2018年2月1日 第5号

 数式など、頭で一生懸命覚えたことは時間が経てば忘れることが多いですが、心で記憶することは生涯忘れることがありません。こどもは、親の助けなしでは生きていくことができないことを認識しているので、親から愛されているかどうかは死活問題です。また、自転車の乗り方など、一度体で覚えたこともなかなか忘れません。 だからこそ、親から言われた言葉や、受けた体罰などは大人になってもしっかり心と体の奥底で記憶しています。 例えば、親がこどもの態度を直そうと思い、『そんなに家が嫌なら、出て行きなさい!』などをポロっと言ってしまうこともあるかもしれませんが、これはこどもと親の間に「Power Struggle (権力争い)」を生んでしまいます。こどもは親に勝てないので、この危機感を心で記憶し、自分が社会に出た時『生き残る・受けいれてもらうためには権力が必要だ』と、こどものときの心の記憶を自分の存在場所につなげるようになります。

 

こどもに怒りを感じてしまう自分がイヤ…

 こどもに対してイライラする感情を持ってしまうことで、自己嫌悪を感じている親御さんも意外と多いようです。ここにアドラー心理学のペアレンティングを取り入れてみると、親はこどもの態度から湧き上がってくる感情で、こどもが親に何を求めているのかがすごくわかりやすいようになっています。上記のように、親がこどもの態度に対し「怒り」や「手強さ」を感じている場合、こどもは親との上下関係(または力関係)のバランスを取ろうとしていることが考えられます。言い換えると、こどもはたとえ幼くても、自分にパワーがないのではないかと不安に思っている状態だとも言えます。このように親がこどもに怒りを感じた場合は、こどもの言動をコントロールしようとするのではなく、こどもの話をゆっくり冷静に聞いてあげる習慣をつけるといいかもしれません。

 

こどもがアテンションを欲しがってばかりで 疲れてしまう

 こどもからアテンションを常に求められると、親はどんな気持ちになるでしょう? 「困る」、「イライラする」、「心配になる」などでしょうか? こどもの『アテンションを常に求める』という行動は、「自分が特別な存在であるか、または自分の居場所を確保できるかどうか」にフォーカスしていることが考えられます。親はアテンションを常に求められてしまうと、『口やかましく言う(nagging)』というのが典型的な対処法かもしれません。ですが、これはこどもの目的を達しているとも言えます。つまり、口やかましく言われても、親からアテンションがもらえるからです。不思議に思われるかもしれませんが、こどもは親から怒られても、口やかましく言われても、自分にアテンションしてもらえるという目的を達成しようとします。 なので、こどもは、口やかましく言われても態度を変えようとしません。こういった場合は、どんな行動が容認できるかを教えてあげる、チョイスを与える、お手伝いをしてもらう、リーダーシップが取れるように励ましてあげるなどのトレーニングが大切になってきます。

 

こどもの態度には必ず目的がある!

 アドラー心理学からの視点では、上記のように、こどもの態度には必ず目的があると言われています(Goal of Behaviour)。こどもがどんな態度でどんな目的を達しようとしているのか分かれば、コミュニケーションの取り方がわかり、子育ても少しは楽になるかもしれませんね。

 

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Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF

カナダ・BC 州認定心理カウンセラー。BC 州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10 年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。5月はアドラー心理学に基づいた、「子供のこころを育てる」ワークショップ開催予定。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
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