2018年10月4日 第40号
皆さん、こんにちは。今年の夏は、夫と息子がバンクーバーに二週間行っていたので、オタワで留守番の私は、6歳の娘を連れてモントリオールに行ってきました。モントリオールは、オタワから約200キロ、車で2時間半。バンクーバーからウィスラー(約120キロ)に行く感じでしょうか。10年ぶりのモントリオール、しかも幼児を連れての女二人旅だけあり、宿泊先はやはり安心できるFairmont Queen Elizabeth(フェアモント・クイーン・エリザベス)を選びました。たまたま17階の部屋に案内されたのですが、この階には、なんと、かの有名な「ベッド・イン」で使われたジョン・レノン/ヨーコ・オノ・スイートが。今回のまるごとカナダでは、当時(1969年5月26日〜6月2日)のモントリオールにタイムトリップしたいと思います。
ベトナム戦争真っ只中の1969年。ビートルズのジョン・レノンとヨーコ・オノは、同年3月に結婚。世界中のマスコミから注目を浴びていたこのタイミングで、ベトナム戦争反対を呼びかける平和活動「ベッド・イン」を行うことにしました。1回目は、アムステルダムで。そして2回目が、今回私たちの滞在したモントリオールのフェアモント・クイーン・エリザベス・ホテルで。本来ならニューヨークで2回目のイベントの予定をしていたのですが、ジョンが大麻所持により、アメリカへの入国許可が下りず、急遽、モントリオールへ変更となりました。
5月26日から6月2日までの約一週間、二人は、このスイート1742から「ベッド・イン」平和活動を行いました。彼らの部屋には、毎日約150人のジャーナリストが招待され、アメリカだけでも350社のラジオ局が、二人の平和に関するメッセージを報道しました。また6月1日には、ジョンが、Give Peace A Chance(邦名タイトル「平和を我等に」)と題する曲を作り、ここで録音。大ヒットしました。
昨年9月21日の国際平和の日には、リノベーションされたスイート1742が公開されました。この2BRスイートには、当時の写真が展示されてあり、客室にある黒電話に耳を当てると、ここでジョンの受けた様々なインタビューが聞けるようになっています。またジョンの愛用していた複製ギター、ジョンのお気に入りの本であった「不思議の国のアリス」や「エドガー・アラン・ポー」など、ベッドイン運動の一週間が、ぎっしりと詰まっています。さらに、ヨーコが日本人であることから、客室には折り紙をイメージさせる照明や、また太平洋の「洋子」であることから、壁の色は、紺にするなど、和を意識したこだわりが、あちらこちらで感じられます。一泊2200ドル(時期によって値段が変動する可能性あり)。世界中からスイート1742に滞在客がやってくるようです。
客室
17階にあるJohn Lennon Yoko Ono Suite
当時の様子を、モダンにアレンジしたおしゃれなスイート
「ベッド・イン」1969年(写真 Fairmont the Queen Elizabeth)
■ 小倉マコ プロフィール
カナダ在住ライター。バンクーバー新報での「まるごとカナダ」「小倉マコのオタワ便り」コラムを始め、新聞記者、コミックエッセイ「姑は外国人」(角川書店)で原作も担当。フェイスブックも始めました!読者の皆さんと繋がれたら嬉しいです。https://www.facebook.com/ogura.mako1