みんなが心待ちにしている訪問

Hさんはギャリーを連れてノースバンクーバーにあるキワニス・ケア・センターを週1回訪れている。ここは192名まで受け入れることが出来る高齢者向けのケアホームだ。Hさんはここに10年以上も通い続けている。その間に同行する愛犬は代替わりし、3匹目となるギャリーは生後22ヵ月、2013年1月から通い始めて今回が5回目の訪問とのこと。ギャリーが入っていくと、中で出会う誰もが笑顔で迎えてくれる。廊下を歩いていくと、くつろいでソファに座っている入居者の方から声をかけられることもしばしば。その度に立ち止まってギャリーに触れてもらったり、軽い立ち話をしていくHさん。また、自室で過ごすことの多い入居者のフロアにも出向き、犬好きな方が入っている部屋を個別に訪問していく。ギャリーが入っていくとみな表情が明るくなり優しく声をかけてくる姿が印象的だ。
このボランティア活動を始めたきっかけについてHさんは「まず、犬は仕事を与えられることを好む性質があります。私はカナダにご縁があって移住することになり、周りの方のおかげで気持ちよく暮らすことができることへの感謝の気持ちを、コミュニティに恩返しできたらと思い、選んだのが犬を連れてのケアホーム訪問でした。何故なら、ケアホームに入っている方々はこれまでカナダという若い国を作りあげてきた方たちなのですから」と話す。「入居者の方々は私たちの訪問をとても喜んでくれます。「犬は最高の薬だ」と毎回言ってくださる方もいますね」日常の生活の中で嫌な事があった時でも、ケアホームを訪問する際には気持ちを切り替えるようにしている、というHさん。「今までの犬たちはどの子も、家ではだらだらしていても、出かける前に香りの良いベイビーワイプで顔と体を拭いてあげると途端にきりっとするんですよ」と言う。
セラピー犬もケアホームでは気を遣っているようで、「家に帰ると普段にもまして「可愛がって~」と甘えてくるんですよ」とHさんも言う。犬の状態を確認しつつ、施設で事故などがないように気を配る飼い主の気疲れも相当あるだろうと思う。犬と飼い主の強い信頼関係もこうしたボランティアには大切な点だと感じた。また、定期的に訪問するということもしっかりした意思を持っていないと容易ではないと思う。それでも楽しみに待ってくれる人がいる、ということはボランティア活動の励みになるだろう。

現場の声「ギャリーの訪問はいつでも大歓迎!」

キワニス・ケア・センターのリクリエーションセラピー担当のシンディ・マッガウェンさんにセラピー犬が訪問することでの効果をたずねた。「入居者の社会性が向上しますね。こういう施設に入居すると外部との交流が限られてきて人との付き合いに臆するようになる人もいますが、動物に対しては自然にオープンな気持ちになれるようです。動物は見た目などで人を判断せず、無償の愛を示してくれますから」入居者だけでなくここで働くスタッフもセラピー犬の訪問を楽しみにしているという。「ここのスタッフはみな良く仕事をしてくれますが、ストレスの多い職場でもあります。スタッフもセラピー犬などに癒されることで入居者へより良いケアが出来る、という良い循環を生み出していると思います」シンディさんも飼っている犬とうさぎをホームに連れてくるそうだ。「ここにはたくさんの入居者がいますし、もっとこのようなセラピーアニマルが訪問してくれるといいですね」と言う。こうしたボランティアはどの施設でも常に需要が高いようだ。

ペットセラピー協会、ペッツ&フレンズについて

Hさんはペッツ&フレンズという非営利団体を通して今のボランティア活動に従事している。この団体は病院やケアホームなどにボランティアメンバーとそのペットを派遣する仲介をおこなっている。ボランティアを希望する人は、ペットがスクリーニングテストに受かったら、会費を払ってメンバーになる。健康であること、人間が好きであること、落ち着いていること、様々な人に触られても大丈夫なことなどがチェックされる。その後、提携している施設のリストが送られるので、その中からメンバーが行きたいと思う場所を選ぶことが出来る。現在、ローワーメインランドの200近い施設がリストにあるそうだ。この団体を通してボランティアに従事するペットは今のところ、犬、猫、うさぎとのこと。スクリーニングを受けるペットの90%近くは問題なくセラピーアニマルとして活動できると判断されるという。ペッツ&フレンズのダフネ・パーカーさんは「私自身もペットの犬を連れて施設を訪問するのですが、入居者の方たちの顔がぱっと輝くのを見るのは本当に嬉しいですね。とてもやりがいのあるボランティアだと思いますよ」と語る。ボランティアの人が自分のペットを連れて施設を訪問するのが主だが、その他にも運営に携わるボランティア、寄付など、自分にあった方法で関わることが出来る。詳しい情報は、ウェブサイトでチェックしてみて欲しい。

Pets & Friends

住所:60 Semisch Ave. North Vancouver

電話:604-688-1766

ウェブ:www.petsandfriends.org

メール:This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.

 

(取材:大島多紀子 撮影:斉藤光一)

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。