2018年3月29日 第13号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市の夏の風物詩ともいえるナイトマーケット。アジア各国でよく見られる屋台スタイルの店が軒を連ねるイベントだが、今年は会場が一カ所だけとなる。

 昨年まで同市ナイト橋の近くで開催されてきた『イルミネーション・サマー・ナイトマーケット』は、今年は開催されないことが主催者への取材で確認された。

 同ナイトマーケットが最初に開催されたのは2008年のことで、当時はインターナショナル・サマー・ナイトマーケットと名づけられていた。しかし、もともと同市内でナイトマーケットを2003年から続けてきていたリッチモンド・ナイト・マーケットがカナダラインのブリッジポート駅そばで2012年から開催されるようになると、客足が伸び悩むようになった。名前をパンダ・ナイト・マーケットと変更、テコ入れを図るが効果はそれほど見られなかったようだ。そして昨年、イルミネーションを多用したイベントで再起を図ったものの、その流れは止められなかった。

 昨年屋台を出したベンダーは取材に対し、屋台の開店準備で1万6千ドルほどをつぎ込んだものの、4カ月のイベント期間が終わってみれば9千ドルの赤字だったと明かしている。ナイトマーケット開始から2週間ほどはかなりにぎわったものの、それ以降は客足がぱったりと途絶え、数少ない来場客もイルミネーションの展示を携帯で撮影するだけで帰ってしまうありさまだったと、当時の様子を語っている。

 一方、ブリッジポート駅そばのリッチモンド・ナイト・マーケットは健在で、今年も5月11日から10月8日まで開催される。ナイトマーケットのマスト食品ともいえるハリケーンポテトのほか、ドイツ風豚足、新疆ウイグル自治区名物の串焼きラム肉などさまざまな料理が楽しめる。オープン当初の夕方は、リッチモンド市に入る高速出口にまで続く大渋滞が起こるため、スカイトレインを利用することが望ましい。

 

 

2018年3月22日 第12号

 ブリティッシュ・コロンビア州の次期副総督に、メトロバンクーバーYWCAのCEOジャネット・オースティン氏が就任することが20日明らかになった。ジャスティン・トルドー首相事務所が発表した。

 トルドー首相は「オースティン氏の活動は多くのカナディアンを助けてきた。彼女はこれからもBC州と州民のために最善を尽くしてくれると信じている」と声明を発表した。

 オースティン氏はこれまでに、トランスリンク理事、グレーターバンクーバー商工会議所理事をはじめ、ビッグシスターやBCハウジングなどで役職についてきた経歴を持つ。またBC勲章も受賞している。

 CBCラジオに出演したオースティン氏は、「非常に光栄なこと」と述べ、これまでYWCAで行ってきたことを違った立場で継続できることを楽しみにしていると語った。

 現在のジュディス・ギチョン副総督は2012年11月2日に就任。すでに任期の5年を過ぎている。昨年のBC州選挙では、過半数を獲得できなかった自由党に変わり、新民主党(NDP)にグリーン党との協力の下での政権交代を後押しした。

 オースティン氏は近々就任するとみられている。この日はジュリー・パイエッテ総督がBC州入りした。

 

 

2018年3月22日 第12号

 韓国で9日に開幕した冬季パラリンピック大会は18日に閉幕した。カナダは史上最多55選手を派遣。バンクーバー大会の19メダル以上を目標に10日間を戦った。

 結果は今大会メダル獲得数最多アメリカに次ぐ2番目の28メダル。若手とベテラン選手の活躍がカナダの飛躍につながった。

 記録的な活躍も目立った。今大会一人で6メダルを獲得したのはプリンスエドワード島出身マーク・アレンデス選手。クロスカントリースキー、バイアスロンに出場し、金1、銀2、銅3と出場した全種目でメダルを獲得した。これはカナダ史上初。閉会式では旗手も務めた。

 開会式で旗手を務めたブライアン・マッキーバー選手は金3、銅1を獲得。これでパラリンピックでのメダル獲得数は17、そのうち金13とカナダパラリンピック史上最多メダル獲得選手となった。アルバータ州キャンモア出身の38歳。バンクーバー大会では、オリンピック、パラリンピックの両大会に出場した経験も持つ。視覚障害でのクロスカントリースキーに出場。冬季パラリンピック3大会連続3種目金メダルという快挙を成し遂げた。

 突出した記録を打ち立てたクロスカントリースキー選手たちだが、カナダのメダル28のうち16はノルディックスキー競技。今大会カナダはスキーで圧倒的な強さを見せた。その一方でスノーボードではメダルが獲得できなかった。

 団体競技では、期待のかかったパラホッケーで銀メダルを獲得した。決勝はアメリカと対戦。カナダは2006年トリノ大会以来の決勝進出となった。試合はカナダが1‐0のまま第3ピリオドも終盤、残り1分を切ったところでアメリカの空のゴールにカナダがシュートを放ち2‐0としてほぼ金メダルを手中にするところだった。しかし、これが外れ、そのパックをそのままアメリカがゴールして同点。試合終了まであと37秒だった。延長戦に入りアメリカがゴールを決めて逆転優勝。カナダはトリノ以来の金メダルとはならなかった。

 もう一つの団体戦チェアカーリングでも、4大会連続金メダルを目指していたカナダは準決勝で中国に敗れた。ソチ大会に続いて準決勝での対決となった両チームの対戦は、今回は中国に軍配が上がった。カナダは3位決定戦に進み韓国と対戦。5‐3で勝利し、銅メダルを獲得した。

 今大会カナダは金8、銀4、銅16の成績を残した。

 

 

2018年3月22日 第12号

 オンタリオ州自由党政権は20日、65歳以上の処方薬無料化を提案した。キャサリーン・ウィン州首相は、約4400種類の処方薬を2019年8月1日から無料にすると語った。コレステロール、高血圧、糖尿病、ぜんそくの薬も含まれる。

 無料化に伴う費用は年間5億7500万ドルと試算。自由党政権によるとこれにより平均で年間一人約240ドルの処方薬代が軽減されるという。

 自由党政権は今年度80億ドルの赤字予算となる。来年度以降も黒字転換する兆しはない。しかしウィン州首相はオンタリオ州で経済的に苦しんでいる州民を助けるためには必要な歳出と語った。自由党は昨年すでに24歳以下の処方薬の無料化を実現する保険制度を設定している。

 こうした大盤振る舞いの背景には、今年6月に実施されるオンタリオ州選挙がある。16年間続いてきた自由党政権への批判は厳しく、苦しい選挙戦が予想されている。さらに最近の世論調査では、自由党は支持率で野党進歩保守党(PC)にリードされているという結果が出ている。

 野党PCは紆余曲折を経ながらも今月10日、新党首にダグ・フォード氏を選出した。税金を州民に還元することを公言しているフォード党首は、トロント市議時代に当時市長だった弟ロブ・フォード前市長と節税に成功した実績を訴えて、オンタリオ州選挙も戦う姿勢を示している。

 世論調査会社メインストリートが20日に発表した結果によると、PCの支持率は47パーセントでトップ、次いで自由党が26・2パーセントと大きく引き離されている。さらにアンドレア・ホーワス党首率いる新民主党(NDP)の18・6パーセントにも追いつかれそうな勢い。ちなみにグリーン党は6・ 4パーセント。

 トロントの都市部ほど自由党の支持率が高いが、それでもPCを下回っている状況。これを選挙までに逆転するために、大盤振る舞いが続いているとみられている。

 

 

2018年3月22日 第12号

 トロント動物園で飼育されていたパンダ4頭が5年の契約期間を終え、カルガリー動物園に引越しをする。18日はトロントでの最後のお披露目となり、来場者たちが別れを惜しんだ。

 2頭のパンダ、ダオ・マオとアル・シャンが中国からトロントにやって来たのは2013年。保守党スティーブン・ハーパー政権時代の、俗に言われる中国の「パンダ外交」であり、国際的な繁殖プログラムによるジャイアントパンダ保護計画の一環でもあった。

 その後、繁殖に成功したトロントで双子のパンダが2015年に誕生。ジア・パンパン、ジア・ユエユエと名付けられ、大人気となった。自由党ジャスティン・トルドー首相も訪れている。

 パンダは中国からの10年リース契約で、4頭は残りの5年をカルガリーで過ごす。カルガリー動物園では今年5月7日から一般公開する予定としている。

 

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。