2006年1月1日 第1号 掲載

FujiyaおよびOcean Delight Seafood Ltd. 社長

平居茂氏

地元に親しまれる日本食材店として快調に営業を続けてきたFujiya。社長の平居 氏は今も週7日職場に出る仕事好きの方。「お客様とスタッフを大事にして、それで報われんかったら止めた方がいい」という持論のもと、日々スタッフに「お 客様は大事にせなあかんでー」と声をかけ、店先では旧知の顧客と話に花を咲かせながら、消費者の感覚に耳を傾ける。

‐来年(2007年)には30周年を迎えますね。
30年は楽しみですね。どんな店でも 年続けば老舗と言われますから。これまで売り上げが下がったことは一度もなく順調に行っていますが、これはマネージャーがよく働いてくれているからです ね。自分だけの力ではとても無理。おかげさまでFujiya本店のビルもローンが払い終わって自分の物になりました。銀行からお金を借りているうちは、事 業が自分の物であっても自分の物のような気がしない。事業を自分の物にするのが夢ですから、これはうれしいことです。家賃を払わなくても良くなった分、余 計にお客様にサービスできるようになると思っています。

‐Fujiyaには値段の高い食材もありますが、手頃な価格の商品も数多くあることが人気の秘密かと思いますが。
日本の物自体は決して高くないのですが、円が強いというだけで値段が高くなる。日本の物の70%を自分で輸入していますが、円高だといくらがんばっても 安くは売れませんが、今は円安なので前は4ドル50セントだった物が3ドル75セントで売れる。だから今、日本の食品が売れていますね。

‐日系人以外の方の来店も多いですね。
寿司とお弁当を買っていく人の75%は日本人以外ですね。巻き寿司など地元の人を意識して作っています。

‐ところで日系センター内に作られたレストラン「ハイゲンキ」は大変な人気ですね。
安くておいしくボリュームがあること、そして「ヤングをねらえ」と言っています。一番のポイントは日系ホームにいる方が家族や孫も連れて一緒に食事をしてもらうことだと考えていますから。

‐客の立場から見ても、ハイゲンキのメニューはボリュームいっぱいで、元が取れるのかと心配になりますが。
儲けはないですよ。ですが、それでも儲けを出すのが商売人ですから。

‐平居さんと世代の違うスタッフが多いと思いますが、マネジメント上で意識されていることはありますか?
若い人は過去の話をしてもだめ。明日のことしか聞かない。自分らは余裕のない時代に育ったけれど、余裕のある子に余裕のないことを言っても言うだけ無駄。悪いことは忘れて、いいとこだけ見て、明るくしてあげようと思いながら話をしています。

‐新店舗の計画などは?
店を増やす以上に責任をもってやってくれる良い人材を見つけることが大事。それがないとね。

‐今後の展開へのアイディアはお持ちですか?
あまりにも私たちの年代の人が病気がちなので、有機の物や玄米を使った健康的な弁当や精進弁当を作っていきたいし、日替わり弁当も作っていきたい。したいことはたくさんあります。

‐ではまだまだ現役を続けていかれますね。
元気ですし引退は考えていませんね。私はカナダに来て働き始めて51年で、周りの人たちには「そんなに働いても死ぬときはお金を持っていけないよ」と言 われますけど、あげるところはいくらでもありますから。自分の年を言うと、米を運ぶのにもお客様が気の毒がって気を遣われますけど、50歳の気持ちでがん ばっていまよ。

(取材 平野香利)


●平居茂(ひらいしげる)氏 プロフィール●
1937年日系二世としてバンクーバー生まれる。幼少時に戦争 で日系人の収容所生活を経験し、戦後は日本に渡るが16歳で再び一人で渡加。製材所やファームでの仕事で運賃を稼ぎ、家族を呼び寄せた。69年日本食レス トラン「Maneki」を始め、その傍ら77年パウエルストリートに最初の「Fujiya」をオープン。さらに「Ocean Delight Seafood」を創業し、現在はFujiyaが4店舗にケータリング専門の「Fujiya Catering」、日本食レストラン「Hi Genki」も経営している。

Fujiya社長 平居茂氏

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