2020年3月12日 第11号

 天然資源産業が主要産業であるアルバータ州が、原油価格の急落で州経済へのさらなる悪影響が懸念されている。同州ジェイソン・ケニー州首相は、原油価格急落によるアルバータ州経済の停滞は、カナダ経済の停滞を意味するとして、連邦政府に救済策を迫っている。ケニー州首相は「できる限りの全ての選択肢を考慮している」と語り、「アルバータ州の雇用と州民を守るために我々ができる全てのことを考える」と強調した。

 新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、原油の需要が下がっていることに加えて、サウジアラビアとロシアの間で勃発した価格競争がさらなる悪影響を及ぼし、9日のウエストテキサス・インターミディエートは1バレル30米ドルまで値を下げた。アルバータ州は2014年に起こった原油価格崩壊の影響からいまだに立ち直っていないが、それ以上の影響が出る可能性がある。アルバータ州政府は先月に予算案を提出したが、原油による歳入は1バレル58米ドルを想定して試算されている。

 野党新民主党(NDP)レイチェル・ノッテリー党首は、予算案を新しく練り直す必要性を訴えた。昨秋に法人税を引き下げたことも税収減少を招いていると批判。連合保守党の予算案は楽観的すぎると語った。しかしケニー州首相も、ノッテリー党首も、税収増加のために州税(PST)を導入することには反対している。カナダでは唯一アルバータ州だけが州税を導入していない。専門家は州税の導入でかなりの税収が見込めると分析している。

 

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