2020年1月23日 第4号

 ジャスティン・トルドー首相は17日にオタワで記者会見し、カナダ政府はウクライナ機墜落事故の犠牲者一人につき2万5千ドルを支援すると発表した。

 対象となるのはカナダ国籍を有する57人と永住権保有者29人。トルドー首相は、犠牲者の家族らにとって「葬儀の手配や渡航費など早急に必要な資金を支援するため」と説明した。

 金額については、犠牲者の家族と話し合いを持った政府の事故支援グループが決定したという。支援総額は210万ドルとなる。

 トルドー首相は、カナダ政府の支援はイラン政府からの補償金を肩代わりするものではないと語り、「犠牲者の家族にはすぐにでも支援が必要であり、政府としてはできるだけ早くに渡したいと思っている」と語った。

 それ以外にも、現地への渡航に必要なビザ関連について専用の問い合わせ先を設けたり、渡航ビザ発行に必要な費用を無料にしたり、精神的なケアを援助する対策などの措置をすでに発表している。

 今月8日にウクライナのキエフに向かってイランのテヘランを飛び立ったウクライナ国際航空752便は、離陸直後に撃墜された。原因はのちにイランのミサイル誤射によるものと判明、イラン政府もそれを認めた。搭乗していた乗客乗員176人全員が死亡、57人がカナダ国籍で、他にイラン、イギリス、スウェーデン、アフガニスタン、ウクライナ国籍者が犠牲となっている。搭乗者のうち138人の行き先はカナダだったと伝えられている。

 カナダ政府によるとカナダ人犠牲者のうち、約30人の遺体はイランで埋葬されたという。17日に全国ネットワークCTVの政治番組に出演した自由党オマー・アルガブラ議員は、カナダ国籍と永住権保有者のうち約30人がイランで埋葬され、2人の遺体は早ければ週末にもカナダに送還される予定と語った。

 トルドー首相は、墜落事故に関してイランが全責任を負うべきとし、犠牲者の家族に対する補償はイランが負うべきと主張した。

 20日付のロイターによると、イラン政府はカナダに対して墜落事故で犠牲になった二重国籍者はイラン国籍とみなすと伝えたと語っているという。イランの法律によると二重国籍の犠牲者はイラン国籍者であり、イランの法律によって犠牲者とその家族に対応すると語っていると伝えている。

 

2020年1月23日 第4号

 新しくなる橋のデザイン候補が20日発表された。現在ダウンタウンから南側にかかる3つの橋を順次補強し改築しているブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市。最後に残ったのは、メインとなるグランビル・ブリッジで、片側3車線の巨大な橋は、西側に自転車・歩行者専用レーンを設ける、車にも人にも優しい橋へとデザイン変更されるようだ。

 バンクーバー市は昨年9月、新しくするための橋のデザイン6案を用意して、市民の意見を募った。約8千件の意見が寄せられ、決まったのが今回提案されたデザイン。東側の歩行者専用レーンを残しながら、西側に大きく専用レーンを取る案が選ばれた。

 他にも東側に大きく自転車・歩行者専用レーンを取るデザインもあったが、西側が選ばれた理由に、バラード・ブリッジを臨む先に見える風景の良さがあったのではないかと担当者は推測している。

 この日は最終案の発表とともに、このデザインへの意見を募るための市民との意見交換会の日程も発表。1月24日、25日、28日に開催。会場や時間などの詳細はバンクーバー市ホームページで紹介されている。意見はオンラインからも投稿可能。24日から2月10日まで受け付けている。

 グランビル・ブリッジは1954年に開通、当時は歩行者や自転車の通行を想定して建設されていなかった。その理由の一つは、ダウンタウンを通るハイウェイの一部となることを想定して建設されたためで、結局ハイウェイがダウンタウンを通ることはなく、橋だけがハイウェイ仕様のまま利用されることになったという。

 すでに65年が経過した橋は常に補修が必要で、危険性も指摘されていることから、橋の全面改修工事に伴いデザインも新しくすることになった。自転車・歩行者専用レーンを大きくとり、徒歩や自転車での通勤を促す環境に配慮した狙いもあり、ミレニアム仕様の橋に生まれ変わるようだ。

 市議会で最終デザインが承認されれば、早ければ2021年から工事が始まり、2022年には完成する予定となっている。

 

2020年1月23日 第4号

 カナダ東海岸ニューファンドランド&ラブラドール州が17日から猛吹雪に見舞われた。特にニューファンドランドの東側地域では大雪となった。

 カナダ環境省によると、州都セントジョーンズでは17日に1日で76.2センチメートル積もり、1日の積雪量としては1999年4月5日に記録した68.4センチメートルの記録を塗り替えたという。その他の地域でも80センチメートルを超えるところもあったと伝えている。

 さらに暴風にも見舞われた。17日の最大瞬間風速はセントジョーンズ空港で時速120から157キロメートルを記録。州都をはじめ、多くの都市で17日の正午近くに非常事態宣言が出された。18日には青空がのぞく時もあったが、非常事態宣言は4日間続いた。

 同州ドウェイト・ボール州首相は18日、連邦政府に救援を要請。同州選出のシームス・オリガン天然資源相が対応し、19日にはハルジット・サージャン国防相がカナダ軍から150人から200人をこの日のうちに派遣すると発表、最大で300人態勢で援助すると語った。

 こうした非常事態宣言の中にあっても、ニューファンドランドの人々の機知に富む状況を楽しむ精神は健在だったようだ。

 大雪の中でスノーボードを楽しむ若者や、即席の犬ぞりで子どもを迎えに行く様子など、大雪を楽しんでいる市民たちの姿がツイッターなどのSNSに多く投稿されていた。

 

2020年1月23日 第4号

 冬でも温暖な気候のブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバーを襲った予想外の大雪で被害を受けたのは、市民だけではなかったようだ。

 BCワイルドライフ・レスキュー・アソシエーションによると、街が大雪に見舞われた間、市民からハチドリを助けるための問い合わせが急増したという。

 ソーシャルメディアには、雪におおわれた庭に設置したエサ箱に来るハチドリを写した写真や映像が多く投稿され、中には固まって地上に落ちている写真もあった。

 アソシエーションには、ハチドリを助ける方法を質問する電話が多くかかってきたという。ハチドリは代謝が高く常にエサを必要とする鳥なため、冬にハチドリにエサを与える場合は砂糖水が適しているとアドバイスを送っている。砂糖水は気温が下がっても凍ることがなく、カロリーも高いためだという。

 ハチドリはバンクーバーで愛されている鳥で愛好者も多い。2017年にはバンクーバー市が市民からの投票による結果で、アンナハチドリを市の鳥と決定した。頭部が濃いピンク色をしているのが特徴で、バンクーバーの庭先や自然の中でよく見かける人気の鳥だ。

 バンクーバーでは、この先しばらくは気温が高く雪にはならない予報だが、次に大雪が来た時には、ハチドリのお腹を満たすには砂糖水と覚えておくと良さそうだ。

 

2020年1月23日 第4号

 マレーシアが、不法に送られてきたプラスチックゴミが詰まったコンテナ110個を送り主に今年中に返還すると20日に発表したことが分かった。

 マレーシアは昨年の第3四半期からすでにコンテナ150個を返還しているという。変換先は主に先進国で、カナダには11個が返還されている。

 さらに今年には15個がカナダに返ってくるという。その他の国ではアメリカに60個、日本に14個、イギリスに9個など、先進国が主な返還先となっている。

 不法なプラスチックゴミが途上国に送られていたことが分かったきっかけは、昨年4月にカナダが2013年、14年にフィリピンに送ったリサイクル用のプラスチックゴミに一般家庭用ゴミが混じっていることが分かり、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領がカナダに引き取りを迫ったことだった。結局カナダは返還費用を払ってゴミを引き取り、バンクーバーで焼却した。この後すぐにマレーシアも先進国に同様のゴミを返還すると発表した。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。