2018年5月3日 第18号

 ブリティッシュ・コロンビア州のドライバーが、事故を起こしたスーパーカーの修理に関し、州政府系自動車保険会社のICBCを訴えている。

 ドライバーは2012年9月9日、フェラーリの1990年製スーパーカー、F40を運転中に誤って電柱に激突、車を大破させた。同モデルは発売開始から30年以上経っているが、今でも中古車市場で新車価格の2倍以上で取引きされている人気スーパーカー。

 ドライバーによると、ICBCは保険でカバーされるべき事故対応と修理を速やかに行わなかっただけではなく、一時は必要な修理を拒否するなど不誠実な対応を取り、ドライバーに様々な不利益を与えた。この件は現在、BC州最高裁判所で審理されている。

 ICBCはその後、精査の結果、保険の適用範囲と修理費用の大部分を負担することに同意した。しかしその一方、支払った費用が車の評価額ー69万6061ドルを上回ったとしている。

 この訴訟に加わった民間保険会社ザ・インシュアランス・コープによると、現在までの修理費用は78万9375ドルになったが、それでも修理は完了せず、最終的には98万2千ドルほどになるだろうと見積もっている。

 この訴訟を、カナダ納税者連盟BC州支部のディレクター、クリス・シムズさんは、典型的な政府系保険会社の弊害の現れだと指摘、自動車保険は民間に委ねるべきだと主張する。

 「90万ドルが必要とされる修理に、政府系保険会社による独占体制は対応できない。民間保険会社であれば、他社との競争原理が働いており事故・修理から法廷対応までを速やかにこなせる体制を持っている」とシムズさん。

 また、一般州民の税金が特定の車の修理や法廷経費に回されることがあってはならないが、不幸なことに、この州では選択肢がないと取材に語っていた。

 

2018年5月3日 第18号

 ブリティッシュ・コロンビア州疾病対策センターは4月27日、ノロウイルスに感染している可能性があるとして、州内の4つのカキ養殖場を閉鎖した。

 同州では4月26日までに、132件のノロウイルスによる食中毒が報告されている。感染元を調査していた疾病対策センターは、食中毒を起こした人の多くがバンクーバー島中部東海岸の町コモックスの南のベインズ・サウンド近海で養殖されたカキを食べていたことを突き止めた。ここの養殖場のカキが、どのようにして汚染されたかは現在調査が進められている。

 同州でカキが原因とみられる食中毒について警告が発せられたのは2017年1月で、急性胃腸炎が10件以上報告されたことがきっかけだった。また同年2月には、事態の重大性により調査が州政府から連邦政府へと移管されていた。

 

2018年4月26日 第17号

 バンクーバー市は4月22日、過去に中国系移民に対して差別的な法や政策をとっていたことについて、公式に謝罪した。

 会場となった中国文化センターには約500人が詰めかけ、屋外の巨大スクリーンでもグレゴール・ロバートソン市長が謝罪する様子が映し出された。

 市長は「バンクーバーの中国系コミュニティ及び全ての中国系カナダ人にバンクーバー市が制定した差別的条例や政策を今日ここで正式に謝罪する」と英語で謝罪文を読み上げた。広東語でも読み上げられた。市長は今日がバンクーバー市議会にとってバンクーバー市民にとって歴史的過ちを正し、町が一つとなる重要な日となったと語った。

 バンクーバー市は1886年から1949年までの中国系移民に対する市の条例や政策について謝罪した。バンクーバー市は中国系カナダ人の選挙参加、行政職への就職の禁止のほか、連邦政府への人頭税への働きかけやプールや墓地などの公的施設での隔離、教育機関の選択制限など、さまざまな差別的政策を行っていた。

 この日会場に詰めかけた差別を受けた経験を持つ中国系移民は、謝罪を概ね好意的に捉えていた。

 BC州政府ジョン・ホーガン州首相はバンクーバー市と共に中国系コミュニティが受けた歴史的差別の苦しみをもう一度認識し、こうしたことが二度と起きないよう努力する必要があると声明を発表した。

 中国移民への市としての謝罪はニューウエストミンスター市が2010年に公式に謝罪したのがブリティッシュ・コロンビア(BC)州では最初。BC州政府は2014年の自由党政権時代にクリスティ・クラーク州首相が160以上の差別的な条例や政策について謝罪している。

 連邦政府は2006年保守党スティーブン・ハーパー時代に、人頭税の導入を公式に謝罪した。

 日系人に対する謝罪については、1988年に連邦政府が、2012年にBC州政府が、そして2013年にバンクーバー市が行っている。今年は日系リドレス運動から30周年の節目となる。

 

 

2018年4月26日 第17号

 カナダ最高裁は19日、各州政府は独自の決定権を持つとの判断を下した。これは最高裁が州間の自由貿易を理由があれば州政府が妨げてもよいという判断を下したことになる。

 今回の発端は、2012年10月ニューブランズウィック州の男性ジェラルド・コモーさんが隣州ケベック州のリカーストアでビールや蒸留酒を大量に購入し、ニューブランズウィック州に持ち帰ろうとしていたところを、州境で見つかり罰金を科せられたところから始まる。

 カナダには州間でアルコールを個人が自由に購入できない仕組みがある。理由はアルコール売買による利益が減少すれば州への歳入が減るためで、州政府は州内で酒類を購入してもらいたいという思惑があり、州をまたいでアルコールを大量に購入することを基本的に禁止している。

 これについては、国民や酒蔵企業から批判の声が上がっている。海外との自由貿易は推奨しているカナダが、州間でアルコールを売買できないのはおかしいのではないかと言う。

 毎年開催される全国州首相会議で常にこの問題が議題に上がるものの、州の特権を手放したくない全ての州政府の思惑が合致してなかなか解決を見ないのが現状。国民は自由に売買できることを望んでいる。

 今回の件は連邦警察が、たまたまコモーさんが大量にアルコール類を車に積み込んでいるところを見つけ罰金を科したが、多くの市民が同様のことを行っているという。それでも州間でのアルコール自由売買が実現する日は、まだ先のようだ。

 

 

2018年4月26日 第17号

 キンダーモーガン社のトランスマウンテン・パイプライン拡張計画を巡り、反対しているブリティッシュ・コロンビア(BC)州と推進する連邦自由党政権、アルバータ州政府の抗争が続く中、20日にはBC州のビジネス400社が反対の署名をBC州政府ジョン・ホーガン州首相に提出した。

 テクノロジー、グリーンテクノロジー、旅行業を中心とする産業界からの反対で、パイプラインが建設されれば、クリーンで美しい環境をビジネスの基盤としている産業に大きな打撃になると訴える。

 クリーンテクノロジーは、BC州のクリーンエネルギーとクリーンなイメージが投資を呼び込む条件であり、BC州の旅行業は美しい自然と都市の融合という環境に支えられている。オイル産業はこうしたイメージを壊すことになり、事故でも起こればビジネスにとって大きな打撃となると訴える。

 署名では、石油産業がこれまでカナダの経済を支えてきたことはまちがいないが、これからのBC経済はクリーンテクノロジーや旅行業を中心に発展していく必要があると語り、パイプラインが建設されてしまえば、カナダはまた天然資源産業に頼る経済をこれから何十年も続けることになると訴えた。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。