2017年11月23日 第47号

 アルバータ州からアメリカ・テキサス州までのキーストーンXLパイプライン建設計画で、注目されていたネブラスカ州公共サービス委員会が代替ルート案での建設承認を20日、決定した。

 トランスカナダ社が事業を手掛ける同建設計画は、バラク・オバマ大統領が2015年11月に、環境問題を理由に中止を決定。しかしドナルド・トランプ大統領に代わり、パイプライン建設が承認された。

 今回は、パイプラインが通るルートの中で承認されていなかったネブラスカ州の部分について同州が判断を下した。ただ、当初計画されていたルートとは別のルートでの建設承認となった。

 今回の決定を受け、アルバータ州レイチェル・ノッテリー州首相は、「非常に喜んでいる」と同日の記者会見で語った。

 アルバータ州で生産されるオイルサンドのほとんどはアメリカに輸出されている。ノッテリー州首相は今回の承認は「いいニュース」としながらも、アメリカ以外の市場にも輸出を広げる必要があると語った。 カナダ自由党政権は、昨年11月にアルバータから延びるオイルサンドを運ぶためのパイプライン事業4計画のうち、3計画を承認。その一つがキーストーンXLパイプラインだった。そのためアメリカのハードルさえクリアできれば、カナダ側では問題はなかった。

 ただノッテリー州首相はカナダのオイルサンド産業は、アルバータ州内だけでなくカナダ全体の経済にも好影響を与える、アメリカだけでなくアジア・太平洋への輸出も拡大する必要があり、そのためにはアルバータ州からブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市までのトランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画を実行しなければならない、とこの日の記者会見で語った。

 キンダーモーガン社が手掛けるトランスマウンテン計画はカナダ政府が承認した計画の一つだが、BC州では反対が強い。環境活動家や先住民族だけでなくバーナビー市や住民、さらには今年7月に政権交代で誕生した新民主党(NDP)政権も反対している。

 ノッテリー州首相は、この日はトロントのエンパイア・クラブで講演。世界の各界から集まる影響力のある人々を前にトランスマウンテン計画の重要性を訴えた。

 

 

2017年11月23日 第47号

 カナダ政府が来年7月にマリファナ使用を合法化するために準備に追われる各州政府で、16日にはケベック州とアルバータ州が、その概要を明らかにした。

 ケベック州政府は来年7月1日から同州でマリファナを合法的に販売する店舗数を州政府が管轄する15店舗とし、2年以内に最大で150店舗まで増やすとしている。個人が自宅で栽培することを許可する予定で、この件については連邦政府と足並みを揃える。マリファナの使用については、連邦政府同様18歳以上、喫煙場所はタバコとほぼ同様で、個人所有地、もしくは公共の限られた場所での使用が可能、ただし学校や大学構内では禁止する。また運転中の使用については禁止し、厳しく取り締まる方針を明らかにしている。これらの内容を含めた法案が同日に議会に提出された。

 アルバータ州では、同州でのアルコール販売をモデルにした内容となった。マリファナを扱うのは、同州のゲーミング・リカー・コミッション(AGLC)で、店舗とオンラインでの販売を管轄する。販売店舗については、タバコやアルコールが販売されている場所での販売を行わない。使用年齢は連邦政府同様18歳以上。喫煙場所はタバコと同様で、タバコの喫煙が禁止されている場所でのマリファナ喫煙も禁止とする。その中にはレストランやバーも含まれる。さらに学校や病院敷地内、子供が多く出入りする遊び場やスポーツ施設などの場所でも禁止する。同州はこの日、これらを含めた法案を議会に提出した。

 

 

2017年11月23日 第47号

 カナダ統計局は21日、マリファナの経済効果を測るためのデータ収集を開始すると発表した。

 連邦政府が来年7月1日からマリファナ使用を合法化するのに合わせ、合法化前からデータ収集を開始。マリファナの使用・生産が違法な段階からデータを収集し、合法化された後にどれくらいの経済効果があるかの統計を取る。

 現在、国内のマリファナはブラックマーケットで70億ドルから100億ドルの価値があると試算されている。

 統計の中には経済効果だけでなく、使用量や一世帯がマリファナ購入にどれくらいの金額を費やしたか、などのデータも収集するとしている。

 同局によると、実際には違法マリファナで発生した収益などはすでにカナダの国内総生産のデータに組み込まれているという。こうしたことは特に珍しいことではなく、ヨーロッパの国々でも行われていると語っている。

 

 

2017年11月23日 第47号

 ブリティッシュ・コロンビア州の男性が、自転車で坂道を駆け上がるヒルクライムを1年間続け、18日にはその累計登坂標高差が100万フィート(約305キロメートル)に達した。これはエベレスト山の標高の約33倍、富士山ならば約81倍の高さになる。

 この男性は、ノースバンクーバーにある入江の町ディープコーブに住むトラビス・シュトレーブさん。彼はこの1年間、町の裏側にあるシーモア山の頂上に通じる登山道路を自宅から毎日、自転車で駆け上っていた。その標高差は約1000メートル。

 ファシリテーター兼エグゼクティブコーチとして忙しい日々を過ごすシュトレーブさんにとって、この日課をこなすのは容易なことではなかった。どうしても都合がつかなかった日には、仕事に出かける前に半分を、そして残り半分を仕事の後に行ったこともある。また1日1回という帳尻を合わせるため、1日に10回登坂したこともあったという。登りそこなった日があると、次の日からは「なんとか今週中にこの遅れを取り戻さなければ」というプレッシャーにさいなまれたという。

 ここまでシュトレーブさんが目標にこだわったのは、すい臓がん研究への寄付金集めのため。すい臓がんは生存率が約6パーセントと低く、その体験談を語れる人や研究のための寄付金集めをする機会が少ない。

 ところが、シュトレーブさんの属するサイクリングクラブの創設者の義理の母親がすい臓がんで亡くなったことから、クラブはこのがんの研究のための寄付集めを行うことにした。その結果、これまでに集まった額は250万ドルに達しているという。今回のシュトレーブさんの活動にも、すでに1万ドル以上が寄せられている。

 「たとえ困難が立ちはだかっていても、得られるものはある。今回の挑戦もそうだし、すい臓がんについても、同じだと信じている」と語るシュトレーブさん。ヒルクライム100万フィートの目標は達成したものの、さらに多くの人にすい臓がんのことを知ってもらおうと、今年いっぱいはヒルクライムを続けるつもりだ。

 

 

2017年11月23日 第47号

 アルバータ州バンフ国立公園内にある、カナディアン・ロッキーマウンテン・リゾート・グループは、同社の経営するバッファローマウンテン・ロッジの築何十年にもなる従業員宿舎を取り壊し、ユニークな宿舎に交換することにした。

 その宿舎とは、宿泊用に改造された貨物コンテナ。改造のための資材は最大で90パーセントがリサイクル材となるほか、外装には木材を使用するため、見た目には貨物コンテナだとはわからないという。

 全部で22本の貨物コンテナが改造され、従業員76人の宿舎となる。同ホテルグループの開発担当マネージャー、ラーキン・オコーナーさんは取材に対し「住宅不足が続くバンフには最適の解決策」だと語っている。

 また、このコンテナ宿舎を手掛けたのは、同州カルガリーに本社を置く、貨物コンテナを事業用や住宅用ユニットに改造する企業ラダコー・アドバンスト・モジュラー・システムズ社。社長のダレル・ニムチャックさんによると、カナダはアジア諸国との貿易において輸入超過であり、太平洋を行き来する貨物コンテナは必然的に北米側に滞留しがちになる。この使われていない貨物コンテナを有効活用し、様々な事業や居住スペースのニーズにリーズナブルな解決策を提供するのが同社のミッションだと語っている。

 

 

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