カナダ初の女性総領事

3月18日付で外務省より在バンクーバー日本国総領事として発令を受けた岡井朝子氏が4月26日、バンクーバーに着任した。初出勤から一夜明けた28日、総領事館を訪ね話を聞いた。

 

在バンクーバー日本国総領事、岡井朝子氏

 

前任地はスリランカ

 岡井朝子総領事の前職は在スリランカ大使館公使(館次席)モルディブ兼轄。「スリランカはインド洋のハブになることを目指して発展中の親日的な国。大使館として国造りや経済発展を支援。2009年まで紛争があったものの、経済改革、民族の和解を進めながら次のステップに向け勢いのある国です」  日本人会のメンバーは在留邦人を主に約200〜300人。在留届けの数は、スリランカ人と結婚した人を含め現時点で約1000人とのこと。   

 

大使館から総領事館へ

 海外任務はこれまでにイギリスほか、大使館勤務はパキスタン、オーストラリア、ニューヨークの国連代表部及び国連勤務、スリランカを経て、バンクーバーが6カ所目となる。

 スリランカから日本に戻り2週間の滞在中はブリーフィングを受けたり、カナダ人コミュニティや日本企業関係者らと会見し、バンクーバー着任に備えた。

 「領事サービスの提供、経済関係促進・日本企業支援、日系人コミュニティの方々も含め文化交流・人材交流を活発に行っていくことが総領事館の主な役割ですので、それらをしっかりと担っていきたいと思っています」

 カナダには中学生のころ家族旅行で東部を訪れたことがあり「バンクーバーは風光明媚なところで、わくわくしています」と述べた。

 

女性キャリアとして入省

 外務省に女性キャリアとして入省したのは20人目。現在、女性の在外公館長は大使が9人、総領事がメルボルンとバンクーバーにふたり。岡井総領事は、バンクーバー初、そしてカナダ初の女性公館長である。

 「外務省の場合、男女平等に取り扱ってくれました。国連代表部にいるときに『UN Women』という国連機関ができましたが、同時期に安倍総理が『女性が輝く社会』づくりの方針をあげられ、ようやく日本も女性の地位向上に本腰を入れるようになってきたと思います」

 欧米では社会制度自体が女性を支え、夫婦で分担する先進的な制度があることをあげ「女性の進出のためには、男性も含めて全体として社会がどれだけ変われるかが大切だと思います。待機児童の問題など制度上のバリアもありますが、日本も仕事本来に着目して、男女問わずサポートし合えるような社会構造に少しずつ変わっていこうとしているようです」。

 大学3年から外務省入りを目指して勉強し、女性外交官としてのキャリアを歩んできた岡井氏は「女性も働きやすく進出しやすいような社会に変えるため、刺激になるような発信をしていきたいと思います」と、はつらつと語った。

 バンクーバーでの活躍に期待したい。

(取材 ルイーズ 阿久沢)

 

在バンクーバー日本国総領事 岡井朝子氏
東京都出身。1989年一橋大学卒業後外務省入省。英国ケンブリッジ大学卒業。文化交流部文化第二課、経済協力局政策課、同局調査計画課併任、内閣官房安全保障危機管理室参事官補、欧亜局西欧第二課首席事務官等を経て在パキスタン大使館一等書記官(経済班長)、在豪州大使館一等書記官(経済担当)。2005年より経済協力局政策課首席事務官、同課企画官、国際協力局政策課企画官、同局人道支援室長、中近東アフリカ局アフリカ第二課長、国連日本政府代表部公使参事官(政務担当)、第66会期国連総会議長室上席政策調整官を経て、前職は在スリランカ大使館公使(館次席)モルディブ兼轄。
2016年4月より夫を伴いバンクーバーに着任。趣味は芸術鑑賞、健康のために体を動かすこと。

 

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