2018年9月27日 第39号

 2日前、老婆はRGHから歩行器とポータブル便器、それにベッド脇に付けるバーを病院から借りて退院した。

 ワー凄い! 綺麗なオレンジ色の液体がトイレットボールに一杯になった。ベッドに戻る、またすぐトイレに戻る。だんだん色がなくなって、何と苦ーい液体を吐き出すようになった。そのうち、柔らかい砂の山に登って身体全体が崩れて行くようにふんわり、ぐしゃりといった感じで膝に力がなくなり倒れていった。眩暈と同時に目が開けられなくなり夢中で息子を呼び、今度はさっき日本から帰り空港から着いたばかりの娘も呼んだ。2人が911へ電話をし救急車を依頼、RGHへ運ばれたのはこの老婆である。

 9月4日、ポーランド、チェコの旅行から帰って間もなく老婆が体験した食中毒だ。親しい友人がオレンジ色の綺麗に切ったキャンタロープをたくさん持って夕方、老婆を訪ねてくれた。お腹がすいていた老婆は夕食代わりにそれをむしゃむしゃ食べた。途中「ちょっと冷蔵庫臭いわねぇ。」と何回か言ったが、持ってきてくれた人はYESもNOも何も言わなかった。多分、老婆は持ってきてくれた人の3倍は食べただろう。嘔吐が始まったのは彼女が帰って間もなくのことだった。そして、入院。

 病歴の重なる老婆はいろいろ検査が必要だった。MRIもCTも問題なく通過、眩暈はするが6日に仕事があり帰宅したかった。仕事帰りに見舞いに来た娘を待って無理に退院したが、帰宅数時間後に最初と同じ病状になった。つまりふにゃふにゃバッタリだ。それとまた吐き気が伴う。しょうがない、また911に電話して病院へ戻った。これで今回の救急車依頼は2回、世話になった。胆石の手術、車にひかれて足のケガ、卒中の時が6回(病院移動の重なり)、ミニ卒中で2回、その他にもあったかなぁ?

 話は14日のこと、「入院をしらなかった」JWBA女性企業家の会の会長黒住さんの見舞い電話。しょげ込んでいるだろうという想像に反して、この老婆、話し相手が欲しかったから、ここぞとばかりに彼女に話しかけた。元気な声で。我が家の新しい電話は難聴者用で多少聴きやすくなっている。

 ねぇ。唐沢(良子)さんがねぇ、昨年、企業家の講演会で時間があればもっと話したかったことがあったって言ったのよ。それはね。人間、誰もが持っている第8感つまり「アラヤ識(第8感)」のことなの。話はこう始まった。数カ月前、実は良子さんとメールで犬の話をした。彼女は愛犬家だ。私は病気の息子が飼っている犬を可愛がっている。そうしたある日、今週末は国境を越え◯◯◯まで、養犬にする犬に会いに行く、名前は「弁慶」とすると言ったのです。

 実は昔、私は結婚当初子供に恵まれず占い師に相談に行った、すると「生まれるよ、親孝行な良い女の子が」と言われた。当時、香港空港で働いていた私に、エアーフランスの支店長がわが娘を見て「わーしっかりした子だねぇ、弁慶みたいだ」と褒めた。でも、我が子は女なのに「弁慶」かぁ。ということが今もって忘れられずにいた。そして、良子さんが養犬にする子犬「弁慶」がたまらなく気になっていたのだ。(今回、弁慶は「弁当」という名になった。弁慶は「便所」と発音する人がいるので弁当にしたと返事をもらっている。)とにかく、可愛い黒い犬。

 8月末の9日間、プラハとワルシャワへの旅行中「弁慶」が気なって良子さんへメールがしたかった。そして、帰国、その翌日、老婆は良子さんからメールを受け取った。実は彼女が突然何かやっている最中に急に老婆のことが思い浮かびメールをしたくなったという。不思議だよなぁ。彼女へ「偶然ですね」とメールを書いた。すると彼女は「それは偶然出ない、阿頼耶識(アラヤ識)に入ったことが出たのだ」という説明があった。

 思い出すと随分前だった、皆と食事会中、良子さんが人間の深い思いは『第8感』に良悪しを問わず、全て残るという話に触れた。不思議大好き老婆が彼女に興味を持ったのはその時からだった。そして、今回のメール問題で私は「偶然」、彼女は「阿頼耶識」という理解だった。それでどうしても「阿頼耶識の本」が読みたくなり、老婆は良子さんへ本の紹介を依頼する。紹介された「得する人」無能唱元著の本を日本の友人に入手してもらい、娘の所への配達を依頼した。幸い娘がその時日本にいたが、いつ帰ってくるかは知らなかった。日本の友人はすぐに本を入手して娘へ連絡を入れると、なんとその日に娘はバンクーバーへ戻るのだった。ぎりぎりで友人は空港へ出発直前の娘に配達してくれた。

 バンクーバーで老婆は彼女の到着をキャンタロープを食べながら待ち、その後食中毒となった。娘は到着、帰宅して母親の病気を知る。すぐ救急車を呼びRGHへ入院させるが、救急車出発寸前に持ってきた「得する人」の本をお守り代わりに欲しがる老婆に渡してくれた。

 老婆は入院数日後から目が開けられて本を読み始める。読み始めると嘘のように心が軽く、ニコニコ笑顔になっている。トイレの鏡を見ながら「澄さん、いい顔しているね。ニッコリ」という感じになってきたのだ。自分がそう思うだけでなく、来る人、来る人にそういわれる。病院で会う同室の人、食事を運ぶ人、掃除をする人、看護師さん、フィジオセラピスト、もちろんドクターにも自然に笑顔になると同時に、体も刻々と良くなっていくのが分かった。

 娘や息子にママ明るくなったねと言われ、良子さんにはメールで「なんだか病院生活を楽しんでいるようですね」と言われるまでになったのです。

 つまり、老婆はそれを詳しく会長に話し、彼女は嬉しそうに笑いながら、時々老婆を冷やかし、ぜーんぶ聞いてくれた。本当に忙しい人なのにねぇ。

 終わりに、彼女が言った。「ホイさん、貴方みたいによく911に世話になる人は911から回数券を出してもらったらぁ?」

許 澄子

 

 

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