2019年8月15日 第33号

今年、夏のアニメレボリューションは、8月9日から11日まで、お馴染みのバンクーバーコンベンションセンターで行われた。アニレボはアニメだけでなく、日本文化を広めていく役割を担っており、イベント、展示、パフォーマンスを通して、楽しみながら異文化交流ができるコンベンションだ。アニメファンのスタッフが、ボランティアも含め150人以上集まり、時間をかけ作り上げてきた。アニメ、マンガ、コンテスト、コスプレ、展示、ダンス、ミュージックパフォーマンス等、企画は盛り沢山。延べ人数1万5千人以上のファンが、カナダだけでなく世界中から詰め掛けた。

 

︎「NARUTO -ナルト-」のコスプレを楽しむ参加者

 

開会式

 約700人のアニメファンが会場を埋めた開会式。アニレボ主催者の一人、アンドロソフ・ジェレミーさんの歌で、華々しく始まった。高寺たけし、亜咲花、やなぎなぎ、檜山 修之など、今回の特別ゲストの紹介。そして、まだ記憶に新しい、京都にあるアニメ制作会社の京アニで7月に起きた放火事件について触れた。アニメファンだけでなく、世界中の多くの人の心を痛めた事件だ。犠牲者への追悼の気持ちを込めて、黙祷の時が持たれ、特別に作られたビデオが映し出された。そして最後は一転して、トキメキメイドのダンス。次々と、息のあった楽しいダンスで観客を魅了し、会場にあるメイドカフェへのお誘いも忘れない。アニメファンは、次の会場に並ぶため、開会式終了と共に足早に大移動だ。

 

アニレボ タレントショー(Anirevo's Got Talent)

 タレントショーは毎年、コンベンションで最も人気のあるプログラムの一つだ。アマチュアのシンガーやダンサーが、 日頃の練習成果を発揮するいいチャンス。9人で構成されるダンスグループは白熱の演技と、絶やさない笑顔で、観衆を圧倒した。グループの名前を尋ねると、実は無いんだけど、と言いながら、「最高のコラボ」(Great Collaboration)と、急遽、名前をつけてくれた。この2カ月間、週に2回集まり、その都度2時間、一緒に練習してきたと言う。スタジオを持たないので、ロブソンのアイスリンクに集まって、ガラスを鏡代わりに見ながら練習してきたらしい。リーダーのレジーさんに、今までを振り返ってどこがよかったかを尋ねると、「自分たちの好きな、アニメファンがみんなよく知っている曲を選び、振り付けを考えた。グループみんなで協力し、楽しかった」と満足した笑顔で答えてくれた。

 

アニミュージック アニソンコンサート(Animusix Anisong Concert)

 今回、特別に企画されたこのコンサートは、アニレボを大いに盛り上げた。紅維流星さんのピアノとタム(TAM)さんのバイオリンが奏でる美しいメロディーに合わせ、会場のペンライトがリズミカルに踊る。「コミケ(日本のコミックマーケット)と日程が重なり、どっちにするか悩んだが、こんな大きなライブに参加できていい機会だった。明日またライブもあるので来てほしい。ありがとう」と紅維流星さんが締めくくった。

 亜咲花さんは、黒地に白の水玉のコミカルなドレスで登場、圧倒的な声量で会場を一気に盛り上げた。「バンクーバーは初めてです」と、きれいな英語で挨拶。後半は、「せっかくカナダまで来ているので、先輩のアニソンカバーをします」と切り出し、馴染みのあるアニメソングを披露。「昨日はレッドロビンで食事をし、楽しかったです」など、会場にいるファンと会話を楽しみながら、代表作「この世の果てで恋を唄う少女」など、次々と歌で魅了する。「カナダにふさわしく」と前置きした後、「ゆるキャン」の主題歌、「シャイニーデイズ(SHINY DAYS)」で、最後を飾った。

 やなぎなぎさんが真白いドレスで姿を現すと、会場いっぱいの900人ものファンは、大歓声で迎えた。興奮止まぬ観客は曲に合わせ、ジャンプし、踊る。やなぎさんが「初めてのカナダでうれしい」と挨拶すると、会場からは日本語で、「結婚おめでとう」という掛け声も。「ユーキャンカウントオンミー」(You can count on me)という曲では、用意した一つ一つの単語を書いたボードを、客席の前列の人が曲に合わせて高く持ち上げる、という楽しい企画が用意されていた。最後の曲では、やなぎなぎさんも観客も一体となってリズムに合わせて踊っていた。「熱い、楽しいライブでした」と手を振りながら、ステージを去った。

 

注目されるやなぎなぎ

 アニメファンなら誰でも知っている、関西出身のシンガーソングライターだ。舞台上の元気いっぱいのイメージとは異なり、プレスコンファレンスに現れたやなぎなぎさんは、穏やかで静かな雰囲気。どのようにして曲を作っていくのか、という質問に「自然を見たり本を読んだりする内に、新しいものからインスピレーションが湧き、書き溜めていくんです」と、答えてくれた。仕事以外の楽しみを尋ねると、自然や石が好きで、山で石を掘ったりしている、という意外な一面も。若い人たちへのアドバイスを聞くと、「アニソンなど、今はインターネットで見てもらえる機会が沢山あるので、チャレンジして欲しいです」と、 励ましのメッセージを送ってくれた。

 

ベテラン声優、檜山 修之(ひやまのぶゆき)

 キルラキルの猿投山渦(さなげやまうず)役等で知られている声優。プレスコンファレンスでの檜山 修之さんは、声優歴32年のベテランらしい風貌だが、謙虚な人柄が一つ一つの答えの中に感じられる。高校生の時に、クラブ活動で音声ドラマを作ったのが楽しく、高校生でも老若男女の役割ができるのが面白い、と思ったのがきっかけだそうだ。若い人たちへのアドバイスを聞くと、「声優に限らず、幅広い知識が必要。何にでも興味を持ち、知識を吸収すれば、それが血となり肉となる。純粋な好奇心を持ち続けてほしい」と言う。またそのために、どうすればいいかと尋ねると、「映像、本、ただ出かけるだけでもいい。好きなジャンルだけでなく、嫌いなジャンルにもあえて触れていくようにしていくことが大事」と具体的なヒントをくれた。和やかな雰囲気の中、プレスコンファレンスは終わった。

 

これからのアニレボ

 夏と冬、現在は年に2回行われているアニメレボリューション。情報はhttps://animerevolution.ca で見ることができる。若者だけでなく、多くの人に夢、勇気を与え続けるこのイベント、ぜひ今度はあなたも参加してみては。

(取材 松本睦)

 

「僕のヒーローアカデミア」のコスプレを楽しむ参加者(左)「League of Legends」のコスプレを楽しむ参加者(中央・右)

 

「あんさんぶるスターズ!」のfineのコスプレを楽しむ参加者

 

タレントショーで見事なチームワークを見せた「最高のコラボ」

 

コスプレを楽しむ参加者

 

コスプレを楽しむ参加者

 

「鬼滅の刃」のコスプレを楽しむ参加者

 

「賭ケグルイ」のコスプレを楽しむ参加者(右)

 

プレスコンファレンスに現れた、やなぎなぎさん

 

「NARUTO -ナルト-」のコスプレを楽しむ参加者(右)と「ONE PIECE」のコスプレを楽しむ参加者(左)

 

「セーラームーン」のコスプレを楽しむ参加者

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。