2019年4月11日 第15号

 今回は食品表示についてお話をしたいと思います。

 食品を手にした時に気づく食品表示について理解をきちんとされているでしょうか。

 食品表示記載事項は国により内容の詳細度合いが違うのと、安全と認められ、表示することのできる食材基準も異なるため、各国の表示の特徴を知ると安心して食品を口にすることができると思います。

 私たちが住んでいるカナダはCanadian Food Inspection Agency(CFIA)という国の機関により食品表示の規定を設定しています。基本、表示詳細はアメリカのFood&Drug Agency(FDA)に比べ細かく、Trans-fatやヒ素などの重金属の含有量などの規定設定量が低いので、より安全に食品を選ぶことができます。ところが食品着色料の記載をする義務がないカナダはその点だけアメリカに劣っていますが、全体的にカナダで入手できる食品は安全性が高いと言えます。特にサプリメントに関してはHealth Canadaが特別に設定した規定をクリアした商品だけに認定するNatural Product Number(NPN)を取得しない限り、国内では販売することができません。

 Trans-fat表示に関しては、アメリカが0.5g以下の含有物であればNon-Trasn Fatとして表示ができますが、カナダでは0.2g以下と設定されているので、原産地を確認することが大切です。

 Genetically Modified Organism-GMO(遺伝子組み換え生命体)に関しては両国、アメリカもカナダも規定がそれほど厳しくないため、完全にGMO-free商品を食したい人はオーガニック表記をされている物を選ばれると良いでしょう。オーガニック規定の中にGMOでないことが完全に指定されており、検査もされるので、一番明確に安全性を求めることができます。

 個人的にCFIAが決定した判断で一番悲しかった事件は、ひじきに含まれるヒ素の含有量が高いため、現在も輸入を禁止していることです。2004年以降、日本食品スーパーはもちろんのこと、韓国食品スーパーからも完全に姿を消したひじきですが、最低でも1時間以上水戻しをすることにより、ヒ素が68%以上ひじきから抜け出し、しかも最低5分間煮ることによりもっと抜け出ることがわかっていても、乾燥している状態で商品化されているので、輸入することができません。昔から水戻しをして調理をすることがわかっている日本人でもカナダの食品安全規定のままでは、ミネラル豊富なひじきを入手することができないのがとても残念です。

 食品表示はとても簡単に書かれているので、食品を手にする祭、下記の事を知っておけば、より安全な食品を得ることができます。

1. 一番多く含まれている食材順に記載されている。
2. 10品目のアレルゲン(ピーナッツ、卵、大豆、ゴマ、ミルク、海鮮、木の実、亜硫酸塩、麦、マスタード)の含有表記がされている。
3. 認定証の表示がされている。オーガニックやコーシャーなど

 上記のことを知ると、カナダのスーパーに並んでいる食品がどこの国よりも安全な食品を提供しているということがわかっていただけと思います。これから自分や自分の家族の食の安全性を高めるために、食品表示を有効に読んで理解し、良い食材選びをしていただけるのではないでしょうか。

東京都福祉保険局 「食品衛生の窓」 ひじきに含まれるヒ素
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/hijiki.html

 


草野明美 自然医学博士/Naturopathic Doctor

1989年にカナダオンタリオ州に父親の転勤で引越しをし、2002年にトロントにあるCanadian College of Naturopathic Medicine にて修業後、2年ほどバンクーバーの指圧学校で講師/カウンセラーとして自然治癒力の素晴らしさを教えていたが、日本でも同じことができないか一度帰国。その後日本で結婚、出産をし2013年7月に再度家族を連れてバンクーバーに戻ったあと、カルガリーMarket Mall内のNutrition Houseにてサプリメント健康アドバイザーとして勤務。現在は2児の母としてバンクーバーに在住。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。