」を使うのが普通だが、昔は「宴たけなわでございますので」のように「ので」使っていたとのこと。なるほど。

 この「たけなわ」の語源にも諸説あり、定かではないが、「宴半ば(うたげなかば)」の最初の「う」と最後の「ば」を除いて「たげなか」となり、それが「たけなわ」になったという説もあり、いとおかし。

 秋の夜長、飲み会などでこの「酒」の部首や「たけなわ」の漢字などについて語るのも乙なものかも。

 友と一献傾けながら、うんちくを傾ける。しばし友も耳を傾けてくれるかも。また楽しからずや !

 

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