主宰・大河内南穂子さんと会員有志に聞く

「コスモス・セミナーから学んだもの」

 

生涯学習の集いとして2000年7月に発足したコスモス・セミナーが15周年の祝賀行事を終了。

主宰の大河内南穂子さんと、役員・会員の皆さんにコスモス・セミナーの魅力を語ってもらった。

 

 

2013 年に開催したコスモス・セミナーとJWBA(日系女性起業家協会)の特別講座。 「九州からの女性ゲストを招いてのパネルディスカッション。各々、輝く女性の登場でした」(左端が大河内南穂子さん)(撮影・斉藤光一)

  

ほっとするひととき

 1970年、当時1歳だった長女を連れて一家で東京からカナダに移り住んだ。まだ日本人が少なかった時代、サレー市内に点在する日本人家族を探して声をかけ、サレー日本語学校を設立したのが大河内南穂子さんだった。同じころ女性の集まり『すみれ会』を立ち上げ、日本人同士の交流や情報交換の機会を提供した。

 「国際結婚なさっている方も多いですから、茶菓タイムは和みがあり、お友達もできてほっとするとみなさまから喜ばれました」。

 現在、コスモス・セミナーの会員の中でも同じような声が聞かれる。

 「ここではみんな外国人なので、コスモス・セミナーでできた友人との絆はとても深く、私にとってなくてはならない存在です」と、エクルストンきこさん。

 「親戚のおばさん、いとこのお姉さんがたくさんいるようで心強いです。母に聞きたいようなことや教育情報が得られ、日本的なマナーを再認識できることも大切ですね」と今井ゆう子さん。

 会員になって2年めの荒巻典子さんは「ボランティアを通じて知り合った方々との交流も楽しく、自分磨きとしてもっと活動に参加していきたいと思っております」と話す。

人に会って視野を広げる

 人前で話すとドキドキするという人が多い中、人に会うと考えただけでときめいて、ワクワクするという大河内さん。「人と接するとイキイキします。人との出会いは将来的な投資になりますよ」と、アナウンサー出身の切れの良い口調で話す。

 デトレフセン悦子さんは、働く職場だけでなく別の世界の人に会って視野を広げたいと思っていた矢先、生涯教育を目指すコスモス・セミナーと出会った。

 石内宣代さんは11年前に入会。「よくぞ毎回このような素晴らしい講師を見つけてくださるものだというのが、まず驚きでした。コスモスにいなかったら、お目にかかれなかったであろう大勢の方々にお会いすることができました。私の世界が何倍にも広がったのです」。

情報をうまく活用して

 現在コスモス・セミナーには、毎回60人から90人が出席。今期から男性会員も受け入れるようになった。

 日本への帰国者で構成するコスモス・ジャパンは東京、関西、福岡にグループを置き、大河内さんの訪日に合わせて勉強会や親睦会を開催している。

 「毎回の講演は、ジャンルを問わないところが魅力です。ただ講演を聴いて終わりではなくて、そこから発信された情報をうまく活用したり勉強したりすることが、コスモス・セミナーが目指すところの『生涯学習』だと思うので、心がけたいと思っています」と高橋裕子さん。

 

15周年記念古賀義章氏による特別講演後、役員、関係者のみなさんと (写真提供・古賀祥子さん)

 

各役割をてきぱきと

 コスモス・セミナーに参加すると、役員たちが各役割を敏速にこなしていることに気づく。「ボランティアをさせていただくことにより、チームワーク、思いやり、おもてなしなどを自然と学ばせていただいております」とデトレフセンさん。

 会員有志で結成されたコスモス・ボランティアグループは、日系合同新年会でテーブル飾りの用意、桜祭りで着付け、日系祭りで案内係などに『お持て成し』の精神を持って参加。日系プレース基金より『特別功労賞』を受賞した際、大河内さんは「わたくしひとりではやってこられなかったことです。個人的にはいろいろな出会いがあり、成長させてもらったことへのお返しとして、コスモス・ボランティアグループとしてお受けしたいです」と申し出た。

 15周年の記念行事について石内さんは「言われたことだけでなく、みなさんが自らアイディアを出してテキパキと積極的に準備を進めてくれました。15年の歴史は伊達ではないと感じた次第です」と感想を述べた。

つないでいくということ

 「リーダーとしては聞く耳を持つこと、みなさんの前で褒めてあげることも必要ですね。ポジティブに改革して前に進み、つなぎ役として若い人たちにバトンタッチしていくことが大切ではないでしょうか」と後任の育成にも力を入れてきた。

 江戸っ子気質で面倒見のいい大河内さんについて、許澄子さんは「私が仕事上欲しい情報があると、新聞の切抜きや雑誌などを送ってくださった親切心は、女性の仕事を真剣に応援する大河内さんの姿でした。感謝です」と話す。

パワーの秘訣

 日頃からアンテナを高く張り、セミナーの企画、講師への交渉を担当する大河内さんにとって、いちばんの励みはコスモス・セミナーに参加した会員の満足した笑顔だという。「何よりも会員のみなさん、役員のサポートがなかったら続けてこられなかったでしょう」

 元気の秘訣はエクササイズ。スティーブストンの自宅からゲリー・ポイントまで歩き、亡き夫が残した桜の樹に触れて話しかけるのも大切な日課だ。音楽に合わせて体を動かすダンササイズも「飛んだり跳ねたりが好きなわたくしには、ぴったりのエクササイズです。忙しかったあとの自分へのご褒美は大好きな映画を観ること。1日に2本続けて観たりしますのよ。もちろん入場券は2回買いますよ」と、そのパワーは止まるところを知らない。

 来期からコスモス・セミナーは年に5回(9・11・2・4・6月)開催。詳しくは www.cosmos-seminar.com を参照。

 

大河内南穂子さん。「月に1度、水彩の会で絵を習っています。いつも慌しく過ごしているので暫しの間、ゆっくりとした時の流れを愉しんでおります」とキツラノの長井東美先生宅にて(写真提供・村田眞一郎さん)

 

大河内南穂子(おおこうち・なおこ)

1954年、 松竹映画『二十四の瞳』に4000人あまりの中から選ばれ“小ツル”役で出演。映画は多くの賞を受賞。1970年、東京からバンクーバーへ家族で移り住む。サレー日本語学校、すみれ会、企友会の設立に尽力。日系プレース建設募金共同委員長を経て日系センターの理事を務めた。 日本語テレビで13年間司会を担当、『日加タイムス』のバンクーバー支局長 を経て、州立サイモン・フレーザー大学異文化言語コミュニケーションセンターの日本部専任講師を10年間務める。1996年、四国新聞社よりエッセイ『瞳からの旅立ち』を上梓し、日本図書館協会の選定図書となる。2000年から生涯学習の集い『コスモス・セミナー』を主宰。『南穂子塾』でコーチング、話し方やマナーを指導ほか、日本での講演も多数。

ホームページ:www.naokocanada.com

 

(取材 ルイーズ阿久沢)

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