2019年2月14日 第7号

 ここ近年、食育という言葉をよく耳にすると思いますが、いったいどういう意味なのか知っていますか?

 農林水産省は食育について、生きる上での基本であり、知育・徳育・体育の基礎となるものであり、様々な経験を通じ「食」に関する知識と、「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることと説明しています。つまり自らの知識で何をどのように選び食べ、健康な身体を維持していく力を学ぶということです。

 実際に私の息子たちが通っているLord Roberts Elementary Schoolでは、毎週一回食育-Edible Educationの授業を行っています。まだ栄養学の基礎の知識を持ち合わせていない子供達なので、とても簡単な内容ではありますが、今まで「食」にあまり興味がない子供たちが「食」に興味をもつように授業は工夫されています。

 ケールチップやオリーブオイルとアップルサイダービネガーからサラダドレッシングを作ったり、野菜を学校菜園で作ったり、菜園の土壌を作ったり、生で食べれる野菜やレストランシェフ経験者の教師から簡単な材料から料理の仕方を習ったり、手をかけると美味しく食べれる野菜や今まで口にしたことのない野菜などを教わったりしています。

 自分たちで料理をしたり、どんなところでどのように野菜やミルクなどが作られているのかを学ぶことによって、子供たちは食べることを含め、環境への影響にも興味を持ち始めています。

 それに加え、バランスよく食事を取ることを心がけるように食事バランスガイド- Eat Well Plateを使って自ら食べるべき物の選択の仕方を教えています。これから食育の授業に私が期待することは、「添加物」、「MSG」、「着色」などに関する情報を子供たちに与えてほしいということです。奇抜な色のケーキやマフィン、キャンディーやチョコレートが当たり前のように流通する中、添加物や着色がいかに身体に悪い物なのかを親も子供ももっと知り食するべきであると私は思います。

 今回食育を語るにあたり、いろいろなウェブサイトを見ていておもしろいことに気づきました。同じ「食」に関することを教えているのに、日本は挿絵を使い堅苦しい言葉ばかりを並べ、カロリー摂取の量や脂肪分の少ない物などを摂取するように言葉ばかりで教えている食育のサイトが多いのに比べ、カナダのサイトはカラフルな食材を使い、具体的に何がタンパク質であり、糖質のグループに入るのかなどを写真で表現し、具体的なスナックや主食のレシピの掲載をしたりと誰にでも簡単にわかりやすく表現しています。お国柄なのか表現方や推奨する食品などが違ったりしますが、堅苦しい言葉を羅列するよりは、画像と具体例で多くの人が何が良くて何が悪いのか簡単にわかるようにしなければ、カロリーの摂取量を言われても何をどれだけ食べたらいいのかなど、全くわからないのが現状です。食育に興味を持たれた方は下記のサイトを見に行かれてはいかがでしょうか。

農林水産省: http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/index.html
Goverment of Canada: https://food-guide.canada.ca/en/

 


草野明美 自然医学博士/Naturopathic Doctor

1989年にカナダオンタリオ州に父親の転勤で引越しをし、2002年にトロントにあるCanadian College of Naturopathic Medicine にて修業後、2年ほどバンクーバーの指圧学校で講師/カウンセラーとして自然治癒力の素晴らしさを教えていたが、日本でも同じことができないか一度帰国。その後日本で結婚、出産をし2013年7月に再度家族を連れてバンクーバーに戻ったあと、カルガリーMarket Mall内のNutrition Houseにてサプリメント健康アドバイザーとして勤務。現在は2児の母としてバンクーバーに在住。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。