2016年8月25日 第35号

 ブラジルのリオデジャネイロで開催されていた第31回オリンピック競技大会(2016リオデジャネイロ)は21日、閉会式を終え17日間の熱戦に幕を閉じた。

 カナダのメダル数は金4、銀3、銅15の22。閉会式では、金1、銀1、銅2を獲得した競泳女子16歳のペニー・オレクシアック選手が旗手を務めた。

 今大会カナダ最後の金メダリストとなったのは、レスリング・フリースタイル女子75キロ級エリカ・エリザベス・ウィービィ選手。18日の決勝ではカザフスタンのグゼル・マニュロワ選手を判定で破り、初の金メダルに輝いた。レスリング女子は6階級中、日本が4階級で金、53キロ級でアメリカのヘレン・ルイーズ・マロリス選手が吉田沙保里選手を決勝で破り、金。75キロ級以外全ての階級で日本人選手が決勝に進んだ。

 同日、高飛び込み女子ではミーガン・ベンフィート選手がシンクロに続いて銅メダル。19日には馬術障害飛越個人でエリク・ラメーズ選手が銅メダル。20日には自転車マウンテンバイク女子キャサリン・ペンドレル選手が銅メダルを獲得した。

 3位決定戦に進んだサッカー女子は19日、ブラジルを2‐1で破り勝利。カナダは25分に先制した後、52分にはこの試合で国際試合250試合出場を果たした主将クリスティーン・シンクレア選手が今大会3ゴール目、国際試合通算165ゴール目を決め、カナダをロンドン大会に続く2大会連続銅メダルに導いた。

 期待された陸上は18日、男子200メートルでアンドレ・デグラッセ選手がウサイン・ボルト選手に続く銀メダル。19日には男子400メートルリレーで僅差の4位だったが、3位アメリカが失格となったため、銅メダルとなった。

 カナダは今大会で過去最高に並ぶ22のメダルを獲得。競泳女子のオレクシアック選手をはじめ、陸上男子デグラッセ選手など若い選手が活躍し、次期大会2020年東京五輪にさらなる躍進を期待できる結果となった。

 リオ2016は五輪の幕を閉じ、次はパラリンピックが9月7日に開幕する。

 

2016年8月25日 第35号

 自由党政権は19日、与党下院院内総務にバーディッシュ・チャガー議員が就任したと発表した。中小企業・観光大臣からの大抜擢に驚きの声があがっている。院内総務に女性議員が就任するのはカナダで初めて。

 就任式も済ませた後の初の記者会見では、「非常に光栄な機会を得たと思っている。私自身はここまで人生のほとんどを政治に関わってきた」と語った。

 チャガー議員は昨年10月の選挙で、オンタリオ州ウォータールー選挙区から立候補し現職保守党議員を破って初当選した36歳の新人議員。院内総務は懸案事項について下院内での野党との調整役という難しい役割を担っているため、通常はベテラン議員が就任する。今回、これまでのドミニク・ルブラン議員から若いチャガー議員に交代したことについて、この大役が務まるのか疑問視する声も上がっている。

 レブラン前与党下院院内総務は、漁業海洋兼カナダ沿岸警備隊相に専念する。同ポストについては、昨年の内閣発足時にはハンター・トゥトゥ議員が就任したが、今年の春に中毒治療に専念することを理由に大臣を辞任。以降、レブラン議員が院内総務と兼任していた。

 ジャスティン・トルドー首相はレブラン漁業相には、今後さらに違う役職も担ってもらうことになることも発表している。

 

2016年8月25日 第35号

 ブリティッシュ・コロンビア州クリスティ・クラーク州首相は19日、州の環境対策計画を発表。その中で注目されていた炭素税について、今回は引き上げを見送っていることを明らかにした。

 州政府が任命した専門家や先住民族、ビジネス関係者からなるBC州気候変動リーダーシップチームが昨年、州政府に提案した州の温室効果ガス排出量削減に必要な32項目の中に炭素税引き上げも含まれていた。

 炭素税は温室効果ガス排出量に対して課せられる税金で、2008年キャンベル・ゴードン前州首相時代に導入を実施。それから毎年課税額が引き上げられていた。しかし、2011年クラーク州首相政権になってからは2012年に1トン当たり30ドルになったのをきっかけに税額を凍結。環境活動家や専門家などからは批判が出ていた。

 そのため今回の環境対策プランで引き上げが盛り込まれることが期待されていたが、結局は見送ることになった。提案をしたチームの関係者は、前自由党政権が残した遺産を台無しにする決定と批判した。

 クラーク州首相は炭素税引き上げだけが環境対策ではないと説明し、州政府は、メタンガス削減、液化天然ガスによる排出量削減、森林再生、電気自動車普及推進、公共交通機関インフラ整備などの対策を中心に行っていくと語った。

 しかし専門家は、今回の発表は法制化もしていないし、違反した場合の罰金などもなく、抽象的すぎると批判。クラーク政権になってからBC州の温室効果ガス排出量は増加しており、例えこれらがうまく機能しても、ベストなケースとして2030年の排出量が今と同じというレベルで、今以上に改善されることはないと酷評した。

 

2016年8月25日 第35号

 カナダ統計局は19日、7月のインフレ率が1・3パーセントだったと発表した。前月の1・5パーセントからやや下落。ただ専門家の予想の範囲内の下落にとどまった。

 要因はガソリン価格の下落で、前年同月比で14パーセント下落している。エネルギー関係を除いた7月のインフレ率は1・9パーセントだった。  エネルギー関連以外は概ね価格が上昇。食料品は前年同月比で1・6パーセント上昇、特に肉類の上昇が目立った。また住宅も1・6パーセント上昇した。

 ガソリンや生鮮食品などの価格変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は2・1パーセントだった。カナダ銀行は金利政策の材料としてコアインフレ率に注目している。

 

2016年8月18日 第34号

 大会4日目を終え、競泳陣のガンバリで銀1、銅4と5つのメダルを獲得したカナダ。その後も順調にメダル数を増やしている。

 今大会初金メダルは11日、競泳女子100メートル自由形のペニー・オレクシアク選手。アメリカのマニュエル選手と同タイムで優勝。カナダ待望の金メダル第1号となった。同選手は前日には4x200メートルリレー自由形でも銅メダルを獲得。100メートルバタフライの銀、4x100メートルリレー自由形の銅に続いて、今大会一人で4つのメダルを獲得する大活躍となった。夏季大会で一人の選手が4メダルを獲得するのはカナダ史上初。オレクシアク選手は現在16歳。すでに次期五輪への期待がかかっている。12日には、競泳女子200メートル背泳ぎでヒラリー・カールドウェル選手が銅メダル。競泳女子は今大会で金1、銀1、銅4と6つのメダルを獲得した。男子はメダルが期待された1500メートル自由形のライアン・コックラン選手が決勝に進出したものの6位に終わった。

 金メダル第2号は12日、トランポリン女子ロージー・マックレナン選手。前回ロンドン五輪でも同種目で金メダルを取り、カナダ唯一の金メダリストとして今大会では開会式で旗手も務めた。旗手を務めた選手は金メダルが取れないというジンクスがある中、同種目で五輪2連覇。見事にジンクスを打ち破っての金メダルとなった。

 11日には、ボートの女子軽量級ダブルスカルでリンジー・ジェネリッチ、パトリシア・オビー組が銀メダル。ボート唯一のメダルを獲得した。13日には、自転車トラック女子4000メートル団体追い抜きで、3位決定戦でニュージーランドを下してカナダが銅メダル。ここまで全て女子選手のメダル奪取となった。

 男子待望の初メダルは、陸上100メートル。五輪金メダル連覇がかかるウサイン・ボルト選手と並んで決勝に臨んだアンドレ・デグラッセ選手が9秒91で銅メダルを獲得した。さらに15日には、男子走り高跳びでデレク・ドロウイン選手が金メダル。カナダ史上走り高跳び初の金メダルとなった。陸上女子は13日に、7種競技でブリアン・テイセンイートン選手が銅メダルを獲得した。

 期待されたテニス男子ダブルスのネスター・ポスピシル組は3位決定戦に進んだものの、アメリカに敗れ表彰台には届かなかった。カヌー・スプリント男子カヤックシングル1000メートルのアダム・バンクーバデン選手は決勝進出ができず、決勝Bで1位となり総合9位に終わった。2004年アテネ五輪で同500メートル金メダルを獲得して以降、世界トップ選手として活躍してきたが、最後の五輪で有終の美を飾ることはできなかった。

 8月16日終了時点でカナダのメダル数は、金3、銀2、銅9の合計14となっている。

 今後メダルが期待される競技は、3位決定戦に進んだサッカー女子の他、陸上、ゴルフ女子などがある。大会は21日、陸上男子マラソンで競技が終了。その後の閉会式で幕が閉じる。

 

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