小林、キャップスデビュー戦でアシスト

前半、小林がドリブルで上がっていくと、ファンからひときわ大きな歓声が上がった。開幕前から注目されていただけに、バンクーバーデビュー戦を歓迎する歓声だったのだろう。
期待通り、コーナーキックや、ネット前でのミラーへのパスなど、シュートに絡む場面でその存在感を見せつけた。
そして59分には、キャップス先制点をうまくアシスト。中央右寄りにいたイ・ヨンピョから横パスを受け取ると、イと小林の真ん中を突き抜けるように中央を上がってきたコフィにこれ以上ない完璧なパス。コフィはそのボールをゴール右隅に突き刺さした。
「YP(イ・ヨンピョ)からのパスがあそこに落とせよというパスだったので、自然にあそこだったんですけどね」と小林。自分でも十分シュートが狙える位置からのパスをそう振り返った。チーム全体が今季初戦ということでちょっと硬かった感じがしたという。自身のプレーを振り返って、「感触的には全然何もできなかったというのが正直ですけどね。やっぱ、助っ人と言う立場で来てるので、もっと仕事しないとダメかなと」と反省の言葉を口にしたが、会場にいたファンには彼の魅力は十分に伝わっているはずだ。
レニー監督は、「小林からのハイレベルな完璧なパスが出て、コフィが素晴らしいフィニッシュをした」と得点を振り返った。

ディビッドソンも先発出場で本領発揮

もう一人の日本人選手ディビッドソンもこの日先発に名を連ねた。昨季終盤はベンチを温めることが多かったが、今季開幕戦は定位置で相手の攻撃を封じたり、試合を作るなど、守備的MFとして本領を発揮した。
日本人2人が先発出場したこの試合でお互いのプレーを評価。小林は「貫録あるって言うか、マーカス(ディビッドソン)の顔見たら安心したというか。マーカスのポジションは存在感とか、チームに安心感を与えるのが大事なので。プレーも落ち着いていたし、よかったと思います」と褒めちぎった。ディビッドソンは小林の初試合初アシストに「当然です。朝飯前でしょ」と笑った。

まずは開幕戦白星で勝ち点3

「今季初試合で初勝利を挙げられてよかった」とレニー監督は開口一番笑顔で語った。前半はナーバスになっていたが、後半にシステムを変更してから「チャンスも作れたし、プレッシャーもかけられたし、ボール支配も良かったし、相手にチャンスを与えずに1-0で勝つことができた」と振り返り、重要な試合で無失点だったし、いいスタートが切れて、ファンも喜んでくれただろうと語った。
ディビッドソンは「前半はちょっと去年の悪い時のような戦い方をしたんですけど、後半はナイジェル(MFレオ‐コッカー)が入ってきて、うまくボールキープできた時間帯もあった」と試合を振り返り、「やっぱり開幕戦は内容も大事ですけど、スタートダッシュ切れたし、勝ち点3を取れたのがうれしいです」と語った。小林も「今日は開幕ホームなんで、勝つことが何よりも大事だと思うんで、良かったです」と開幕白星を喜んだ。

小林、ディビッドソン両選手に聞く「お互いの存在について」

開幕戦の2日前、メディアへの一般公開が行われ、各選手がインタビューに応じた。土砂降りの雨の中で行われた練習後にもかかわらず、小林大悟、純・マーカス・ディビッドソン両選手とも快くインタビューに応じてくれた。
2人はJリーグ大宮アルディージャ在籍時代に1年間チームメートとしてプレーしている。すでに気心知れた仲の2人にとって、チーム内でのお互いの存在は心強いようだ。
バンクーバーを選んだきっかけはと聞くと「純・マーカス・ディビッドソンがいるから」と冗談めかして言ったが、まんざら100パーセント冗談でもなさそうだ。最も熱心に誘ってくれたキャップスでMLSに挑戦しようと決めたという小林選手。チーム内に日本人選手がいるというのは、ギリシャやノルウェーではなかった経験と言う。「英語もちゃんと習得したいし。分からなかったらマーカスがいるし」と笑う。
一方、ディビッドソン選手は「めちゃくちゃうれしいです」と満面の笑顔で小林選手の入団を歓迎した。
チームだけでなく、試合中に日本人選手がいるというのは、また違うのかとの質問には、「どうなんでしょうね?確かに心強いかな」と小林選手。「確かに心強いというか」と返すディビッドソン選手。「しかもやってたしね、大宮でも」、「個人的な意見としてはパスを出しやすいんで、それは助かるというかやりやすいです」と試合前から息もぴったり。「中盤でシンプルにプレーして、リズムを作れるようなプレーをしたい」と抱負を語った小林選手だが、プレシーズンで見せたスーパーゴールについては「忘れてほしいですね」と笑った。
ボブ・レナツージ社長は、小林選手をミッドフィルダーとして上がっていけるタイプだし、FWマトックスやMFマネー、MFレオ‐コッカーのスピードを生かせる攻撃ができる選手と評価する。小林、ディビッドソン両日本人選手、そして韓国人のイ・ヨンピョ選手と共に、バンクーバーの日系、韓国系コミュニティサッカーファンをBCプレースに呼び込んでくれることを期待していると語った。
「スタートからマーカスといければ、めちゃテンションあがりますけどね」と言った小林選手の言葉が開幕戦で早くも実現。今季は「テンションがあがりまくった」2人に注目したい。

3、4月のホームゲーム(BCプレース)

3月9日(土)4:30pm

対コロンバス・クルー

4月13日(土)1:00pm

対リアル・ソルトレイク

4月27日(土)3:00pm

対FCダラス

 

(取材 三島直美)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。