2016年8月18日 第34号

 拡張工事が計画されているキンダー・モーガン社のトランス・マウンテン・パイプライン事業計画に対する公聴会が16日にバンクーバー市で行われ、同市グレゴール・ロバートソン市長が改めて反対の意向を強調した。

 今年5月にカナダエネルギー委員会(NEB)が157項目の条件付きながら建設を承認したパイプライン拡張工事は、現存するアルバータ州からバーナビー市までのパイプラインを拡張し、現在の輸送量を一日当たり90万バレルと3倍に増やす計画。バーナビー市まで運ばれた原油は、バラードインレット湾を通りタンカーで海外市場へと輸出する。それによりここを通るタンカー航行数は、現在の7倍になると試算されている。

 この拡張工事については、バーナビー市、バンクーバー市をはじめとした周辺市町村や先住民族、環境活動家などがパイプラインやタンカーでの原油漏れ事故による危険性が高いとして猛反対している。また、経済効果も環境への影響を考えると、それほど大きいとは言えないとも主張している。

 こうした反対の声があったため、自由党政権は天然資源省の小委員会に、パイプライン周辺の関係者への説明と意見交換のための公聴会を開くよう設定し、今回アルバータ州から順番に行われている。

 ロバートソン市長は、市民も環境も危険に晒される、バンクーバー経済にとっても、周辺地域経済にとっても利益は低いと、改めて反対を主張した。

 バンクーバー市での公聴会は17、18日と3日間行われ、来週は最終地ビクトリアに移る。今回の公聴会での意見はジム・カー天然資源相に報告され、同大臣は今年12月19日までに最終決定を行う予定になっている。

 

2016年8月18日 第34号

 ジャスティン・トルドー首相は16日、ニューブランズウィック州ブリッジタウンでの記者会見で、国民の安全と自由の権利の両方を堅持するにはバランスが必要との認識を示した。

 10日にオンタリオ州ストラスロイで起きた爆破未遂事件で、容疑者がイスラム国の影響を受けていたテロリストである可能性が判明したことについて記者からの質問があった。

 爆破未遂事件は、アーロン・ドライバー容疑者が警察に取り囲まれ、タクシーの後ろ座席に載せていた爆発物を爆発させた事件。容疑者は死亡、その後の司法解剖で警察の発砲による死亡だったことが確認されている。

 爆破の被害は少なかったが、爆破計画がアメリカの連邦捜査局(FBI)からカナダの警察当局に、カナダの主要都市で同容疑者が爆破を計画しているとの連絡が入り明らかになったことが問題視されている。

 これについて聞かれると、トルドー首相は直接的な明言を避けた。同容疑者は2014年からすでに警察が要注意人物として注意をはらっていた。

 それにもかかわらず今回アメリカからの連絡によって計画が明らかになったことに対し、トルドー首相はテロリズムから国民を守る安全対策と、国民の自由の権利を保証する対策はバランスが必要とのコメントになった。

 自由党政権になってから、保守党政権で強化された警察への権限増大を軽減する政策がとられている。これに対し野党保守党は強く批判している。

 

2016年8月18日 第34号

 カナディアン・フットボール・リーグ(CFL)第8週、BCライオンズは13日、BCプレースで東カンファレンスのハミルトン・タイガーキャッツと対戦した。

 3週連続アウェーを2勝1敗で終えて、この日は約1カ月ぶりのホーム。試合開始早々2分でタッチダウンを奪うと、前半だけで合わせて4タッチダウンを決め、32ー12と圧倒した。後半に入りタイガーキャッツが猛攻をしかけ、第4クオーターで同点に追いついたものの、残り1分30秒でタッチダウンを決めたライオンズが引き離し45ー38で勝利した。

 これでライオンズは2連勝。7試合を終え、5勝2敗、勝ち点10で、西地区2位につけ、1位カルガリー・スタンピーダーズに1ポイント差と迫った。西地区3位はウィニペグ・ブルーバマーズ、4位エドモントン・エスキモーズ、5位サスカチュワン・ラフライダーズとなっている。

 ライオンズは今週もホームで、19日に首位スタンピーダーズと対戦する。

 

2016年8月18日 第34号

 連邦政府は11日、医療用マリファナを必要としている患者が、自身でマリファナを栽培することを承認する方針を発表した。栽培量などには制限を設ける。

 さらに保健省は、政府が容認している国内のマリファナ製造業者からも患者が医療用マリファナを引き続き購入できるとも発表した。現在国内では34の製造業者が政府の認可を受けている。

 保守党前政権は2013年に医療用マリファナ購入は、認可業者での店舗購入ではなく通信販売を通してのみの購入を許可していた。今回の発表で店舗購入も可能になったが、政府認可でない販売店での購入は医療目的でも認めていない。

 マリファナ使用については、自由党政権は昨年の選挙前から医療用に限らず嗜好品としても合法化することを主張。選挙中には公約として掲げ、政権を取ってからは来春には法案を提出すると発表している。

 

2016年8月18日 第34号

 アルバータ州エドモントンに住むムーアさんの長女イブリンちゃんは7月、1歳の誕生日を迎えた。他の同年代の幼児と同じように活発なイブリンちゃん。彼女が他の幼児と唯一違っているところは、車いすの生活を送っていることだ。

 4カ月検診の時、看護婦がイブリンちゃんの股関節の異常に気がついたのに続き、医師は彼女の脊椎から腫瘍が突出しているのを発見した。診断は、ステージ4の神経芽細胞種。腫瘍を切除することは不可能なため、イブリンちゃんには化学療法が施されており、現在は8回目の投薬が行われている。

 がん自体は縮小傾向にあるが、イブリンちゃんは生涯下半身不随だと、医師から告げられた。

 それを聞いた時は、本当に心が張り裂けそうだったとイブリンちゃんの母親キム・ムーアさんは取材に語っている。しかし夫婦で一晩泣き明かした後、二人は世界で最も強い母親と父親になると決めた。

 イブリンちゃんは他の乳幼児と同じように手を使ってハイハイを始めるだろうから、2歳ごろまではそうやって動き回らせ、その後に車いすに移行させるよう、担当医はムーアさんたちに説明したが、他の子供たちと同じような自由を、少しでも早くイブリンちゃんに与えたいと思ったキムさんは、インターネット上にアイデアを求めた。そして、乳幼児用車いすを自作した人がいることを見つけ、夫のブラッドさんに同じような物が作れないか、相談した。

 ブラッドさんが一晩ガレージで奮闘した結果、キャスターと子供用自転車の車輪を装着したまな板の上に、ベビーチェアの定番バンボ・ベビー・ソファを接着した、イブリンちゃん専用車いすが完成した。

 最初はどうしたらいいのか戸惑っていたイブリンちゃんだったが、やがて前進、後進や曲がる技術を習得していき、興奮している時には体を前後にゆすって前輪のキャスターを鳴らすことまでできるようになった。今ではリビングの真ん中にかまぼこ上の突起を設け、イブリンちゃんがスピードを出し過ぎないようにしなければならないほどだという。

 また小児がんの専門医ベブ・ウィルソンさんは、イブリンちゃんが車いすを自在に操りながら彼女のオフィスを初めて訪れたときの様子に感銘を受け、こうした乳幼児を持つ他の親にも紹介したいと語っていた。

 この車いすの製作にかかった費用は約100ドル。イブリンちゃんが成長し、一般の車いすを用意しなければならなくなった時には、何千ドルの出費を覚悟しなければならない。夫婦はその準備は始めていると、取材に話している。

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。