2018年7月5日 第27号

 ジャスティン・トルドー首相が7月1日、自身のセクハラ疑惑について自ら語った。カナダデーのこの日、サスカチワン州レジャイナを訪問中だったトルドー首相は、記者団にセクハラ疑惑について「(相手に)嫌な思いをさせるような行為」はなかったと語った。

 これは2000年にブリティッシュ・コロンビア(BC)州クレストンで開催されたアバランチ・ファンデーションで起こった出来事について語ったもの。地元の記者が、当時28歳のBC州で教師をしていたトルドー首相にインタビューした時に、記者に「触った」という。

 そのことについて、当時発行されていた地元紙クレストン・バレー・アドバンスに、そのことについて書かれた記事が残されている。

 この件について、これまでトルドー首相は自ら語らなかったが、この日初めて答えた。トルドー首相は、「その日のクレストンのことはよく覚えている。あれは、雪崩への安全対策を支援するアバランチ・ファンデーションのイベントだった。その日は非常にいい時間を過ごした。嫌な思いをさせるような行為をしたことは全く記憶にない」と語った。

 トルドー首相は1998年に弟を雪崩で失っていて、それ以降こうしたイベントに関わっているという。

 この日の記者からの質問に対して、この件について答えたのはこの1回のみで、それ以上の質問は受け付けなかったとカナディアンプレスは伝えている。

 

 

2018年7月5日 第27号

 カナダ統計局は6月29日、4月のカナダの国内総生産(GDP)成長率が前月比で0・1パーセントだったと発表した。これで過去8カ月中、7カ月でプラスとなった。

 中央・東部カナダが大雪などに見舞われ悪天候だった4月だが、天候に左右される小売業や建設業に大きな影響がなかったことが要因としている。小売業は1・3パーセントの伸び、建設業はマイナス0・5パーセントにとどまった。製造業は0・8パーセントだった。

 これにより7月11日に発表されるカナダ銀行の金利が引き上げられるのではと予測されている。カナダ銀行による第2四半期の景況感は相変わらず良く、全国的に雇用需要も高いことが理由に挙げられている。ただアメリカとの貿易関係など不安定要素も相変わらず抱えている。

 カナダ銀行は2017年7月からすでに3回も金利を引き上げている。

 

 

2018年7月5日 第27号

 ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバー地区を流れるフレーザー川にかかる鉄橋で6月27日未明、貨物列車が脱線した。鉄橋の下を走る道路を閉鎖しての復旧作業が朝方まで続いたため、通勤時間帯の交通に影響が出た。

 この鉄橋は、ニューウェストミンスター市のそばにかかる鉄橋。カナディアン・ナショナル鉄道の穀物輸送用の貨物列車の8両が脱線した。貨車は空の状態だったため、危険物が漏れるなどの緊急事態にはならず、またけが人も出なかったと、同鉄道は説明している。

 しかし脱線した貨車を再びレールに乗せ、さらに脱線の原因を特定する作業のために鉄橋下を走る主要道路が閉鎖されたため、朝の通勤ラッシュに影響が出た。また鉄橋自体も閉鎖されたため、バンクーバー市から米オレゴン州ユージン市に向かう予定だったアムトラック・カスケーズの旅客列車など列車運行にも影響が出た。

 

 

2018年7月5日 第27号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーのレストランマネージャーが、トランプ米大統領の唱える『偉大なアメリカを取り戻せ(Make America Great Again-MAGA)』というスローガンをあしらった野球帽の顧客に退席を求めたことを理由に、解雇された。

 ダリン・ホッジさんがマネージャーを務めていたのは、同市スタンレー公園内にあるレストラン、ティーハウス。「MAGA野球帽は人種差別に、偏見、イスラム教嫌い、女性嫌い、白人至上主義や同性愛嫌いの象徴となっている」というコメントを発表したホッジさん。そして自分の道徳観念に基づいて、そのような帽子を店内で着用していた顧客に退席を求めたとし、解雇されても自分は後悔していないと語っている。

 これに対し、同レストランの親会社セコイヤ・カンパニー・オブ・レストランは、アメリカの現政権や、他の政党を支持していることを理由に顧客を差別することは、同社の『許容主義』に違反するとして、ホッジさんを先週解雇した。

 MAGA野球帽はこれまでもカナダ国内で論議をかもしてきている。昨年6月には、アルバータ州カルガリーの学生が、MAGA野球帽をかぶっていた若者と口論している様子を撮影した動画がインターネット上に投稿され、この学生に殺害予告が送られる事態になった。この中で学生は、MAGA野球帽は差別言語だと非難。この言葉には、白人のための国家、移民も性的多様性も拒否する姿勢があると指摘していた。

 

 

2018年7月5日 第27号

 赤地に黄色で、工業労働者を表すハンマーと、農民を表す鎌を描いたソビエト連邦の国旗。これをあしらったウオッカが、ウクライナ系カナダ人団体の抗議を受けて店頭から回収されることになった。

 ウオッカの名前は『ハンマー・アンド・シックル(鎌)』。名前も、ラベルにあしらわれたソ連の国旗も、かつてこの国が行った差別主義と大量虐殺を表すものだとして、この商品の撤去を求めていたのはカナダ・ウクライナ人評議会。同評議会のエグゼクティブ・ディレクター、イホール・ミハルチェシンさんは、この国旗はナチス・ドイツのカギ十字に匹敵すると批判、同団体の抗議を受けてケベック州が今年2月に、またアルバータ州が最近、店頭からの回収を決定したことを取材に明らかにしている。

 一方、このウオッカの製造元、米マサチューセッツ州に本社を置くクリン・グループは、メディアの取材依頼には応じていない。しかしそのウェブサイトには、このウオッカをロシアの最高級ウオッカだとうたい、過去の遺産の上に今の我々が成り立ち、我々はそれを崇拝し祝福すると書かれている。

 しかしミハルチェシンさんやその家族、祖先、そして何百万人の人にとって『ハンマーと鎌』はレトロ・クールなどとは程遠く、「何百万人の人が、ソ連時代の体制によって拷問や迫害を受けてきた。それはウクライナ人だけにとどまらない。カナダ人も、その事実を知るべきだ」と指摘。

 アルバータ州酒類および娯楽委員会は、カナダでは記念日としても制定されている(毎年11月第4土曜日)、ソビエト連邦が1930年代に構成国のひとつウクライナ共和国で行った大量虐殺事件『ホロドモール(Holodomor)』に触れ、このウオッカの不適切さを説明し即座に販売停止したとの声名を6月27日に発表している。

 

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。